「めまいや立ち眩みしやすい」「ちょっと動くだけで動悸や息切れがする」
そのような症状を自覚しているにもかかわらず、ただの疲労や夏バテだと思い込んでいる人はいませんか?
原因がよくわからないその不調の正体は「かくれ貧血」かもしれません。
今回は、貧血の原因や症状、そして鉄分を効果的に摂取する方法について紹介します。
鉄欠乏性貧血とは?
一般的に、貧血とは鉄欠乏性貧血と呼ばれる血液疾患のことを指します。
まずは、貧血の症状や原因を知ることから始めましょう。
鉄欠乏性貧血の症状
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄分が不足し、赤血球の中に含まれるヘモグロビンが作れなくなることによって生じる症状です。
鉄欠乏性貧血の症状には以下のようなものがみられます。
- 動悸
- 息切れ
- 疲労感・倦怠感
- 顔色不良
- 匙状爪
- 味覚障害
ヘモグロビンは血液中で酸素と結びつき、からだ全体に酸素を運ぶ役割があります。
そのため、ヘモグロビンが減ると酸素を取り入れようと息切れがしたり、酸素が足りなくて体が動かず疲労感を覚えたりすることがあるのです。
鉄欠乏性貧血の原因
体内の鉄分は、生命活動や発汗などにより毎日失われていますが、ほぼ同じ量を食事により補うことができるため、本来であれば不足することはありません。
しかし、女性の場合は、生理中の経血で多くの鉄分が失われてしまったり、食事制限やダイエットにより十分な鉄分が得られなかったり、妊娠している場合はより多くの鉄分が必要になったりと、鉄不足に陥る状況が多くあります。
これが、女性に貧血の人が多い原因です。
「かくれ貧血」の人も多い
自分が貧血だと自覚していない「かくれ貧血」の人も多いのをご存じですか?
かくれ貧血は、体内に蓄えられている鉄分の量を示すフェリチン値が低下している状態を指します。
鉄欠乏性貧血とは異なりヘモグロビンの量は正常ですが、体内の鉄分が減ると血液中のヘモグロビンの量も減っていくため、貧血予備軍ともいえるでしょう。
ある調査によれば、日本女性の40%、生理のある20~40代の女性においては約65%が「鉄欠乏性貧血」もしくは「かくれ貧血」だといわれています。
厚生労働省によれば、日本女性は鉄摂取量が必要量の6割ほどだといわれており、貧血になってしまうのも無理がありません。
日本の女性の深刻の鉄不足が明らかになった今、からだに必要な鉄分を摂取できるよう、個々人で対策していく必要があります。
鉄分の効果的な摂り方
鉄分を摂るのがいいことなのは誰もが知っていますが、どんな食品に多く含まれているのか、どのように摂取すれば血液中に取り込みやすいのかなど、具体的な情報を知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、鉄分の効果的な摂り方について紹介します。
ヘム鉄を積極的に摂る
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があるのを知っていますか?
「ヘム」とは動物性タンパク質に包まれた状態の鉄分で、吸収率は25%程度と高いのが特徴です。
そのため、吸収率の高いヘム鉄が多く含まれた食品を献立に入れることで効果的に鉄分を摂ることができます。
ヘム鉄を多く含む食品には、赤身の肉やレバー、カツオやマグロなど赤身の魚、貝類などがあります。
なかでも、魚の血合いはヘム鉄が多く含まれていますが、メチル水銀も含まれているため、妊活中の場合は避けておきましょう。
鉄の吸収を促進する栄養素を摂る
体内に吸収されにくい「非ヘム鉄」を効果的に摂るためには、食べ合わせを工夫することがポイントです。
「非ヘム鉄」は小松菜やほうれん草などの野菜、豆類、海藻類に含まれています。
単体での吸収率は3〜5%ですが、ビタミンC、クエン酸、タンパク質と一緒に摂ることで吸収率を高めることが可能です。
ビタミンCは野菜や果物に含まれており、とくに緑黄色野菜や、柑橘類などの含有量が多いため、併せて食べるのがいいでしょう。
クエン酸は梅肉や酢に含まれます。
料理のアクセントや調味料として使われる食材なので、料理に加えてみるのはいかがでしょうか。
タンパク質は赤身の肉に多く含まれます。
野菜を赤身の肉などと一緒に調理することで、効率よく鉄分を摂取できますよ。
カフェインやタンニンの摂り方
鉄分の吸収を妨げてしまう食品にも要注意。
とくにコーヒーは、毎日飲む人も多いため、気にかけておきましょう。
食事の直前直後は、食事で摂った鉄分がタンニンと結合しやすくなってしまいます。
コーヒーを飲みたいときは、食事の前後30分〜1時間程あけるようにしましょう。
量については、1日あたり2~3杯程度に留めておくのがベストです。
そのほか、緑茶、紅茶、ワインなどにもタンニンが含まれています。
これらの飲み物を飲むときは、摂取量やタイミングに気をつけるようにしてくださいね。
貧血症状には漢方薬もおすすめ
貧血は漢方薬でも予防・対策が可能です。
貧血になる原因としては、ホルモンバランスの乱れや過労、寝不足、生理などによって赤血球を生産する機能が低下することが考えられます。
そのため、
- 血流をよくして、栄養を全身に運ぶ
- 胃腸の働きをよくし、ビタミンや鉄分の吸収を促す
- 胃腸の働きを改善し、血液を作る機能を回復する
- 月経過多を改善し血液の排出を防ぐ
といった漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。
おすすめの漢方薬
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
胃腸の機能を高めてからだのエネルギーと栄養を補う漢方薬です。
貧血や不眠症、精神不安などの症状に用いられることもあります。
体力がなく、血色が悪い人に向いています。
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
からだを温め、血流を促して全身に栄養を届けることで、疲れやだるさ、貧血に働きかけて元気を取り戻すのを助ける漢方薬です。
皮膚の乾燥、手足の冷え、倦怠感などの症状に用いられることがあります。
体力がなく、冷え性の人におすすめです。
漢方薬は症状の根本的な改善を目指すことができます。
漢方薬を続けることで、貧血になりにくい、健康的なからだを手に入れることも夢ではありません。
また、漢方薬は自然由来の成分で作られているため、副作用が起こりにくく、からだに優しいのも嬉しいポイント。
漢方薬を飲んだことがない人でも安心して始められるよう、AIが自分にあった漢方薬を選んでくれるサービスもあります。
貧血対策のひとつに漢方薬を入れてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
日本人の鉄不足はもはや国全体の問題です。
貧血はからだにさまざまな不調を引き起こし、日常生活に支障が出てしまうこともあります。
とくに女性は、生理やダイエット、妊娠や出産などにより鉄不足に陥りやすいため、意識的に鉄分を摂る食生活を心がけましょう。
公式|あんしん漢方
<この記事の監修者>
医師|木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
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