大人だからこそ心に刺さる、人生を考えさせられる絵本が注目を集めています。
言葉少なに、でも深く、誰かへの感謝、自分の欠けた心、生と死の意味…忘れていた大切なことを、そっと思い出させてくれるんです。
今回は「涙が止まらなかった」「もう一度読み返したい」と話題の、大人にこそ読んでほしい感動絵本を3冊ご紹介します。
明日死ぬかもしれないから今お伝えします

- 著者:サトウヒロシ
- 発行:KADOKAWA
- 出版年月:2016年9月
タイトルからしてドキッとするこの絵本は、ある日突然、目の前に現れた死神から「あなたは明日死にます」と告げられるところから始まります。
冗談のようでいて、その言葉はどうやら本気、主人公は死神に許されたたった一つのチャンスとして、妻へ手紙を書くことにします。
書き始めると、自然とあふれ出す「ありがとう」の数々…
朝起こしてくれてありがとう
笑顔を見せてくれてありがとう
僕の夫になってくれてありがとう
一緒に生きてくれてありがとう
そして最後にこう締めくくられます。
「君と生きたい。これからもずっと愛している」
この絵本のすごさは、ただの感動物語では終わらず、今生きているうちに伝えるべきことに気づかせてくれる点にあります。
いつか言おうではなく、今、言おう。
読むたびに、日常の隣にある幸せの輪郭が、くっきりと浮かび上がります。
ぼくを探しに

- 著者:シェル・シルヴァスタイン
- 発行:講談社
- 出版年月:1977年4月
一見シンプルな線画と少ない文字で構成されたこの絵本は、アメリカの詩人・作家シェル・シルヴァスタインによる哲学的な作品です。
主人公は、なにかが足りないと感じているぼく、自分の欠けたかけらを探しに、ゆっくりと転がりながら旅をします。
途中で見つけたさまざまな「かけら」は、小さすぎたり、大きすぎたり、角ばっていたり…ようやくぴったりのかけらを見つけて完全な円になったとき、彼はこう気づくのです。
「早く転がれるようになったけれど、ミミズとも話せない。花の香りも、蝶の存在にも気づけない」
つまり、欠けていたからこそ見えたものがあったという真理です。
この物語が投げかけるのは、完全じゃない自分を受け入れられるか?という問い。
不完全であることの価値、ゆっくりだからこそ味わえる豊かさ、読み終えたあと自分を許す気持ちがそっと芽生えるような、そんな一冊です。
メメント・モリ

- 文:大森元貴
- 絵:大谷たらふ
- 発行:KADOKAWA
- 出版年月:2021年9月
「旅立つ日がくるって、わかっているけど、どんなだろう」
そんな静かなつぶやきから始まるのが、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さんが文を手がけた絵本『メメント・モリ』です。
天国に行ってしまったおじいちゃん、おばあちゃん、にゃあご(飼い猫)に会いたい、そう願うぼくは、夢の中で不思議な旅に出ます。
そこはまるで天国のような、穏やかで優しい世界、そして大好きだった存在たちと再会しこう告げられます。
「ずっとここから見ているからね」
目覚めると朝。
すべてが夢だったことに気づきながらも、ぼくは確信します。
「心の中にいれば、いつでも会える」と。
この絵本は、memento mori(死を思え)というラテン語の精神をやわらかく子どもにも届くように、大人の心にも深く響くように描かれています。
死を意識することで、今を大切にする、その気づきは今を生きる力をくれるものなのです。
まとめ
大人になった今だからこそ、絵本が教えてくれることがあります。
「感謝を伝えること」「不完全な自分を受け入れること」「死を見つめて生を大切にすること」、どれも生きていくうえで忘れがちな本質ばかりです。
絵本は短いけれど、心に残るメッセージは一生モノ、忙しい毎日にこそ、静かに心と向き合える絵本の時間を持ってみませんか?
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