昔はどの家にもあった、どの店にも売っていた…そんな当たり前の味が、いつのまにか姿を消していくのは少し切ないものです。
あなたの記憶の中にも、懐かしくて、でも最近は見かけなくなった食べ物があるのではないでしょうか?
今回は、昭和〜平成初期の時代には定番だったのに、令和の今ではほぼ絶滅してしまった食べ物を4つを厳選して紹介します。
ひやしあめ

関西圏では夏になるとどこの屋台でも見かけた「ひやしあめ」、麦芽水飴をお湯で溶かし、生姜を効かせて冷やした飲み物で、かつては子どもからお年寄りまでに愛された夏の風物詩でした。
「飴」と名前にあるものの液体で、甘みの中にピリッと生姜が効いており、暑さを吹き飛ばす爽快な味わい、駄菓子屋や昔ながらの喫茶店で親しまれ、「夏といえばこれ!」という家庭も多かったはずです。
しかし、令和の今となってはその存在すら知らない世代が多数で、スーパーで見かけることもほとんどなく、SNS映えとは無縁のその姿は、レトロ飲料としてマニアの間でかろうじて語り継がれるのみです。
ニッキ水

「ニッケ水」あるいは「ニッキ水」と聞いてピンとくる人は、相当なレトロフード通です。
かつて駄菓子屋で10〜30円ほどで売られていたこの飲み物は、ニッキ(=シナモンの一種)から抽出した香りを加えた無色透明の甘い水で、瓶入りで提供されることが多く、その強烈な香りと味にハマる子もいれば、一口でダメになる子もいました。
その独特な風味と見た目、そして地味な存在感から、時代が進むにつれて徐々に姿を消していき、今ではほぼ伝説と化した存在に…。
特定地域(主に関西・中部)では一定の認知があったものの、全国的な普及には至らず、令和のコンビニやスーパーではまったく見かけることはありません。
干し柿

「干し柿」は、ただの果物ではありません。
冬になると家の軒先に吊るされていた、家族の手間と季節の風景がセットになった日本の伝統的な保存食でした。
渋柿を使って、風に当ててゆっくりと干すことで自然な甘みが凝縮され、外には白い糖の結晶が浮き出る――そんな干し柿は、砂糖とは違うじんわりと染みるような甘さを持っています。
しかし、手間がかかるうえに、そもそも柿を食べたことがないという若者も増え、今ではその味を知らない世代が多数。
スーパーに並ぶことはあるものの、需要は激減し、懐かしの和菓子のような扱いに変化しています。
砂糖がけトースト
今の子どもたちの朝食はグラノーラやスムージーですが、昭和〜平成初期の子どもたちの朝の王者といえば「砂糖がけトースト」でした。
作り方はとてもシンプル、食パンにマーガリン(またはバター)を塗り、上から白砂糖をたっぷりふりかけてトースターで焼くだけ!
表面はカリッと香ばしく、中はふわふわ、ジャリジャリの砂糖が口の中で溶けていくあの感覚は、まさに食べる駄菓子でした。
家庭で簡単に作れる手軽さと、コスパの良さから、多くの親世代に重宝されたメニューでしたが、時代は栄養バランス重視へ。
SNS映えしない素朴な見た目、そして「糖分過多」のイメージから、令和ではほぼ絶滅状態に…。
一部のレトロ喫茶で「バターシュガートースト」として復活の兆しはありますが、あの素朴な味は家庭の食卓からは完全に姿を消しつつあります。
まとめ
時代とともに生活様式が変わり、食卓や駄菓子屋から消えていったこれらの存在には、「手間をかけること」「季節を楽しむこと」「甘さの価値観」といった当時の文化が詰まっていたように思えます。
今や絶滅危惧食となったそれらを、知っている人は懐かしみ、知らない人は一度だけでも体験してみる価値があります。
食の変化は文化の変化、だからこそ、たまには懐かしい味でちょっとだけ時間を巻き戻してみるのもいいかもしれませんね。
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