40〜50代になると、「しっかり寝ても疲れが取れない」「年中だるい」といった慢性的な疲労感を訴える人が増えてきます。
加齢や生活環境の変化、仕事や家庭でのストレスなど、さまざまな要因が重なりやすい年代。
こうした疲労感の背景には、腸内環境の変化も一因として関わっている可能性が指摘されていることをご存じでしょうか。
腸と疲労感の関係
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど重要な臓器であることは、近年広く知られてきています。
食べ物の消化や、便通だけでなく、全身の健康やメンタルヘルスにまで深く関わっている臓器です。
近年の研究では、腸内環境の乱れが免疫機能の低下や炎症の慢性化、自律神経のバランスの乱れなどに影響を与えることが分かってきました。
これらの変化が、間接的に疲労感の増加に関与する可能性があると考えられているのです。
とくに40〜50代はストレスが多く、生活リズムの乱れや食生活の偏りが腸内環境に影響を及ぼしやすい時期です。
ストレスは腸の動きを鈍らせたり、腸内の善玉菌の減少につながることが知られています。
腸内環境を整えるための生活習慣
腸内環境を良好に保つよう意識することで、疲労感の軽減や体調管理につながる可能性があります。
忙しい日々のなかでできることは限られますが、まずは以下の3つのポイントを意識して生活の改善を心がけてみてください。
発酵食品・食物繊維を積極的に摂る
ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品が、腸内環境を整えるのに重要であることは、皆さんもご存じかもしれません。
もちろん発酵食品で善玉菌を摂ることは大事ですが、それに加えて食物繊維もしっかり摂りましょう。
食物繊維は、善玉菌のエサになるもの。
とくに重要なのは、水溶性食物繊維や発酵性食物繊維です。
海藻やイモ類、穀物、野菜や果物などから食物繊維を摂取するのが大事だとされています。
睡眠と運動で自分のからだを労わる
十分な睡眠と適度な運動は、腸の働きをサポートし、自律神経のバランスを整えるのに有効です。
ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動が大事。
忙しくて運動する時間がない、仕事に追われて睡眠時間を削ってしまう……ということもあるかもしれません。
決して完璧を目指そうとせず「自分のからだを大事にする」「ストレスをケアしてあげる」という自愛の意識を持つだけでも違ってくるはずです。
サプリメントや健康食品の活用
忙しい現代社会では、食事だけで必要な栄養素を摂るのが難しいことも多いですよね。
そんなときは、ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクス、オリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクスを含むサプリメントや健康食品を補助的に利用するのも一つの方法です。
あくまでも補助的な手段ですが、健康意識を高めたり、腸活を意識したりするきっかけとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
慢性的な疲労感は、加齢やストレス、生活習慣などさまざまな要因が複雑に関与して起こります。
すべての疲労が腸内環境だけで解消されるわけではありませんが、食事や生活習慣が自分の体調やからだの状態に深く関係していることを理解しておきましょう。
まずは、食事や睡眠、運動など日々の生活を振り返ってみて、できることからスタートしてみること。
5年後、10年後も若々しく元気な自分でいるために、心とからだを大事にしていきましょう。
<この記事の監修者>
後藤利夫/医師
1988年、東京大学医学部卒業。独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸内視鏡6万件以上無事故のベテラン医師。大腸がん予防から始まった腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深く、菌のパワーを使って健康になる方法を各所で伝授し続けている乳酸菌の専門家。
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