春は環境の変化に伴い心の不調を感じやすい季節です。
45歳以上の場合は、春の心の不調をきっかけに「男性更年期」が発症したり、悪化したりする場合もあります。
最近耳にするようにはなってきましたが、まだ認知度が高くない男性更年期。
この機会に、男性更年期の原因と対策方法を知っておきましょう。
春は心の不調に注意
年度末から新年度にかけて、会社では入社、昇進、異動など職場環境に変化がみられます。
新しく配属される人も、迎え入れる人も、新しい仕事に不安を感じたり、新しい人間関係に緊張したりと、無意識のうちに気を張って仕事をしていませんか。
この緊張状態が続くと、蓄積された気疲れが、精神的な不調としてあらわれることがあります。
春になってから、疲れが取れない、やる気がでない、集中力が続かないなどの心の不調を感じるようになった人は、睡眠や食事や休息を十分にとるなど、生活習慣を見直しましょう。
45歳以上は男性更年期の可能性も
女性のみだと思われがちな更年期症状ですが、男性にも更年期症状が起こることがあるのを知っていますか?
男性更年期症状とは、加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)が減少することで引き起こされる、さまざまな心身の不調です。
主な症状として、からだのほてりや睡眠障害などの身体的症状、無気力・いらいら・集中力低下などの精神・心理症状、そして性欲低下などの性機能関連症状があります。
男性更年期は45歳頃から発症するといわれています。
最近、若い頃には感じなかったからだの不調や精神的な不安定さを感じるようになった人は、男性更年期かもしれません。
男性更年期症状が気になる場合、泌尿器科で診察を受けることもできます。
症状が重く、仕事や生活に支障をきたす場合は、病院を受診するのもいいでしょう。
男性のメンタル不調の対策方法
「病院に行くほどではないが、なんとなく感じるからだの不調を何とかしたい」
そんな人のために、メンタル不調への対策を紹介します。
いつもの生活にすこし新習慣をプラスするだけなので、できるものから実践してみてください。
1日15分の日光浴
太陽の光には男性ホルモンのテストステロンの分泌を促進する効果があるといわれています。
1日15~20分程度の日光浴で、テストステロンの分泌量が2割程度上昇したという研究結果も報告されており、短い時間でも効果があるようです。
また、朝日をしっかりと浴びて体内時計をリセットすることは睡眠の質の向上につながりますし、太陽の光を浴びることにはうつ病予防の効果もあります。
男性更年期の諸症状緩和にもつながるため、毎日最低15分間は太陽の光を浴びて、気持ちのいい1日を過ごしましょう。
亜鉛を摂取する
亜鉛は男性ホルモンのテストステロンの生成と関係があるといわれているほか、うつ病予防やうつの軽減にも効果があるといわれています。
亜鉛は体内に蓄積することができず、継続的に摂取しなければならないため、サプリメントなどで補完するのが便利です。
しかし、残念なことに、亜鉛サプリメントの摂取によるテストステロン量の増加については、今のところ明確なエビデンスが発表されていません。
亜鉛がからだに必要な成分であることは間違いないため、おもにうつ症状や性機能面で不調を感じている人は、亜鉛の摂取も検討してみてください。
適度な競い合い
男性ホルモンは、「競争」によって分泌が高まるといわれています。
スポーツやゲームなど、自分の好きなことや趣味の世界でも大丈夫。
ゴルフのコンペをする、将棋で対局するなど、自分が楽しいと思える分野で適度な競争体験を取り入れましょう。
また、男性ホルモンは自己表現して認められることでも高まります。
スポーツやゲームが苦手な人は、写真や絵などのコンクールに応募したり、歌や演奏を披露したりなど、自分の得意なことを表現できる機会をつくるのもいいでしょう。
漢方薬を飲む
春の心の不調には漢方薬もおすすめです。
実際に医療機関でも、男性更年期障害に対して漢方薬を用いるケースは多く見られます。
春の心の不調は、環境の変化により緊張状態が続くことによる精神的な疲れが原因のひとつだと考えられます。
とくに、45歳以上の人は、加齢により男性ホルモンのバランスが崩れ、男性更年期症状を発症・悪化させやすいため注意が必要です。
春の心の不調に対しては
- ホルモンバランスや自律神経の乱れを整える
- 消化・吸収の機能をよくして疲れを取る
- 血流をよくして自律神経の乱れを整える
- 睡眠の質を上げてストレスを改善する
といった漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。
漢方薬は心とからだ全体の機能回復を目的とするため、男性更年期のさまざまな不調を同時に改善できることもメリットです。
<おすすめの漢方薬>
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉に違和感がある人におすすめで、不安神経症、神経性胃炎、咳、しわがれ声、動悸にも効果があり、男性更年期症状にも用いられる漢方薬です。
「気」のめぐりをよくして、喉や食道部のつかえ感を取り除き、緊張をゆるめます。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
だるくて疲れやすい人におすすめで、疲労感や倦怠感、食欲不振に効果があり、男性更年期症状、生殖泌尿器機能にも使われる漢方薬です。
胃腸の働きを整え、エネルギーを充実させ、気力を補います。
最近は、自分の体質や症状に合った漢方薬をAIが選んでくれる「あんしん漢方」のようなサービスもあるため、うまく活用しながら、鬱々とした毎日から抜け出しましょう。
まとめ
春は環境の変化が起こりやすく心の不調を感じやすい季節です。
なかでも、男性ホルモンのバランスが崩れやすいミドル世代の男性は要注意。
男性更年期症状を発症・悪化させてしまう可能性があります。
男性の心の不調の一番の治療薬は、規則正しい生活と充実した趣味の時間です。
症状が重い場合は無理をせずに医療機関や漢方薬を頼りながら、男性更年期と付き合っていきましょう。
公式|あんしん漢方
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師|碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
YouTube|Medical Health CH
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