生理の時の経血量が増えてきた……。
不安に感じながらも、忙しかったり、相談先がわからなかったりして放置していませんか?
でも、その経血量の増加の裏には、女性特有の病気が潜んでいるかもしれません。
また、病気ではなくてもストレスなどによって、からだがSOSを出しているのかもしれません。
この記事では、経血量増加にはどんな原因が考えられて、何をしたらいいのか、薬剤師の碇 純子さんに教えていただきました。
生理の経血量が増加…不安だけど相談相手がいない
35歳の会社員、恵子さんからのお悩みです。
「最近、経血量が多くなって悩んでいます。
夜に一度起きて生理用ナプキンを替えないと、パジャマまで血で汚れてしまうこともあります。
それだけではなく、ときどき塊のような経血が出るのも、理由がわからなくてとても不安です。
子宮頸がん、子宮がんの検査は受けたことがあり、問題はありませんでした。
原因がわからなくて、誰かに相談したいのですが、夫に相談しても、大丈夫だというだけで真剣に考えてくれません。
生理時の経血量は人とも比べられませんし、相談しづらい問題なので、1人でずっと不安を抱えています」
生理のときの経血量に変化があると、不安を感じますよね。
多くの女性が、量がいつもより多かったり、塊が出たりするなどの生理の悩みを抱えています。
でも恵子さんと同じように、生理の悩みを相談できる人が周りにいないという方も多いのではないでしょうか?
まずは、みなさんの不安解消のお役に立てるように、経血量が多くなる原因と対処法をお伝えします。
経血量が多すぎるのは過多月経かも
生理の時の経血量が極端に多かったら、それは過多月経かもしれません。
まずは過多月経の基準と、原因を知りましょう。
過多月経の基準
日本産科婦人科学会では、正常な経血の量の基準を1回の生理で20〜140mlとしています。
それ以上の量の出血がある場合は過多月経だと考えられますが、経血量をはかるのは難しいですよね。
ふつうのナプキンでは1時間おきに交換してももれる、経血の中にレバーのような血の塊がある、などに当てはまるようなら、過多月経の可能性がありますので目安にしてくださいね。
過多月経の原因
過多月経の原因は「器質性疾患」と「機能性疾患」に分けられます。
器質性疾患では、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症などの子宮の病気が過多月経の原因です。
機能性疾患では、原因となる子宮の病気がありません。
ストレスやダイエット、不規則な生活や喫煙などが過多月経の原因であり、生活習慣の改善やストレスの解消によって症状の改善が期待できます。
生理の経血量が多いときの対処法
経血量が基準より多い場合は、からだからのSOSかもしれません。
女性特有の病気が隠れている可能性もあるので、適切な対処法をとるようにしましょう。
まずは婦人科で相談する
過多月経かも……と思ったら、まずは婦人科に相談しましょう。
20代、30代と年齢を重ねるごとに経血の量が増えてきている場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症の可能性が考えられます。
子宮筋腫は、子宮に良性のコブができる病気で、30歳以上の女性の20〜30%に発症するといわれています。
主な症状は経血量の増加と月経痛ですが、筋腫の位置により腰痛や頻尿、不正出血もみられることも。
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮筋層に発生する病気で、主に出産や流産をきっかけに発症します。
激しい生理痛や、経血量が増加して、貧血を伴うこともあるので注意が必要です。
子宮内膜症は、子宮内膜もしくはそれに似た組織が、卵巣などの子宮外の場所にできる病気で、20~30代の女性に多くみられます。
いずれの疾患においても、症状によって薬や手術が必要になる場合があります。
からだを労わる
過多月経は、ストレスや疲れ、からだが冷えることによるホルモンバランスの乱れが原因となることも多いです。
ストレスをためないように、リラックスできる時間を作り、無理せずに休養をとることを心がけましょう。
また、からだを冷やさないように、長めの入浴で全身を温め、カイロや衣類を使っておなかや腰を温めましょう。
さらに、軽い運動やストレッチを取り入れて血流を促進させることも効果的です。
毎日がんばっているからだを労り、ホルモンバランスを整えましょう。
漢方薬を服用する
入浴やストレッチなど、ホルモンバランスの乱れを整えるための方法をご紹介しましたが、月経中にこれらを取り入れるのは難しいかもしれません。
そんな時は、漢方薬を服用するのも選択肢の一つです。
漢方薬は、「ホルモンバランスの乱れを整える」「血流をよくして自律神経を整える」などの働きで、過多月経の根本改善へとアプローチします。
過多月経におすすめの漢方薬
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
血液(栄養)の巡りをよくし、体内にたまった熱を発散させ、女性ホルモンのバランスを整えます。
女性ホルモンの乱れによる月経不順や月経困難、不眠、冷え症などにも処方されます。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血流を改善して滞りを取り去ることで、生理不順や過多月経などの月経異常、月経痛に効果があります。
漢方薬も種類が多くて、選ぶ時に迷ってしまいますよね。
また、漢方薬は体質や症状に合うものを選ぶことで、効果を感じやすくなります。
自分に適した漢方薬を選択するためには、専門家に力を借りるのがおすすめです。
生理に関する悩みを対面で相談することに抵抗がある、忙しくて時間が取れないという方は、オンラインで個別相談できる「あんしん漢方」というサービスもあります。
漢方薬のプロがAI(人工知能)を活用し、あなたに効く漢方薬を見極めてくれるだけでなく、服用開始後の相談をスマホでできるサービスもありますよ。
まとめ
生理の悩みを持っている人は、自分の生理の状況を把握することが大切です。
自分の経血量が多いのか少ないのかを知るために、過多月経の基準となる経血量を知りましょう。
経血量が基準より多かったら、女性特有の病気が潜んでいる可能性もあるので、まずは、婦人科を受診しましょう。
過多月経の原因として、ストレスなどからくるホルモンバランスの乱れも考えられます。
ホルモンバランスの乱れを整えるのには、漢方薬を服用するのもおすすめです。
漢方薬を服用する際には、医師や薬剤師などの専門家に相談してくださいね。
公式|あんしん漢方
<この記事の監修者>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師|碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
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