韓国ドラマで、茶色い液体の入った袋を飲んでいるシーンを見たことはありませんか?
あれは「ポヤク」と呼ばれる、韓国独自の滋養強壮ドリンク。
からだをいたわる“飲むケア”として、韓国ではとても身近な存在です。
この記事では、ポヤクの意味や背景、そして日本でもできるポヤク的なセルフケアについて、やさしくご紹介します。
ポヤクとは何か
まずは、ポヤクという言葉の意味や役割を見ていきましょう。
韓国では「滋養強壮のための薬膳」的な存在
ポヤク(보약)は、韓国語で「補う薬」という意味を持ちます。
病気を治す薬ではなく、疲れたからだを整えたり、元気を補ったりするための“滋養ドリンク”のような存在です。
煎じた漢方薬をパウチに詰めた形で処方されることが多く、韓国では体調がすぐれないときや産後の回復、季節の変わり目などに、クリニックや漢方薬局で処方されるのが一般的です。
「薬」と聞いて少し重たく感じるかもしれませんが、韓国ではもっと日常的で、食事やサプリの延長のように使われています。
ポヤクの基本は「からだを整える」という考え方
ポヤクは、体調が崩れてから使うのではなく「不調になる前に整える」ことを目的としています。
たとえば、気温差が激しいとき、なんとなく疲れが抜けないとき、更年期や年齢の節目など、「今ちょっとバランスが崩れているかも」と感じたときに取り入れることで、調子を立て直していくのが特徴です。
こうした考え方は、東洋医学の「未病(みびょう)」=まだ病気ではないけれど不調のサインがある状態をケアするという考えに近いものです。
ポヤク文化が根づく背景
では、なぜ韓国ではこれほどまでにポヤクが生活に浸透しているのでしょうか?
韓医学のベースにある“補う”ケア
韓国には「韓方医学」と呼ばれる伝統医療があり、からだのバランスを整えることを重視しています。
ポヤクは、この韓医学に基づいて、体質や不調の状態に合わせて処方されるものです。
たとえば、「疲れやすい」「冷えやすい」「やる気が出ない」といった症状があると、それらを引き起こしているからだの“足りない部分”を見極めて、気を補う生薬、血を養う生薬、からだを温める生薬などを組み合わせて作られます。
西洋医学のように“症状を取り除く”というよりは、“根本から整える”というアプローチがポヤクの魅力です。
季節の変わり目や年齢の節目に贈る文化も
韓国では、ポヤクを「大切な人に贈る」という文化もあります。
とくに、大切な家族へのプレゼントとして人気があり「これからも元気でいてね」という思いを込めて贈られることが多いです。
また、季節の変わり目や仕事の繁忙期、産後など「からだが弱りやすい時期」に家族や恋人へポヤクを渡すのも日常的な光景です。
こうした文化が、滋養を大切にする意識を生活のなかに根づかせているのです。
日本でもできる「ポヤク的ケア」
日本にはポヤクそのものはあまり浸透していませんが、同じように「からだを内側から整える」セルフケアは可能です。
「気血水」を意識してバランスを整える
東洋医学では、からだの中には「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(体内の水分)」があり、これらがバランスよく巡ることで健康が保たれるとされています。
ポヤク的なケアを日本で取り入れるには、まずはこの「気血水」のバランスに意識を向けてみましょう。
- 疲れがとれない → 気が不足しているかも
- 顔色が悪くめまいがある→血が不足しているかも
- むくみが強い → 水が滞っているかも
こうしたからだのサインに気づくことが、整える第一歩になります。
食事からの滋養を意識する
日々の食事でも、ポヤクに近い滋養を取り入れることができます。
からだを元気にしてくれる「補う」食材としては、以下のようなものがあります。
- 枝豆、山芋、もち米、なつめ(気を補う)
- ベリー類、レバー、黒ごま(血を補う)
- 豆類のお茶、きゅうり、海苔(水を巡らせる)
これらを積極的に食事に取り入れることで、少しずつからだのベースが整っていきますよ。
自分の体質に合った漢方薬を取り入れる
「からだを整えたいけど、何から始めればいいかわからない」
そんなときは、自然由来の漢方薬を活用するのもひとつの方法です。
以下のような漢方薬は、ポヤクのようにからだのバランスを内側から整えてくれます。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠感、食欲不振、虚弱体質に。
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう):慢性的な疲労感、手足の冷え、貧血に。
どの漢方薬が合っているかは人によって異なるため、専門家に相談しながら選ぶと安心です。
オンラインで漢方相談ができる「あんしん漢方」などのサービスを利用すれば、忙しい人でも手軽に自分に合った処方を見つけられます。
今年の冬は漢方薬をお守りに、体調管理に気を付けてみませんか?
まとめ
韓国ドラマでよく見かける茶色い薬「ポヤク」は、からだのエネルギーや血の巡りを補って整える“韓国式セルフケア”のひとつです。
韓国では体調を崩す前にポヤクで整える文化があり、現代の忙しい人にこそぴったりの考え方といえます。
日本でも、食事や漢方薬、生活習慣の工夫を通して、ポヤク的な滋養ケアを取り入れることができます。
「最近なんとなく元気が出ない」と感じたら、自分のからだにやさしく目を向けるチャンス。
まずはできることから、“整える”習慣を始めてみませんか?
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師|中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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