「長生きはしたいけど、寝たきりにはなりたくない」
そんな思いを抱く50代の方は多いのではないでしょうか。
親の介護や体調不良を目の当たりにして、自分の将来を意識するようになるこの年代。
けれど何をどう変えればいいのかわからず、気づけば時間だけが過ぎていく──。
そんなあなたに伝えたいのが、“腸から整える”という考え方です。
今回は、世界最高齢116歳の糸岡富子さんの生活をヒントに「今日からできること」に注目してみましょう。
健康寿命とは
まずは「健康寿命」という言葉の意味をおさらいしておきましょう。
健康寿命とは、「介護を受けずに自立した生活ができる期間」のことです。
単に寿命をのばすだけでなく「元気で動ける時間」をどれだけ長く保てるかが大切になります。
たとえば、令和4年の厚生労働省のデータ(※1)では、日本人の平均寿命は
- 男性:約81歳
- 女性:約87歳
一方で、健康寿命は
- 男性:約72歳
- 女性:約75歳
となっており、約10年近く「思うように動けない時間」があるということ。
この差をできるだけ小さくするには、元気なときからの備えがカギを握ります。
116歳・糸岡富子さんの健康の秘けつ
2024年、ギネス世界記録で世界最高齢と認定されたのが、兵庫県在住の糸岡富子さん(1908年生まれ)です。
2024年12月に116歳で亡くなりましたが、最高齢の知らせを受けた際には、「ありがとう」としっかりした表情で感謝の言葉を述べられたそうです。
116年という長い人生を元気に過ごせた背景には、特別な健康法があったわけではなく、当たり前のことを丁寧に続ける日々がありました。
その暮らしぶりには、私たちが今日からでも真似できるヒントが詰まっています。
好物はカルピスとバナナ
糸岡さんの好きな食べものは、カルピスとバナナ。
どちらも消化がよく、腸にやさしい食品として知られています。
- バナナには、水溶性・不溶性両方の食物繊維が含まれています。さらに、おなかの調子を整えるオリゴ糖も含まれており、腸活に向いている食材といえるでしょう。
- カルピスは、発酵由来の乳酸菌飲料。腸活に欠かせない「善玉菌」をとる手段のひとつです。
甘党の糸岡さんは、晩年まで毎日カルピスを飲んでいたというエピソードもあり、「好きだから毎日続けられる」というスタイルが、自然と腸内環境を整えていたといえるでしょう。
趣味はウォーキング
もうひとつ注目したいのが、糸岡さんのウォーキング習慣です。
元々からだを動かすことが好きだった糸岡さんは、80代になっても3000メートル級の山に登り、関西地方の33寺院の巡礼(西国三十三所)もしていました。
軽い運動は、腸の動きをよくし、自律神経のバランスを整える働きもあります。
外の空気を吸い、太陽の光を浴びるだけでも、リズムが整いやすくなるのです。
「きつい運動は続かない」という方も、“できる範囲で動く”ことから始めるだけで、からだはゆっくり変わっていきます。
腸活で健康に。今日から始められる3つのこと
「自分も見習いたいけど、何をすればいいのかわからない」
そんな方は、腸から始める小さな生活改善から取り入れてみませんか?
ここでは、今日からできる3つの腸活習慣をご紹介します。
発酵食品や食物繊維をとる
まずは「食べるもの」から見直してみましょう。
腸内環境を整えるには、発酵食品と食物繊維のセットが効果的です。
- 発酵食品:ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ など
- 食物繊維:バナナ、海藻類、イモ類、豆類、野菜 など
発酵食品は、腸に善玉菌を届けてくれます。
そこに食物繊維を加えることで、善玉菌が育ちやすくなり、腸内のバランスが整っていきます。
朝食にバナナとヨーグルトを足すだけでも、立派な腸活です。
睡眠と軽い運動でリズムを整える
腸は、睡眠や運動とも深くつながっています。
ストレスや不規則な生活は、腸の働きを鈍らせてしまうことも。
- 寝る前はスマホを見ない
- 朝は10分だけでも散歩をする
- ゆっくりストレッチをしてみる
このような小さなリズムの整え方でも、腸は反応してくれます。
とくに、ストレスを感じやすい50代は、自律神経が乱れやすい時期でもあります。
「休む」「ゆるめる」「楽しむ」も、大事な健康習慣のひとつです。
サプリメントで“整えるきっかけ”をつくる
「食事だけではなかなか整えられない」
「何を食べればいいか毎日考えるのが面倒」
そんな方は、腸活サプリメントや健康食品を補助的に取り入れてみるのもおすすめです。
- ビフィズス菌
- 酪酸菌
- 食物繊維
このような成分が入ったサプリを選ぶと、腸にとって必要なものを手軽にとることができます。
“まずは意識を向ける”という意味でも、サプリはいいスタート地点になるかもしれません。
まとめ
「健康寿命をのばしたい」
「できるだけ長く、自分の足で歩いていたい」
そんな思いは、誰しもがもっているでしょう。
今回ご紹介した116歳・糸岡富子さんの生活には、特別な秘密はありません。
でもそこには、腸にやさしい食事、毎日の軽い運動といった、“小さな整え”の積み重ねがありました。
腸は、あなたのからだも心も支える土台です。
少しずつ整えていくことで、きっと未来の自分が「よかった」と思える日がきます。
参考文献
(※1)厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会,厚⽣労働省健康・⽣活衛⽣局健康課,令和6年12月24日
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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