朝食の定番として世界中で親しまれているコーンフレーク、子どもから大人まで気軽に食べられる人気食品ですが、その誕生の背景を知ると少し見方が変わるかもしれません。
実はこのシンプルなシリアル、もともとは健康思想から生まれた食品であり、開発者の価値観や兄弟の確執まで絡んだ、意外とドラマチックな歴史を持っています。
禁欲思想から生まれたコーンフレーク
コーンフレークを開発したのは、19世紀アメリカの医師ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ、彼は健康療養施設を運営していた人物で、食事療法を重視する医療思想の持ち主でした。
特に特徴的だったのが、非常に強い禁欲志向で、肉や刺激の強い味付けは身体や精神に悪影響を与えると考え、穀物中心の質素な食事を理想としていたのです。
その思想のもとで生まれたのが、トウモロコシを加工したフレーク状の食品、コーンフレークです。
「性欲を抑えるための食品」と語られることもありますが、実際には健康改善の一環として作られたのが主目的で、当時としてはかなり独特な食文化から生まれた食品だったと言えるでしょう。
甘い革命と兄弟の決裂
しかし、このままでは大衆食品にはなりませんでした。
転機を作ったのは、弟のウィル・キース・ケロッグ、彼は兄とは違いビジネス感覚に優れた人物でした。
質素すぎるフレークを一般家庭に広めるには、もっと食べやすくする必要がある、そう考えた彼は大胆な改良に踏み切ります。
そこで砂糖を追加し、味気ない療養食だったコーンフレークは、一気に親しみやすい朝食へと変化、甘くて手軽なシリアルは特に子どもたちに受け入れられ、爆発的に普及していきます。
しかしこの路線変更は、理念を重視する兄には受け入れられず、商標や製法を巡って裁判に発展し兄弟の関係は事実上の決裂へ進んでしまったのです…。
まとめ
当たり前の存在となったコーンフレークですが、その裏には禁欲的な健康思想と、兄弟の価値観の衝突という意外な歴史がありました。
質素な療養食として生まれた食品が、甘くて手軽な世界的朝食へと進化したのは、ある意味で時代とビジネスの象徴とも言えるでしょう。
何気なく食べている身近な食品にも、こうした背景を知ると少し違った味わいが生まれるのかもしれませんね。
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