ワンピース、ドラゴンボール、ハンターハンター、誰もが知る国民的漫画ですが、実は知れば鳥肌が立つような隠された設定や意外すぎる誕生秘話が存在します。
あなたの心を熱くしたあの名シーン、実はあの一言がきっかけだった!?
今回は、漫画界を牽引してきた伝説の3人の作家、尾田栄一郎・冨樫義博・鳥山明が生み出した、あまりにも有名であまりにも知られていない驚愕の裏話を紹介します。
尾田栄一郎、ありがとうに込めた感謝の美学

『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎は、物語だけでなくセリフ一つ一つにも徹底的に意味を持たせる作風で知られています。
中でもファンの間で語り継がれているのが、「キャラクターにはありがとうと言わせる」というルールがあります。
尾田氏は、感謝を表す言葉に関してサンキューやどうもではなく、必ず「ありがとう」を使うよう徹底しているのです。
理由はシンプルながら深い…「ありがとうには、人の心に響く力があるから」。
どれだけ粗暴なキャラクターでも、仲間や他者に対して感謝する場面ではありがとうと口にさせる、それが言葉の力を信じる尾田流の礼儀であり人間描写の軸なのです。
また、主人公・ルフィには一切モノローグ(心の声)が存在しません。
思っていることは全部口に出すキャラクターであるルフィには、裏表がなく言葉=本音であるべきという哲学があるからです。
これもまた、「読者が信じられる主人公像を描きたい」という強い信念の表れと言えるでしょう。
こうしたルールを貫くことで、『ONE PIECE』は物語だけでなく、セリフやキャラの言動そのものが、熱く信じられるものとして支持され続けているのです。
冨樫義博、兄弟の名前で暗殺者の宿命を語る男

『HUNTER×HUNTER』の作者・冨樫義博といえば、週刊連載という概念に風穴を開けた漫画家としても有名ですが、その裏にある設定の深さには毎回驚かされます。
中でもファンの間で鳥肌が立つと語られるのが、ゾルディック家兄弟の名前の構造です。
『イルミ → ミルキ → キルア → アルカ → カルト』
一見するとただのしりとりだけのようですが、実は全員に共通する文字があります。
それが「ル」。
この「ル」にも意味があり、ルガール(Rugal)とはギリシャ語で殺し屋や暗殺者を意味する単語です。
つまり、ゾルディック家の子どもたちは名前そのものに暗殺者としての宿命が織り込まれているという解釈ができるのです。
冨樫先生がこれを明言しているわけではありませんが、過去の念能力の複雑さや設定資料の緻密さを考えると、偶然とは到底思えないレベルの仕掛けと言えるでしょう。
また、HUNTER×HUNTERのタイトルも、ガキの使いでダウンタウンの浜田雅功さんが「なんで2回言うねん!」と突っ込んでいたのを見たことがきっかけだとか…。
「この無意味に見える繰り返しに、妙に惹かれた」と語る冨樫先生らしい、ユーモラスな直感とセンスが光っています。
こんなふうに、深すぎる設定とゆるすぎる発想が同居しているのが冨樫作品の最大の魅力です。
鳥山明、手抜きから生まれた伝説の金髪

『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空がスーパーサイヤ人に変身したとき、読者に強烈なインパクトを与えたのが金色の髪と青緑の瞳です。
しかし、実はこのビジュアルが生まれた理由が「作画の手間を省くため」というのはあまりにも有名な裏話です。
鳥山先生は「黒髪だとベタ塗りが大変。金髪にすれば白抜きで済む」と、作画時間短縮のために髪を金色(白)にしたと語っています。
加えて、当時はアシスタントも少なかったため、なおさら効率化が必要だったそうです。
この作業効率化から生まれた演出が、結果的に覚醒という概念にぴったりはまり、以後のバトル漫画にも多大な影響を与えたのですから恐ろしい話です。
さらに、鳥山先生は『Dr.スランプ』の時代にも、変な発明家・千兵衛を主人公にしたつもりが、編集者・鳥嶋和彦さんの「この女の子(=アラレちゃん)を主役にした方が面白い!」という鶴の一声で物語の軸が変更されたという裏話も有名です。
当時のジャンプで女の子が主役というのは極めて異例でしたが大成功、アニメでは『Dr.スランプ アラレちゃん』というタイトルになり、国民的キャラクターに成長しました。
鳥山明先生の作品は、どこかゆるくて遊び心にあふれていながら、その中に時代を変える何かを宿しているのが最大の魅力です。
まとめ
国民的漫画の舞台裏には、時に鳥肌が立つほどの伏線、時に笑ってしまうような偶然が詰まっています。
こうした裏話を知ることで、普段読んでいる漫画の見方が大きく変わるかもしれません。
創作の裏にある作家の哲学を感じ取ることこそ、漫画の本当の楽しみ方なのかもしれませんね。
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