痛風は、文字通り「風が吹くだけで痛い」といわれる病気です。
30代以降は増加傾向にあり、発症には生活習慣も大きく影響しています。
今回は、痛風に着目し、痛風の基礎知識、痛風になりやすい人の特徴、控えるべき3つのポイントについても解説します。
痛風とは
痛風とは、足の親指などが腫れ、激しい痛みが起こる病気です。
痛風の症状や原因、特徴について見ていきましょう。
症状と原因
痛風の痛みは、発作的に起こります。
ひどい場合は歩けないほどの痛みに襲われ、治療を怠るとさらに悪化。
痛風の原因は、体内の尿酸量が増える高尿酸血症によるものです。
尿酸はプリン体が分解されることで生成されます。
プリン体はアルコール飲料、高カロリー食、レバー類、魚介類などに多く含まれ、偏った食生活によりプリン体の摂取量が増えると、それに比例して痛風の危険因子が増加。
また、尿酸値が高いことで糖尿病、脂質異常症、高血圧などの病気との合併症を生じやすいといわれています。
患者の約90%は男性
痛風患者の約90%は男性といわれています。
その理由は、男性の尿酸の血中濃度が、女性よりも高いからです。
女性ホルモンは、腎臓から尿酸の排泄を促し、尿酸値が高くならないようにはたらきかけてくれます。
しかし、女性が痛風にならないわけではありません。
更年期を迎え女性ホルモンの分泌が急減すると、尿酸値が上昇しやすくなり、痛風のリスクが上がります。
痛風になりやすい人・生活習慣
痛風の原因には、大きく分けて生活習慣の要素と、遺伝的な要素の2つがあります。
痛風になりやすい人の生活習慣には、共通した特徴があります。
たとえば、アルコールの過剰摂取、肉中心の食生活、お菓子などの甘いものも要注意です。
また、痩せている人よりもふくよかな人、昔よりも体重が増している人も痛風になりやすいといわれます。
痛風が心配ならこの3つを控えて
ここからは、痛風に直接関連する、控えるべき3つの要素をご紹介します。
プリン体
プリン体は最終的に尿酸に代謝され、痛風の原因になります。
近年では、プリン体を避けすぎることでかえって食生活のバランスが崩れることから、極端な低プリン体食は推奨されていません。
過度にプリン体が含まれる食品だけ控えめにしましょう。
プリン体が多い食品の例は次の通りです(※1)。
- 鶏レバー
- マイワシの干物
- あん肝、酒蒸し
- 牛レバー
- 牛ヒレ
- カツオ
逆に、摂取したほうがいい食品は、尿酸排泄を促すビタミンCが多く含まれるジャガイモ、キャベツなどです。
牛乳などの乳製品も、尿酸値を下げるはたらきがあるといわれています。
糖質
糖質は、多く摂りすぎると肥満の原因になります。
肥満はプリン体の合成を促すだけでなく、インスリンが作用せずに尿酸の排出を抑えることも。
また、糖のなかでも、果物に多く含まれる果糖はとくに尿酸値を高めるので摂取を避けましょう。
普段の食事はなるべく低糖質のものを選ぶのがおすすめです。
たとえば、主食のご飯は玄米や麦を混ぜる、野菜はほうれん草や白菜などの葉菜類を摂取するなどです。
また、糖質制限中に不足しがちなタンパク質を補うことも大事。
朝食には、タンパク質が豊富なギリシャヨーグルトがおすすめです。
アルコール
アルコール、とくにビールは痛風の原因のプリン体を多く含みます。
また、焼き鳥やカツオのたたきなど、おつまみ類も高プリン体のものが多く、結果的に多くプリン体を摂取してしまいます。
アルコール自体にも物質の代謝や合成に関わるアデノシン三リン酸の分解を進め、その際にプリン体を増加させてしまう効果があります。
飲酒量を控えめにし、週に2日以上の禁酒日を設けましょう(※2)。
痛風治療には漢方薬も用いられている
痛風治療には漢方薬が使用されることもあります。
漢方薬は鉱物、植物といった自然由来の生薬をもとにしていて、一般的に副作用のリスクも低いといわれています。
また、漢方薬は飲むだけで手軽なので続けやすいことが利点です。
痛風に対しては、「炎症を抑える」「血流や水分の循環をよくする」といった作用で痛みや腫れを和らげ、「脂肪や老廃物を排出する」「脂肪代謝を促進する」などのはたらきで高尿酸血症の原因となる肥満にアプローチする漢方薬を使用しましょう。
痛風が気になる人におすすめの漢方薬
- 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
からだの熱を冷まし、関節の腫れや炎症や痛みを抑えます。むくみがあり、尿量の少ない人に。
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
からだの余分な熱をとり除き、脂質代謝機能を上げ、脂肪燃焼を促します。おなかの皮下脂肪が目立つ人に。
漢方薬は体質との相性が重要です。
漢方薬を使う際は、医師や薬剤師など、漢方薬の専門家に選んでもらいましょう。
最近は、「あんしん漢方」という漢方のオンラインサービスも人気を博しています。
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専門家が人それぞれの体質に合わせたオーダーメイド漢方薬を提供してくれます。
まとめ
痛風は、男性に多い症状で、その原因には生活習慣も大きく関わっています。
プリン体、糖質、アルコールにはとくに注意し、普段の食生活から見直し、痛風に対処していきましょう。
公式|あんしん漢方
【参考】
(※1)大正製薬製品情報サイト「プリン体は避けるべき?尿酸値を下げる食べ物・飲み物」
<この記事の監修者>
医師|木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
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