朝起きた瞬間からからだが重く、何をするにも気が乗らない——。
そんな疲れを抱えている40〜50代の男性は少なくありません。
「年のせいかな」とあきらめてしまいがちですが、その不調、実は「男性更年期」が原因かもしれません。
今回は、疲れのタイプを見極めて、自分に合った対策をとるためのヒントをお届けします。
年のせいじゃない?40代からの“疲れ”の正体
40代になったころから、急に疲れがとれにくくなったと感じていませんか?
年齢だけでは説明できないからだの変化には、理由があります。
男性にもある「更年期」
更年期は女性特有のものだと思われがちですが、男性にも訪れます。
40〜50代になると、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が徐々に減少し、自律神経のバランスが乱れやすくなるのです。
その結果、以下のような不調が起こるとされています。
- 全身がだるくて動きたくない
- 仕事への集中力が続かない
- イライラしやすい
- 気分が落ち込みやすい
このような状態は「男性更年期障害(LOH症候群)」と呼ばれ、見過ごされやすいのが特徴です。
東洋医学でいう「気虚(ききょ)」「腎虚(じんきょ)」
東洋医学では、こうした“だるさ”や“無気力感”を、からだのエネルギーが不足しているサインととらえます。
「気虚」とは、エネルギー不足の状態。
「腎虚」は、加齢などで生命力が弱っている状態を指します。
これらのバランスが崩れると、休んでも回復しにくくなり、疲労感や不調が慢性的に続くようになります。
「年齢のせい」と片づけず、からだの中で何が起きているかを知ることが大切です。
疲れのタイプをチェックしてみよう
一口に“疲れ”といっても、その原因や体質は人によってさまざま。
東洋医学では、体質を見極めて対処することが基本です。
ここでは、代表的な3つのタイプをご紹介します。
エネルギー切れの「気虚タイプ」
朝からからだが重く、すぐに疲れてしまう人は「気虚」タイプかもしれません。
とくに次のような特徴がある方は注意が必要です。
- 少し動いただけで疲れる
- 食後に眠くなる
- 気持ちが落ち込む
- 風邪をひきやすい
気虚は、からだ全体に必要なエネルギーが足りていない状態です。
日々の疲れが抜けず、無理をするとすぐに体調を崩しやすくなります。
年齢とともにだるくなる「腎虚タイプ」
年齢を重ねるにつれて、足腰のだるさや体力の衰えを感じているなら「腎虚」タイプの可能性があります。
主な特徴は次のとおりです。
- 夜中にトイレに起きる
- 性機能の低下が気になる
- 視力が落ちてきたと感じる
- 忘れっぽいことが増えた
腎虚は、“からだの土台”にあたる部分が加齢とともに弱っている状態です。
エネルギーの源が足りていないため、全身の機能が落ちやすくなります。
ストレスが影響する「気滞タイプ」
「からだは元気なはずなのに、気分が乗らない」「イライラして眠れない」
そんな不調が続く人は「気滞(きたい)」タイプかもしれません。
このタイプに多いのは以下のような特徴です。
- ストレスを感じやすい
- イライラしやすい
- のどに何か詰まっている感覚がある
- げっぷやおならがよく出る
気滞は、生命活動を行うためのエネルギー(気)の流れが滞っている状態です。
この状態になると、心とからだの調子がかみ合わなくなることがあります。
体質に合った漢方薬で、内側から整える
疲れやだるさを改善するには、からだの内側から整えていくことが大切。
漢方薬は、体質に合わせて根本からアプローチできるのが大きな特徴です。
気虚タイプ
エネルギー不足で元気が出ない人には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がおすすめです。
胃腸の働きを助けて栄養を吸収し、からだに必要な「気」を補う漢方薬です。
食欲不振や疲労倦怠感に用いられます。
腎虚タイプ
足腰のだるさや、夜間頻尿、性機能の低下などが気になる人には、八味地黄丸(はちみじおうがん)が使われることがあります。
からだを温め加齢による「腎」の衰えを補い、泌尿器系・生殖器系の機能を整える漢方薬です。
頻尿、気力・精力の減退、腰痛、かすみ目など老化に伴う症状によく用いられます。
気滞タイプ
不安を感じやすい人には、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が合うことがあります。
喉や胸部に滞った「気」を取り除き、精神の緊張をゆるめて精神不安を改善する漢方薬です。
ストレスなどによる喉や食道部のつかえ感、動悸やめまい、嘔気、神経性の胃炎などに用いられます。
自分に合った漢方薬の見つけ方
漢方薬は体質に合ってこそ効果を発揮します。
「どれが自分に合うかわからない……」というときは「あんしん漢方」のオンライン相談サービスを活用してみましょう。
スマートフォンやパソコンから体質チェックを送るだけで、漢方薬の専門家が自分に合った処方を提案してくれます。
薬は自宅に届くサービスなので、忙しい人でも無理なく続けやすいのが魅力です。
まとめ
40〜50代で感じる“疲れがとれない”感覚は、単なる年のせいではないかもしれません。
男性ホルモンの変化や、からだの内側のエネルギー不足が関係していることもあります。
自分の体質や疲れのタイプを知り、それに合ったケアを行うことで、日々の調子がぐっと変わってくるはずです。
からだの声を無視せず、今から少しずつ整えていきましょう。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師|中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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