「最近、なんだか自分のニオイが気になる……」
40〜50代になると、自分が臭っているのではないかと不安になる人が増えてきます。
自分では気づきにくいのに、他人のニオイには敏感……とくに汗をかく季節はニオイに対して神経質になりがちですよね。
実は近年、“腸内環境を整えることで、からだの中からニオイを抑える”という新しい考え方が注目されています。
この記事では、専門の研究をもとに「腸と加齢臭の意外な関係」と「今日から始められる具体的な対策」をわかりやすくご紹介します。
加齢臭の原因は「皮脂」だけじゃなかった
加齢臭の原因としてよく知られているのは、皮脂が酸化してできる「ノネナール」という物質。
でも、実はそれだけではありません。
東海大学の関根教授によると、人の体から出るニオイには汗や皮脂のニオイだけでなく、体の中(血液)から出てくるニオイもあるそうです。
たとえば「疲労臭」と呼ばれるアンモニアのニオイなどは、洗ってもなかなか落ちません。
そしてこのような“からだの中からのニオイ”に、大きく関係しているのが「腸内環境」なのです。
腸の元気がなくなると、ニオイも強くなる?
腸の中には、からだにいい働きをする「善玉菌」、悪さをする「悪玉菌」、そしてどちらでもない「日和見菌」がいます。
健康的なバランス(2:1:7)を保っているうちはいいのですが、食生活の偏りやストレスで悪玉菌が増えると、からだにとって有害なガスや老廃物が腸の中にたまりやすくなります。
その結果、腸で発生したニオイ成分が血液にのって全身をめぐり、汗や皮脂と一緒に体の外へ……。
つまり、腸が元気でないと、ニオイの原因物質が出やすくなってしまうのです。
どうすれば腸を元気にできるのか?
カギは「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という成分にあります。
これは、善玉菌が食物繊維などをエサにして作るもので、腸を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防ぎます。
さらに腸の壁を守り、ニオイ物質が体に吸収されるのを防ぐ「腸のお掃除役」のような働きもあるのです。
「腸から加齢臭対策」3つの始め方
「でも、仕事や家庭で忙しいし、手の込んだことはできない……」
そんな方でも大丈夫。
腸内環境を整える習慣は、ちょっとした心がけと工夫で取り入れられます。
ここでは、働き盛りの40〜50代にもおすすめの“続けやすい腸活”をご紹介します。
1. 「一日一品」発酵食品か食物繊維を足してみる
いきなり食生活をガラリと変える必要はありません。
今の食事に、1品だけプラスするイメージでOKです。
たとえば……
- 朝:ヨーグルトにバナナを足す
- 昼:おにぎりに海藻の味噌汁を添える
- 夜:納豆か漬物を1品加える
これだけでも、善玉菌やそのエサになる食物繊維を取り入れることができ、腸内環境は少しずつ整っていきます。
2. 「ながら運動」で腸を目覚めさせる
運動はした方がいいとわかっていても、時間をとるのは難しい……。
そんな方には「ながら運動」がおすすめです。
- 歯みがき中にかかとの上下運動
- 電車待ちの間に腹式呼吸を数回
- テレビを見ながら足踏み
これらの軽い運動でも、腸を刺激して動きを活発にし、便通改善やガスの排出に効果があります。
完璧を目指したり、ストイックな運動をしたりする必要はありません。
頑張らずにできる運動でもOKと考えましょう。
3. 「サプリや健康食品」で足りないところをサポート
忙しいときや食事が不規則なときには、腸活を意識した成分設計のサプリメントや機能性食品を使うのもひとつの手です。
腸活を意識してサプリメントや健康食品を取り入れる場合は、ビフィズス菌や酪酸菌などの菌類が含まれているものや、オリゴ糖やイヌリンといった食物繊維が含まれているものを選ぶといいでしょう。
また、パウダータイプやカプセルタイプなど、日々の生活のなかで無理なく取り入れられるか、自分にとって飲みやすい形状かどうかも選ぶ際の大事な視点になります。
毎日の習慣にしやすいものを選ぶことが、継続のコツです。
まとめ
体臭が気になりだしたら、まずは腸の声を聞いてみることも大切です。
腸が整えば、ニオイの元になる物質がからだに溜まるのを防げるだけでなく、疲れにくくなったり、肌の調子がよくなったり、うれしい変化も期待できます。
この夏、「外側のケア」から「内側のケア」に変えて、ニオイの不安ゼロを目指してみませんか。
<参考文献>
<この記事の監修者>
後藤利夫/医師
1988年、東京大学医学部卒業。独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸内視鏡6万件以上無事故のベテラン医師。大腸がん予防から始まった腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深く、菌のパワーを使って健康になる方法を各所で伝授し続けている乳酸菌の専門家。
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