第二次世界大戦や冬戦争といった極限の戦場で、まるで人間離れした戦果を叩き出した軍人たちが存在しました。
彼らの名前は時代を越えて語り継がれ、本当に人間だったのか?と疑われるほどです。
その中でも、まさに現実離れした強さでサイボーグとさえ称される伝説の軍人2人を紹介します。
白い死神「シモ・ヘイヘ」

白銀のフィンランドに降り立った白い死神こと「シモ・ヘイヘ」、彼は1939年に起こった「冬戦争」でソ連軍と戦ったフィンランド軍の狙撃手でした。
もともとは森で暮らす猟師にすぎませんでしたが、わずか100日間の戦いで確認された狙撃数542人という、軍事史上類を見ない記録を打ち立てたのです。
実際の戦果は700人を超えていた可能性もあるとされ、彼の正確さと冷静さはまさに異常です。
シモはスコープなしの「アイアンサイト」で狙撃を行っており、これは太陽光の反射で位置がバレるのを防ぐためで、加えて極寒の中ではスコープが曇るという実用的な理由もありました。
また、息の白さすら目立たないよう、口に雪を含んで呼吸し、足音や体の動きを徹底的に抑えるなど、そのカモフラージュ技術は戦場の忍者と呼ぶにふさわしいものでした。
300メートル先の敵兵を一撃でヘッドショットすることができ、また何時間でも雪原に身を伏せ続けられる忍耐力と集中力は、もはや人間離れしていたと言わざるを得ません。
終盤には顔面に銃弾を受けて重傷を負い、顔の半分が吹き飛ぶ大怪我を負いましたが奇跡的に生還、戦後はその生々しい記憶を語ることなく、静かな田舎で余生を過ごしたといいます。
96歳まで生き抜いたその姿は、まさに「生きる伝説」そのものでした。
空を支配した鉄の男「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」

空の覇者として名を馳せたのが、ナチス・ドイツ空軍の「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」です。
彼が操縦したのは、急降下爆撃機「スツーカ」、戦場においてはもはや破壊神と称され、2,530回という人類史上最多の出撃回数を記録しています。
戦果も凄まじく、戦車519両、装甲車・トラック800台以上を破壊し、さらには旧ソ連の戦艦「マラート」に大損害を与えたとも言われています。
しかし、彼がサイボーグと称される最大の理由には、その復活劇にあります。
戦闘中に対空砲で右足を吹き飛ばされる重傷を負い、医師からは全治半年と診断されたにもかかわらず、わずか6週間で義足を装着して病院から脱走、軍の許可を待たずに書類を偽造して再び出撃したという、まさに信じられない行動をとったのです。
この復帰はすぐにバレてしまいましたが、その理由が「戦果を挙げすぎてバレた」というのだから呆れるほかありません。
どの部隊でも破壊しきれなかった敵戦車を一人で次々と撃破するため、「ルーデルが出撃してるに違いない」と軍内部で特定されたという逸話も残っています。
戦後はアルゼンチンに亡命し、極右思想を掲げ続けたため、政治的には賛否を生む人物でもありました。
しかし軍事的な観点から見るならば、精神力・作戦遂行力・技術のどれをとっても異常なレベルにあったことは事実であり、数多くの軍事研究者から「戦場の怪物」と評されています。
まとめ
彼らの伝説は、戦争の恐ろしさと隣り合わせで生まれたものであり、決して軽く語ってよいものではありません。
その強さは確かに驚異的ですが、同時に、それほどまでの強さが必要とされた「戦争」という人類の悲劇の重さも、私たちは忘れてはならないのです。
強さを知り、歴史を知ることで、平和の尊さに思いを馳せる、そんなきっかけになればと願います。
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