建築の素人が、設計図なしでマンションを建てたらどうなると思いますか?
高知県にある「沢田マンション」は、建築基準法を完全に無視した「違法建築」ながら、政府に黙認され今も住人が暮らし続けています。
全国から建築マニアが訪れ、住みたいという人までいる程です。
では一体なぜ、違法なのに人気があるのか? 沢田マンションの知られざる魅力を紹介します。
沢田マンションとは?

高知県高知市にある沢田マンション(通称「サワマン」)は、1971年から沢田嘉農さんと妻の裕江さんが独学で建設を始めた集合住宅です。
驚くべきことに、彼らは建築の素人にもかかわらず、鉄筋コンクリート造のマンションを独力で作り上げました。
現在、70世帯・約100人が暮らし、1階にはカフェやギャラリーも併設されています。
なぜ違法建築なのに取り壊されないのか?
沢田マンションは、建築基準法に違反しており、明らかな違法建築です。
それにもかかわらず、なぜ行政が撤去に動かないのかという疑問を持つ人は多いでしょう。
その理由は大きく3つあります。
① すでに住民が暮らしている
現在、沢田マンションには約100人が住んでおり、居住権が確立しています。
法律上、行政が違法建築を強制的に撤去することはできますが、住民の住まいを奪う形になってしまうため、強硬策を取るのは難しいのです。
② 取り壊しコストが莫大
沢田マンションは増築・改築を繰り返した結果、複雑な構造になっています。
これを解体するには多大なコストがかかるため、行政としても簡単には手が出せません。
③ 社会的な影響
このマンションは、建築マニアや観光客にとっても有名なスポット。
行政が強引に撤去しようとすると批判が殺到する可能性があり、結果として「黙認」せざるを得ない状況になっています。
沢田マンションが人気の理由
「違法建築なのに人気がある」というのは一見矛盾しているように思えますが、実は沢田マンションには他のマンションにはない独自の魅力があるのです。
① 家賃が相場より安い
沢田マンションの家賃は、約2万〜5万円程度。
高知市内の一般的なマンションに比べても割安で、低コストで住めるというのが大きな魅力の一つです。
② 自由度の高さ
一般的な賃貸マンションでは、壁に穴を開けたり間取りを変更したりすることはできませんが、沢田マンションでは住人が自由に改築できるという特徴があります。
「こんな家に住みたい」という希望を形にできる点が、クリエイティブな人々に人気を集めています。
③ 建築マニアの聖地
沢田マンションは、日本では珍しい「セルフビルド建築」の代表例として、全国の建築マニアの注目を集めています。
一般的な建築の常識を覆すようなデザインや増改築の仕組みに魅了される人が後を絶ちません。
④ 住人同士のコミュニティ
通常のマンションと異なり、沢田マンションでは住人同士のつながりが強く、「独自のコミュニティ文化」が根付いています。
共同で屋上庭園の手入れをしたり、住民同士でDIYリフォームをしたりするなど、単なる賃貸住宅を超えた共同生活が営まれています。
まとめ
沢田マンションは、家賃の安さや自由な増改築が可能な点が魅力となり、建築マニアの聖地としても人気が高いです。
今後も取り壊されることなく、日本のユニークな建築文化の一例として語り継がれていくでしょう。
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