雨の日は頭痛がひどい、気持ちが沈みがちでだるい日が続く、そんな症状を感じていたら、それは気象病のサインかもしれません。
日常生活や仕事に支障をきたすほどの不調を感じる人にとって、雨の日は憂鬱なものでしょう。
昔からよく「古傷が傷むと雨が降る」といわれているように、梅雨時や台風のときは、体調を崩しやすくなると考えられてきました。
では天気の変化がなぜ不調に結びつくのでしょうか。
薬剤師の碇純子さんに教えていただきました。
毎年梅雨時に頻発する頭痛の悩み
34歳の真由美さん、会社員の方からのお悩みです。
「毎年梅雨の時期には、毎日のように頭痛が起きてしまい悩んでいます。
頭痛だけでなく、吐き気も止まらなくて……。
何とか会社に行こうと思っても、つらくて動ける状態ではありません。
ひどいときは週に1回のペースで会社を休んでしまうこともあり、こんな自分が社会人としてやっていけるのか不安に感じています。
梅雨が終わったら楽になる、仕事に全力で取り組める、と自分を励ましながら過ごす日々です。
私はこれからも、毎年梅雨になるたびに、この頭痛や吐き気を我慢し続けるしかないのでしょうか」
梅雨時になると、頭痛や吐き気などの不調に関する悩みをよく耳にするようになります。
真由美さんのように、日常生活や仕事に支障をきたすほど症状が重いのは、精神的にもつらいことですよね。
雨の日に体調を崩してしまう人たち。
その原因は何なのでしょう。
そして、どんな改善策があるのでしょうか。
雨の日に不調が続くのは「気象病」かも
「気象病」は、雨や台風など、気象の変化によって起こる不調の総称です。
頭痛や吐き気だけでなく、関節痛や疲労感、気持ちの落ち込みなどさまざまな症状がでます。
これらの不調の原因は、自律神経の乱れにあるといわれています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経にはからだを活動的にする役割が、副交感神経にはリラックスさせる役割があります。
この2つがバランスをとることで、体調は一定の状態を保っているのです。
でも、雨による湿度の変化、台風による気圧の変化などの情報が脳に伝達されると、自律神経はバランスを崩してしまいます。
交感神経が興奮状態になり、頭痛やめまいなどの症状があらわれるのです。
気象病の症状をチェック
「気象病かも……」と思ったら、まずはセルフチェックをしてみましょう。
該当するものがたくさんあったら、気象病かもしれません。
- 天気の変化に敏感で、「もうすぐ雨が降りそう」「気圧が変化しそう」がなんとなくわかる
- 乗り物酔いをしやすい
- 天気の変化により気分が浮き沈みしやすい
- 春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい
- 暑い季節にのぼせやすく、寒い季節には冷えを感じやすい
- 雨が降る前に眠気やめまいを感じることがある
- 雨が降る前に、頭が痛くなることがある
気象病になりやすい人
気象病になりやすい人は、自律神経が正常に機能していない人です。
エアコンなど空調が完備された環境で暮らしていたり、昼夜逆転の生活をしていたりすると、自律神経が乱れやすくなります。
また、仕事などで心身にストレスを感じている人も自律神経が乱れやすいので要注意です。
気象病の予防と対策
気象病の原因となる、自律神経の乱れ。
気象病を予防するには、自律神経を正常に機能させることが大切です。
ここからは、気象病の予防と対策を3つご紹介します。
体調を記録する
まずは、自身の体調を記録しましょう。
記録するのは、「体調の変化があった日」と「天気」です。
この2つを記録することで、自分はどんな天気のときに体調を崩すか把握します。
自分の不調の原因となる天気の変化がわかれば、天気予報をみて、不調を感じる前に対策を考えることができます。
たとえば、雨のときに頭痛が起こる人。
頭痛は症状が出てからでは薬が効きにくいので、痛くなる前触れを感じたときに薬を飲むといいでしょう。
自律神経を鍛える
つぎに、自律神経を鍛えます。
自律神経を鍛えるためには、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動をするといいでしょう。
さらに、自律神経は「呼吸」でも鍛えることができます。
腹式呼吸で、5秒かけて息を吐き、5秒かけて吸う、を毎日5〜10分行うことで、交感神経と副交感神経のバランスを整えましょう。
気象病の症状が出ているときは、交感神経が過敏になっているときです。
副交感神経を刺激するために、朝起きたら1杯の水を飲むのもおすすめです。
漢方薬を服用する
気象病の症状は、頭痛やめまい、吐き気などさまざまです。
不調を感じているときには、体調を記録したり、自律神経を鍛えたりすることが難しいかもしれません。
そんなときは、漢方薬を使用するのも選択肢のひとつです。
漢方薬には、今起きている頭痛やめまいなどの不調を解消するだけでなく、不調が起きにくい状態へと根本からの改善が期待できるというメリットがあります。
気象病の原因は、気温や気圧の変化によるからだの水分や自律神経の乱れにあります。
症状を緩和するには、「血流をよくして自律神経を整える」「水分の循環をよくして頭痛やめまいの原因となる脳や内耳のむくみを解消する」といった働きのある漢方を選ぶといいでしょう。
気象病におすすめの漢方薬
- 五苓散(ごれいさん)
頭痛やむくみ、吐き気の症状がある人に。
利尿や発汗を促し、水分の巡りを改善することで血管拡張を抑え、自律神経の乱れを整えます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすく、肩こりやイライラを生じやすい人に。
自律神経を調整し、ほてりやのぼせを鎮めて、血行も促進します。
気象病の症状は人それぞれですから、自身の体調にあった漢方薬を選択することで効果を実感できることが多いです。
漢方薬の使用を検討するなら、まずは専門家に相談しましょう。
体調が悪くて外出が困難、忙しくてなかなか病院に行けない、という人は、自宅からオンラインで個別相談ができる「あんしん漢方」というサービスを使ってみるのはいかがでしょうか?
あんしん漢方では、漢方薬のプロがAI(人工知能)を活用し、あなたに効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれますよ。
まとめ
雨の日や台風の日に決まって訪れる不調。
とてもつらいですよね。
まずは自身の不調を引き起こすのがどんな天気のときか把握しましょう。
不調を感じたら、適度な運動をしたり、腹式呼吸を用いたりして、自律神経を整えることが大切です。
根本からの改善を目指すなら、漢方薬を使用することもおすすめです。
公式|あんしん漢方
<この記事の監修者>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師|碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
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