世界には、まるで絵の具を流し込んだようなピンクやエメラルドグリーン、そして漆黒の湖が存在します。
しかもそれは驚くことに自然がつくり出した色なのです。
そんな常識を覆す、色が主役の絶景湖たちが世界中から観光客を惹きつけています。
今回は、独特すぎる色を放つ絶景湖を紹介します。
ハット・ラグーン(オーストラリア)
オーストラリア西部、パースから車で約5時間の場所に位置する「ハット・ラグーン(Hutt Lagoon)」は、その見た目のインパクトから「ピンクレイク」の名で親しまれています。
面積約70平方キロメートル、南北に14kmも続く大きな塩湖で、最大の特徴は湖水が一年中ピンク色に染まっていることです。
その秘密は「ドナリエラ・サリナ」という藻類にあります。
この微生物は強い日差しと高塩分の環境下で、赤い色素β-カロテンを生成することで湖がピンク色に見えるのです。
この色は天候や時間帯によって変化し、晴れた日の朝や夕方にはより鮮やかなピンクになります。
さらに、近くに広がるインド洋との青とピンクのコントラストも絶景で観光客に人気です。
また最近では、ドローンによる空撮や遊覧飛行でその全貌を眺めるのもおすすめです。
カワ・イジェン火口湖(インドネシア)
インドネシア・ジャワ島東部にある「カワ・イジェン(Kawah Ijen)」は、地球でもっとも過酷で幻想的な湖のひとつと称されます。
標高約2,800メートルの火山の火口にあるこの湖は、世界最大級の強酸性湖で、そのpHはなんと0.5以下、手を入れれば火傷するレベルの酸性度です。
昼間はターコイズブルーの静かな湖に見えますが、真の魅力は夜に現れる「ブルーファイア(Blue Fire)」と呼ばれる青い炎です。
地下から噴き出す高温の硫黄ガスが空気と反応し、夜の闇に青く燃え上がる現象は、地球上でもここでしか見られない貴重な自然現象です。
多くの観光客がこのブルーファイアを見るために、夜中から登山を開始します。
訪れるには防毒マスクが必要で、過酷な道のりですが、それに見合うほどの神秘的な光景が待っています。
シュヴァルツ湖(スイス)
スイス・フリブール州のアルプス山中にある「シュヴァルツ湖(Schwarzsee/Lac Noir)」は、その名の通り「黒い湖」と呼ばれる不思議な湖です。
標高1,046メートルに位置し、周囲を1,500〜2,000メートル級の山々が取り囲む静かな山岳地帯にあります。
湖が黒く見えるのは、湖底に堆積した有機物や泥炭、そして周囲の森林が水面に映り込むことで光を吸収しているからです。
晴れた日には光の角度によってターコイズブルーに見えることもあり、その変化もまた魅力のひとつ。
この湖には「かつて巨人が足を洗ったことで湖が黒く染まった」という伝説も残っており、地元の人々の間では神聖な場所とされています。
湖畔には散策路が整備されており、ピクニックや読書をしながら静かな時間を過ごすにはぴったりの場所です。
まとめ
私たちが「湖」と聞いて思い浮かべる青や透明な水は、世界基準で見ればほんの一部に過ぎません。
色の違いに注目して旅をしてみると、あなたの世界がもっと広がるかもしれません。
色で選ぶ絶景、次の旅のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
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