なぜ「大川周明」は歴史から消えたのか?教科書が触れたがらない危険な思想家とは

大川周明

日本の近現代史には、強烈な思想と行動で存在感を放ちながらも、教科書ではほとんど触れられない人物がいます。

大川周明はアジア主義の旗手としてインド独立運動を支援し、国家改造論を唱え多くの軍人や官僚に影響を与えました。

一方で、東京裁判で東條英機の頭をはたいた奇行でも知られており、天才と狂気が同居した人物として語られることもあります。

なぜ彼ほどの影響力を持つ思想家が、現在の公教育ではほとんど扱われなくなったのでしょうか…。

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アジア主義の旗手としての大川周明

大川周明
Via|Wikipedia(左)大川周明/1936年(右)東條の頭を叩き両肩を抑えられる大川と苦笑する東條(公式より引用)

大川周明(1886〜1957)は、東京帝国大学で宗教学や思想史を学んだ知識人で、若い頃からアジアの民族独立運動に強い関心を寄せていました。

彼は欧米列強による植民地支配を強く批判し、「アジアはアジア自身の力で解放されるべきだ」という理念を掲げます。

特に有名なのが、インド独立運動家ラース・ビハーリー・ボースを支援したことです。

ボースは日本へ亡命し、その後インド国民軍(INA)設立へつながる重要な活動を行いましたが、その背景には大川の思想的・人的な支援がありました。

のちにインド独立の象徴的存在となるチャンドラ・ボースへ続く流れにも、大川の存在が影響を与えたと考えられています。

また、大川は「回教概論」などイスラム研究でも先駆的な業績を残し、宗教学者・東洋思想家としても高く評価されており、彼は政治活動家というより学問的素養に裏打ちされた思想家だったといえるでしょう。

しかし、その思想の急進性と日本の国家改造を求める姿勢は、やがて軍部の若手将校や参謀層に強い影響を与え、時代の過激化に火をつけたとも見られています。

軍部に影響を与えた危うい思想

戦前の日本では、多くの青年将校が政治不信や社会不安を抱えていました。

その中で、大川の思想は「日本を根本から作り直さなければならない」という強いメッセージとして支持を集めました。

北一輝が青年将校の思想的支柱となった一方で、大川は参謀系の幕僚将校を中心に支持を受けていたといわれています。

大川の思想には、反欧米・国家改造・アジア解放といった要素が含まれており、こうした理念は当時の軍部にとって大変魅力的なものでした。

その結果、大川の思想が二・二六事件など国家を揺るがす事件の思想的背景に影響したと評価されることもありますが、大川自身が直接事件を指導したわけではありません。

とはいえ、彼の思想が時代の急進化を後押ししたのは否定できず、この点が教科書で扱われにくい理由のひとつでもあります。

東京裁判で東條英機をはたいた男

一般の人に最も知られている大川周明のエピソードが、東京裁判初日の出来事です。

1946年5月3日、世界中の報道陣が見守る中で裁判が始まった直後、大川は突然立ち上がり前の席にいた東條英機の後頭部をぱしっと軽く叩きました。

東條は表情を変えずにじっと座っていましたが、周囲は騒然となり大川はすぐに米兵に取り押さえられます。

その後、大川は奇声を上げたり独り言を繰り返すようになり、米軍医は「裁判を受けられる精神状態ではない」と判断、そのため大川はA級戦犯として正式に起訴されず、裁判から除外されることになりました。

この行動が、演技だったという説と本当に精神を病んでいたという説が今でも議論されていますが、いずれにしても大川周明=東條英機を叩いた男というイメージが強く残る象徴的事件となりました。

なぜ教科書に載らないのか?

では、なぜ大川周明ほどの影響力を持つ思想家が、教科書ではほとんど扱われないのでしょうか。

第一に考えられる理由は、彼の思想が天皇中心の国家観やアジア主義など、戦後教育の方向性と大きく異なるためです。

戦後の歴史教育は、民主主義・科学的歴史観を重視し、神話や精神性を国家の基盤とする歴史観は扱われなくなりました。

第二に考えられる理由は、大川の思想が軍部の政治的暴走に一定の影響を与えたと評価されている点が挙げられます。

教科書という公共の基準で扱うには複雑で、賛否が分かれる人物であるため簡単には取り上げられないのです。

第三に考えられる理由は、彼の思想家としての業績は評価される一方で、行動面には東京裁判での奇行のように、説明しづらい側面が多くあります。

功罪が極端で整理が難しく、単純に「偉人」として紹介するには適していないと判断されているのでしょう。

天才と過激、理想と狂気、学問と行動、そのすべてを併せ持つ人物であるため、教科書では語りきれない存在なのです。

彼の思想をどのように評価するかは今後も議論が続いていきますが、日本近現代史を深く理解するうえで、大川周明という教科書に載らない人物を知ることには大きな意味があるといえるでしょう。

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