普段何気なく使っている10円玉に、いまちょっとした異変が起きています。
銅価格の高騰によって、10円玉に含まれる金属の素材価値を計算すると、額面の10円を上回る水準になったというのです。
では、なぜ銅はそこまで高くなっているのでしょうか?
10円玉の素材価値が10円超え?銅価格が過去最高水準

10円硬貨は銅95%、亜鉛3~4%、すず1~2%からなる青銅で作られています。
その銅の価格が近年大きく上昇、国内の銅の基準価格が1トン約235万円となり、月平均で過去最高値を更新したと言われています。
銅は電気を通しやすく加工もしやすいため、電線や電子機器など私たちの生活に欠かせない存在で、さらにはAI向けデータセンターや半導体、EVなど電力を大量に必要とする分野の成長もあり、今後さらに需要が増えるとの見方が強まっています。
その結果、10円玉に含まれる金属を市場価格で換算すると、月平均で約10.54円相当になったといいます。
残念なことに、銅価格の上昇は犯罪にも影響しており、太陽光発電所などから銅線ケーブルを盗む事件が多発、高値で売れる太いケーブルが狙われています。
10円玉を溶かせば儲かるの?
10円玉の素材価値が10.54円なら、10円で集めて溶かせば約5%の利益になるのでは?と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
まず10円玉は純粋な銅ではなく、亜鉛やすずを含んだ青銅、仮に溶かしたとしても、そのまま純銅になるわけではなく、銅などを分離・精製するにはさらに工程が必要になります。
また、素材価値10.54円は、あくまで含まれている金属を市場価格から計算した理論上の数字です。
仮に10万円分、つまり1万枚の10円玉を用意すると、単純計算では素材価値は約10万5400円になりますが、スクラップとしての実際の買取価格や加工・精製に必要な費用まで考えれば、差額の5400円が利益になるわけではありません。
そして何より、日本では貨幣損傷等取締法によって、貨幣を故意に損傷したり鋳潰したりすることが禁止されています。
そのため、10円玉を大量に集めて溶かし、金属として売却するような行為はできません。
むしろ注目したいのは、10円玉を溶かせば儲かるということではなく、身近な硬貨の素材価値が額面を超えるほど銅が高騰しているという事実でしょう。
いつも財布に入っている10円玉を見るだけでも、世界で起きている「銅争奪」の一端が感じられる時代になったのかもしれませんね。
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