無限城って何がそんなにすごいの?1回見たけど、細かい演出までは気づけなかったかも…そんな方にこそ読んでほしいのが本記事です。
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来は、ただのアクションアニメ映画ではありません。
10年かかると言われたCG制作、原作にない演出、さらにはファンを唸らせる音楽アレンジまで…一つひとつのシーンに込められたこだわりを知れば、もう一度見たい!がもっと深く、感動的になりますよ。
※【ネタバレ注意】
無限城のCGが、3年半で完成できた理由

無限城編の最大の見どころの一つが、圧倒的な映像美を誇る「無限城」の再現です。
制作を手掛けたのは、超美麗作画で知られるアニメ制作会社 UFOTABLE(ユーフォーテーブル)、そのUFOTABLEでさえ、無限城のCGモデリングとレンダリングには、1作あたり3年半かかると試算していました。
つまり3部作として計画された場合、総計10年以上を要するという、アニメ業界でも前代未聞のスケールだったのです。
ところが驚くべきことに、実際には映画全体の制作を3年半で完成させています。
では、どうやってその奇跡を成し遂げたのでしょうか…?
UFOTABLEは次の3つの改革で、大幅な制作スピードアップを実現しました。
- 最新型の高速レンダリングマシンを導入し、作業環境を刷新
これにより膨大なCG処理時間を短縮 - 技術的課題を地道に改善し、エラーやボトルネックを一つひとつ解消
背景の動きや反射、水面の挙動など、映像に直結する問題を徹底して最適化 - 社内の他作品制作を一時調整し、全スタッフを「鬼滅の刃」専任にする体制を構築
制作後期には、UFOTABLEの制作部門ほぼすべてがこのプロジェクトに集中したと言われています
こうして、当初「モデリングだけで3年半」とされた無限城を含む本作を、映画1本分のすべてとして3年半で完成させることに成功したのです。
もう一度映画を観るときは、背景の圧倒的な密度と空間構成の異様さ、無限に続く階層の歪みにぜひ注目してみてください。
アニメオリジナル演出のこだわりに注目
原作ファンをも驚かせたのが、劇場版ならではのアニメオリジナル要素の数々です。
制作陣の愛とこだわりが込められた演出が、物語に厚みを加え世界観をさらに豊かにしています。
- 姫島行冥の墓参りシーン(冒頭)
亡き隊士たちに祈りを捧げる姫島の姿が描かれ、まるで『無限列車編』の冒頭、産屋敷耀哉と天音夫妻が墓を歩くシーンのオマージュのよう。意思を継ぐ者の重みが静かに伝わる、印象的な導入です。 - 善逸と開学の対比演出
開学の背景に登場した花「鬼灯(ほおずき)」には、「偽り」「隠し事」という花言葉があり、彼の内面や嘘、虚飾を象徴しているように描かれています。一方、善逸は一つの型「霹靂一閃」だけを極め、漆ノ型「火雷神」に昇華するなど、努力と信念の対比構造が明確化されています。 - 鬼殺隊一般隊士の奮闘シーン
原作では描かれていなかった、柱と共に戦うモブ隊士たちの動きがアニメで丁寧に描写。特に「村田隊士」の見せ場がファンからも好評で、総力戦のリアリティを支える重要なシーンとなっています。
これらの演出は、原作の世界観を壊すことなく、アニメならではの表現力でキャラクターの深みを補完、一度観た後で再び観ると、これらの細かな演出がより強く心に残るはずです。
過去作を彷彿とさせる音楽演出の妙

映像や演出に目を奪われがちですが、音楽の演出こそが、本作を記憶の続編にしている最大の要素といえるかもしれません。
実は本作では、過去の名場面のBGMが、シーンの意図に合わせて巧みにアレンジされて使われています。
- 猗窩座と炭治郎の対峙シーン
ここでは『無限列車編』で猗窩座が初登場した際のBGMがアレンジされて使用されています。観客は自然と「煉獄杏寿郎の死」と向き合うあの名場面を思い出し、深い感情を呼び起こされる仕掛けです。 - 善逸のシーンにおける音楽回帰
禰󠄀豆子を想う善逸の描写では、『無限列車編』の夢の中での戦闘BGMが再構築されて流れます。キャラの感情と音楽がシンクロすることで、観客の心にも過去作の記憶が重なります。 - キャラごとの演出に合わせた音の個性
胡蝶しのぶの虫の呼吸のエフェクトに合わせたSE(効果音)、開学の技に宿る“破壊的な圧”を表現する重低音など、音の演出にもキャラクター性が反映されており、作品全体を通して聴いて楽しむ魅力が高められています。
一度観ただけでは気づかない音楽の演出は、リピート鑑賞でこそ真価を発揮します。
イヤホンや音響の良い映画館で再び鑑賞することで、細部の音の伏線にもきっと気づくはずです。
まとめ
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来は、映像・演出・音楽のすべてにおいて、細部までこだわり抜かれた超大作です。
制作会社UFOTABLEの努力により3年半で公開が実現し、スクリーンに息を呑むような空間を出現させました。
原作にはないアニメオリジナル演出や、過去作との繋がりを感じさせる音楽の演出も作品世界をより深く味わう鍵となっています。
1度目の鑑賞で気づけなかったポイントに注目することで、2度目の鑑賞はより感動的で豊かな体験となるのではないでしょうか?
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