「お酒の量が増えてきたけれど、やめられない」「今日は控えようと思っていたのに、つい飲んでしまった」そんなふうに感じている人はいませんか?
アルコールにまつわる悩みは、決して珍しいものではありません。
一方で「自分が依存症なんて……」と認めたくなかったり「意志が弱いだけ」と思い込んで相談をためらってしまったりする人も多いものです。
この記事では、アルコール使用障害(AUD)の特徴や背景、そして心とからだを整えるための東洋医学的な視点について、やさしく解説していきます。
アルコール使用障害(AUD)とは?
まずは「アルコール使用障害」とは何か、詳しくみてみましょう。
飲酒のコントロールが難しくなる
アルコール使用障害とは「お酒をやめたい、減らしたい」と思っても、うまくコントロールできない状態を指します。
たとえば、以下のようなケースです。
- 予定より多く飲んでしまう
- 飲酒が原因で体調不良や仕事のミスが起きても、やめられない
- 「今日はやめよう」と思っても飲んでしまう
このような状態が繰り返されると、アルコール使用障害と判断されることがあります。
日常生活への影響が大きくなる前に、気づくことが大切です。
「意志の弱さ」とは関係ない
アルコール使用障害は「本人の意志が弱いせい」と誤解されることが多いですが、実際にはそうではありません。
アルコールには脳の働きを変化させる作用があります。
その影響で「飲まないと落ち着かない」「不安になる」「眠れない」といった状態になり、意志の力だけでは止められなくなるのです。
つまり、アルコール使用障害は「心とからだの病気」であり、根性論ではなく適切なサポートが必要なのです。
なぜアルコール使用障害になるのか?
「なぜやめられないのか」には、実はさまざまな背景があります。
ストレスや不安がきっかけになる
仕事や家庭、人間関係の悩みなど、ストレスの多い現代では、「お酒でリラックスしたい」と感じるのは自然なことです。
最初は少量だった飲酒が「気持ちを切り替えるため」「ストレスを紛らわせるため」に習慣化していくと、次第に量が増え、やめられなくなってしまうことがあります。
とくに、ストレスをうまく発散できず、心が疲れているときには、アルコールに頼る頻度が高まりやすくなります。
睡眠や気分のトラブルとも関係
眠れない夜に、アルコールで気持ちを落ち着かせようとする人も少なくありません。
たしかに、一時的には眠気を誘う効果がありますが、実はアルコールによる睡眠は質が悪く、夜中に何度も目が覚めたり、深く眠れなかったりします。
こうした状態が続くと「朝から疲れが残る」「気分が落ち込みやすくなる」といった不調が重なり、再びアルコールに頼ってしまう……という悪循環に陥ってしまうのです。
東洋医学で「整える」視点を持つ
アルコール使用障害に向き合うには、医師や専門家のサポートを受けることがとても大切です。
そのうえで、毎日の生活や心身の状態を見直す考え方として、東洋医学の「整える」という視点を取り入れてみましょう。
体質に寄り添うケアでリズムを取り戻す
東洋医学では、心とからだの状態を「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素の巡りや過不足からとらえ、全身のバランスを大切にします。
アルコールに頼りたくなる状態は、気持ちの波だけでなく、からだの調子や生活リズムの乱れが影響していることもあります。
たとえば、以下のようなケースです。
- 「気」が滞り、イライラする
- 「血」が不足して寝つきが悪い、眠りが浅い
- 「水」の巡りが悪く、倦怠感がある
こうした偏りがあると、心身ともに不安定になりやすくなります。
東洋医学では、体質や状態に目を向けてバランスを整えることで、気持ちの安定や睡眠の改善をサポートします。
自分に合った漢方薬という選択肢
西洋医学と併用して、心とからだ全体のバランスを整える手段として、漢方薬を取り入れるという方法もあります。
たとえば以下のような漢方薬です。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
イライラや不安感が強く、不眠や動悸がある人に向いています。
上半身に滞った気(エネルギー)を降ろすことで精神を安定させ、動悸、のぼせ、高血圧、イライラ、不安などに用いられます。
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
疲れやすくて、貧血気味の人に向いています。
からだに不足している気(エネルギー)と血(栄養や潤い)を補うことで体力を回復させ、心を落ち着かせて、不眠、精神不安、貧血などに用いられます
どちらも医師や薬剤師による体質チェックをもとに選ぶのが安心です。
最近では、オンラインで相談・購入ができ、気軽に始められる「あんしん漢方」などのサービスもあります。
まとめ
アルコール使用障害は、意志の問題ではなく、からだと心からのサインかもしれません。
無理に我慢するのではなく、専門家と一緒に自分の状態を見つめ直し、整えていくことが大切です。
東洋医学の視点では、心身のバランスを「整える」ことが回復への近道だと考えます。
あなたやご家族の「ちょっと気になる」を見逃さず、一歩踏み出すきっかけになりますように。
<この記事の監修者>

医師|木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
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