秋から冬にかけては、風邪やインフルエンザなどの感染症が気になってくる時季です。
「気をつけているのに毎年風邪をひいてしまう……」「体調を崩すと回復に時間がかかる」そんなお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、秋冬に感染症が広がりやすい理由と、免疫力を高めるための生活習慣や漢方薬の活用法をご紹介します。
からだの外と内の両方からケアして、感染症に負けないからだづくりを始めましょう。
秋冬に感染症が広がる理由
まずは、なぜ秋から冬にかけて感染症が流行しやすくなるのかを見てみましょう。
空気の乾燥でウイルスが活発になる
秋冬は気温が下がり、空気が乾燥しやすくなります。
空気が乾燥すると、風邪やインフルエンザなどのウイルスは空気中を長くただよい活発になってしまうため、感染症が広がりやすくなるのです。
バリア機能の低下
寒さや乾燥によって、喉や鼻の粘膜はダメージを受けやすくなります。
粘膜のバリア機能が弱まると、ウイルスが侵入しやすくなり、感染リスクが高まります。
さらに、寒さによる体温の低下も免疫力を下げる原因に。
秋冬はからだがウイルスに対して無防備になりやすい季節といえるでしょう。
室内での接触が増える
寒くなると、屋外よりも室内で過ごす時間が長くなります。
そのぶん、人との距離が近くなる機会も増えるため、飛沫感染などのリスクが高まるのです。
さらに、換気が不十分な場所ではウイルスがこもりやすく、集団感染の原因にもなります。
感染症予防に欠かせない生活習慣
秋冬の感染症を防ぐには、まず日々の生活習慣を見直すことが大切です。
こまめな手洗い・咳エチケット
手洗いは感染予防の基本です。外出後や食事前には、石けんを使って指先まで丁寧に洗いましょう。
また、咳やくしゃみが出るときは、マスクを着けるか、腕の内側で口元を覆うなどの咳エチケットを守ることも大切です。
ウイルスを広げない意識が、周りの人を守ることにもつながります。
部屋の加湿と換気を意識する
室内の湿度は50~60%が理想的です。
加湿器を使うだけでなく、濡れタオルを干す、鍋でお湯を沸かすなどでも湿度は上げられます。
また、こまめな換気も忘れずに。
定期的に数分間窓を開けて空気を入れ替えるだけでも、ウイルスを外に追い出すことにつながります。
質のいい睡眠をとる
睡眠中、からだはダメージを回復し、免疫機能を高める働きをします。
夜ふかしや寝不足が続くと免疫力が落ちて、風邪をひきやすくなってしまいます。
寝る前はスマホを長く見ない、湯船にゆっくり浸かるなど、いい睡眠のための工夫をしてみましょう。
免疫力を高めるには「内側からのケア」も大切
外からの対策だけでなく、からだの中から免疫力をサポートする意識も大切です。
栄養バランスの取れた食事を心がける
からだを守る免疫細胞は、毎日の食事からつくられます。
とくに意識したいのが、たんぱく質・ビタミン類・ミネラルなどの栄養素です。
たとえば、コーヒーやワインに含まれるポリフェノール類や、サバ・イワシなどの青魚に豊富なn-3系脂肪酸(EPA・DHA)は、免疫の働きを支える成分として注目されています。
さらに、ビタミンCやEといった抗酸化作用のあるビタミン、βカロテンなども、免疫機能を保つうえで役立ちます。
からだを冷やさない
体温が1℃下がると、免疫力が30%も低下するといわれています。
冷たい飲み物を控える、温かい食事を摂る、首・手首・足首を冷やさないなど、冷え対策を習慣にしましょう。
漢方薬での感染症対策もおすすめ
免疫力を整えるには、漢方薬を取り入れるのもひとつの方法です。
漢方薬は、体質そのものにアプローチして、からだを内側から整えてくれます。
免疫力を高めたい場合には、
- 自律神経のバランスを整え、ストレスによる疲労を減らし、睡眠の質を上げる
- 消化・吸収機能を改善することで内側から心とからだを元気にする
- 血流をよくしてからだ全体に栄養を届ける
などの働きをもつ漢方薬を選ぶといいでしょう。
たとえば以下のような漢方薬があります。
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
胃腸の働きを高めるとともに、血流をよくしてからだに栄養を送ることで、体力低下や疲労倦怠、貧血、冷えを改善する漢方薬です。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の働きをよくして気力を充実させることで、疲労倦怠、食欲不振を改善する漢方薬です。
漢方薬は体質に合わせて選ぶことが大切です。
「何を飲めばいいかわからない」という方は、オンライン漢方相談サービス「あんしん漢方」がおすすめ。
スマホで体調をチェックするだけで、薬剤師が体質に合った漢方薬を提案し、自宅に郵送してくれる便利なサービスです。
まとめ
秋冬は、乾燥・寒さ・人との距離の近さなど、感染症が広がりやすい条件がそろう季節です。
まずは、手洗いや加湿、睡眠など基本的な生活習慣を見直し、免疫力を整えることが大切です。
さらに、食事や冷え対策、そして自分に合った漢方薬を取り入れることで、感染症に負けない「強いからだ」を育てることができます。
忙しい季節だからこそ、元気に過ごすためのケアを早めに始めていきましょう。
<この記事の監修者>

医師|木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
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