アニメは多くの人々に愛される一方で、時に社会的・倫理的な問題や放送内容に対する視聴者のクレームが原因で放送中止に追い込まれることがあります。
「あのアニメ、気づいたら消えてたな…」なんて経験ありませんか?
今回は、クレームや批判によって放送中止となったアニメを5作品ご紹介します。
大人の事情で放送中止になったアニメ5選
幻の初代『ドラえもん』(1973年・日本テレビ動画)
現在の国民的アニメ『ドラえもん』とは別に、1973年に一度放送された初代ドラえもんをご存じでしょうか?
制作は日本テレビ動画という会社で、内容は今と異なり、いたずら好きなポンコツドラえもんが主人公でした。
この作品は視聴率の低迷と裏番組の強さ(マジンガーZなど)に加え、作画・演出の質にもクレームが多く寄せられ、放送中から厳しい批判にさらされていました。
さらなる問題は、制作会社の経営者が突如失踪し、会社そのものが解散解散してしまったことです。
結果、放送は8話で打ち切り、作品資料も一切処分され、幻の作品となりました。
- 「絵が雑で子ども心に怖かった記憶がある」
- 「今のドラえもんしか知らなかったから、初代版の存在に驚いた」
『ポケットモンスター』第38話「でんのうせんしポリゴン」(1997年)
ポリゴンショックとして語り継がれるこの回では、ピカチュウの10まんボルトとともに強烈なフラッシュ演出が25箇所以上使われました。
その結果、全国で約700人が体調不良を訴え、救急搬送される前代未聞の放送事故となってしまいました。
放送後には社会全体が騒然となり、アニメ表現の在り方や子どもの視聴環境が問われ、以降この回は完全封印、ポリゴンもアニメには再登場していません。
- 「当時リアルタイムで観てたけど、あのフラッシュは確かにキツかった」
- 「兄が倒れてびっくりした。当時のニュースもすごかった」
『浦安鉄筋家族』(1998年)
ギャグ漫画として人気を誇る『浦安鉄筋家族』ですが、1998年のアニメ放送時には第27話「カレーレスジャー隊」が放送中止になりました。
その理由は、当時社会を騒がせた「和歌山毒物カレー事件」です。
作中でカレーが中心となる回だったため、「不謹慎だ」とのクレームが殺到し、急遽放送が見送られることとなりました。
このエピソードはDVDでのみ視聴可能となっています。
- 「放送中止の話を聞いて逆に見たくなりました。あれだけの人気作でもダメなんだと驚きました」
- 「当時は連日のように毒カレー報道があり、家庭でもカレーを避けていた記憶があります」
『学校の怪談』第3話「口裂け女」(2000年)
2000年に放送された『学校の怪談』は、子ども向けのホラー作品として人気を集めました。
しかし、第3話「口裂け女」に関する予告が流れた直後、とある障がい者団体からの抗議を受けて急遽放送中止となりました。
この回では、口裂け女が登場する予定でしたが、「口唇口蓋裂」という先天性疾患を連想させるとして、差別的・不適切であるという理由でクレームが寄せられたのです。
そのため、3話は放送されず、1話と2話の再編集版が代替放送されました。
以後DVDなどでも収録されることはなく、封印回となっています。
- 「放送されなかったことで逆に気になりました。幻のエピソードって感じですね」
- 「病気との関連で問題視されるとは当時は思いもしませんでした」
『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)
『まどマギ』は、その可愛らしいビジュアルと裏腹に、ダークで衝撃的なストーリー展開で話題となりました。
特に終盤に向けての展開は重く、視聴者の間でも大きな議論を呼びました。
しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、放送は第10話を最後に一時中断されます。
特に最終話では都市の崩壊や地割れの描写が含まれており、被災者への配慮から放送を延期する対応をとりました。
約1ヶ月後に再開されるまでは、先の展開を待つファンの間でさまざまな憶測も飛び交いました。
現在では問題なく視聴することができます。
- 「震災と重なってリアルにきつかったです。延期は正しい判断だったと思います」
- 「作品の内容が深くて、リアルとリンクしてしまいました。再開まで気持ちが落ち着きませんでした」
まとめ
今回ご紹介した作品はいずれも、制作者の意図とは異なる社会的要因や倫理的配慮によって放送中止に追い込まれたものです。
視聴者の健康や社会情勢への配慮は大切ですが、その一方で作品が封印されてしまうことには複雑な思いも残ります。
近年では再編集や再放送といった形で対応されることも増えており、視聴者の声が無視されない風潮が広がっていることは、今後のアニメ制作においても前向きな変化といえるでしょう。
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