コロナ禍をきっかけに、一気に身近な存在となったフードデリバリー、街中では配達員を頻繁に見かけるようになりましたが’、コロナ禍が落ち着くと市場の勢いは鈍化し参入企業の撤退も相次いでいます。
便利なサービスであることは間違いないのに、なぜ日本では海外のように日常的な食文化として定着しきれないのでしょうか。
フードデリバリー、コロナ禍で爆発的に普及し各社が巨額投資へ
そもそも日本の出前の歴史は古く、江戸時代にはそばやうどんを届ける文化があったとされています。
その後、電話が一般家庭に普及し、そばや寿司、ラーメンなどを届ける出前スタイルが定着しました。
2000年には出前館がサービスを開始、2016年にはUber Eatsが日本へ進出、飲食店自身が配達する従来の出前とは異なり、個人の配達パートナーが届ける仕組みが急速に広がっていきます。
そして2020年、新型コロナによって市場は一変し、外食業界の自粛や在宅勤務によって自宅で食事をする人が増える一方、営業制限を受けた飲食店も売上を確保するためデリバリーへ参入、さらに収入が減った人の新たな働き口として配達員も増加し、利用者・飲食店・配達員のすべてが一気に増えました。
この成長を見て国内外から多くの企業が参入し、各社はCMやクーポン、配達網の整備などに巨額の資金を投入、出前館も大規模な資金調達を行い一気にシェアを獲得しようとしました。
ところが、コロナ禍が落ち着いた2022年ごろから市場の成長は鈍化、外食や通勤、旅行などが復活すると、自宅で料理を注文する機会も減少、結果としてfoodpandaやDiDi Foodなど参入企業の撤退が相次ぎ、急拡大を前提に投資していた企業にとって厳しい状況となったのです。
日本では便利だけど高いが最大の壁
日本でフードデリバリーが定着しきれない最大の理由として考えられるのが価格です。
デリバリーでは料理そのものが店頭より高く設定される場合があり、そこに配送料やサービス料などが加わります。
地方ではさらに難しく、人口密度が低いため1件あたりの配達距離が長くなりやすいうえ、注文数や配達員の確保も難しくなります。
デリバリーは、店・利用者・配達員が狭いエリアに集中する都市部ほど成立しやすいサービスなのです。
また、市場拡大期には配達員を確保するため高額なインセンティブなどが用意されましたが、市場環境の変化とともに以前ほど稼ぎやすい状況ではなくなっています。
現在地のフードデリバリーは、利用者には安く提供したい・飲食店にも利益を残したい・配達員にも十分な報酬が必要・運営会社も利益を出さなければならない、という難しい構造を抱えているのです。
便利さだけでは解決できないこの問題こそ、日本でフードデリバリーが定着するための大きな課題といえそうです。
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