かつて日本の街中で当たり前のように見かけた野良犬、学校の校庭に迷い込んだり、住宅街を自由に歩き回ったりする姿を覚えている人も多いのではないでしょうか。
現在では野良犬を見かける機会はほとんどなくなりましたが、なぜ日本から野良犬だけが姿を消したのでしょうか?
日本から野良犬が消えた理由
昭和の日本では、飼い犬を自由に外へ出す「放し飼い」が珍しくありませんでした。
そのため、当時街を歩いていた犬の中には、飼い主のいない野良犬だけでなく、家庭で飼われている犬も多く含まれていたのです。
そんな状況が大きく変わったきっかけが、1950年に制定された「狂犬病予防法」で、当時の日本では狂犬病が深刻な問題となっており、1950年には54人が命を落としています。
政府は犬の登録や予防接種を義務化するとともに、登録されていない犬などの捕獲を進めた結果、1957年を最後に国内での狂犬病発生は確認されなくなりました。
その後も犬の捕獲は続き、1970年には年間約64万頭、1日平均で1,700頭以上が捕獲されていた一方で、各自治体では放し飼いを規制する条例が広がり、犬をつないで飼うことが一般的になっていきました。
つまり、野良犬が消えた背景には、捕獲の強化だけでなく、日本人と犬の暮らし方そのものが変わったことも大きく関係していたのです。
今も残る保護犬と殺処分の問題
日本では野良犬をほとんど見かけなくなりましたが、世界的に見ると決して当たり前の光景ではありません。
海外では今も自由に街を歩く犬が多く、狂犬病によって毎年数万人が命を落としています。
一方、日本では犬の捕獲や引き取りの数が大幅に減少、1974年度には捕獲・引き取りされた犬が約118万頭に達していましたが、2024年度には約1万7,000頭まで減少しています。
しかし、ここで忘れてはいけないのが、野良犬が減ったからといって、犬の殺処分問題まで解決したわけではないということです。
現在でも飼い主の高齢化や病気、経済的な事情、多頭飼育崩壊などによって、行き場を失う犬が存在します。
また、犬とは対照的に、猫は現在も屋外で繁殖するケースが多く、2024年度の引き取り数は約2万2,000頭と犬を上回っています。
保護猫という言葉を耳にする機会は多いものの、実際には保護犬も新しい家族を待っているのです。
かつては街を歩く犬を捕獲することが大きな課題でしたが、現在は人間の事情で飼えなくなった犬をどう守るかという問題も残されています。
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