かつてテレビCMでも、店舗前のベンチでも当たり前のように目にしていたドナルド・マクドナルド、しかし気づけばいつの間にか姿を消し今では懐かしキャラ扱いに…。
なぜ突然メディアから姿を消したのか?そこには、時代の価値観の変化と企業戦略の大転換がありました。
ドナルドはなぜ生まれ、なぜ愛されたのか?

ロナルド・マクドナルド(正式名称)日本ではドナルド・マクドナルド(Ronald McDonald)は、1963年にアメリカでマクドナルドの公式キャラクターとして誕生しました。
ピエロ風のカラフルな見た目と陽気な性格で、特に子どもをターゲットにした広告戦略の中心として世界中で活躍、日本では1970年代から登場し、1990年代〜2000年代初頭にかけてテレビCM、紙媒体、店頭イベント、さらには店舗前のベンチに座る等身大人形など、まさにマクドナルドの顔として大活躍しました。
しかし、ある時期から急速に広告からドナルドの姿が消えていったのです。
社会的批判の高まりと広告戦略の転換
ドナルドが広告から消えた大きな要因のひとつが、子どもをターゲットにしたジャンクフード広告への社会的批判の高まりです。
2010年頃、アメリカの市民団体CSPI(Center for Science in the Public Interest)は、マクドナルドを名指しで批判、「ドナルド・マクドナルドは、50年にわたり子どもを不健康な食品へと誘導してきた」として、広告からの排除を訴える「Retire Ronald(ドナルドを引退させろ)」キャンペーンを展開しました。
この動きはアメリカ国内だけでなく、世界各国に波及、子どもの肥満問題や健康被害への関心が高まる中で、マスコットキャラクターを使った広告は倫理的に問題があるとされるようになったのです。
加えて、マクドナルド自身も広告戦略を見直し、主なターゲットを子どもから大人・ファミリー層へとシフト、健康志向を打ち出す必要性もありキャラクター広告から徐々に距離を取るようになっていきました。
こうした背景により、ドナルドは徐々にCMや販促物から姿を消していったのです。
今も消えていない?ドナルドの「裏方」活動
とはいえ、ドナルド・マクドナルドが完全に姿を消したわけではありません。
広告塔としての役割は終えましたが、現在は社会貢献活動の一環として、静かに活動を続けています。
代表的なのが、マクドナルドが支援する慈善団体「ロナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ(RMHC)」における活動で、難病の子どもたちとその家族のために、病院の近くに滞在施設を提供するこの活動において、ドナルドは子どもたちを励ます「応援キャラ」として活躍中です。
また、日本でも完全に消えたわけではなく、たとえば静岡駅で行われた詐欺啓発イベントにドナルドが登場し、「教祖復活」「一番不審者で草」など、SNS上で話題になりました。
広告からは消えても、そのインパクトや存在感は未だに健在なのです。
まとめ
ドナルド・マクドナルドが広告から姿を消した背景には、「子ども向けキャラクター×不健康な食品」という組み合わせが社会的に受け入れられなくなったという時代の流れがあります。
企業としても責任ある広告活動が求められる中で、自然とドナルドの役割は終わりを迎えたのです。
しかし完全に消えたわけではなく、今も病院やイベントなどで、子どもたちに元気と笑顔を届けています。
私たちの記憶の中に残るあの笑顔は、これからも静かに社会のどこかで、誰かを励まし続けていくのかもしれません。
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