2024年5月、timelesz(タイムレス)の菊池風磨さんがインスタライブで「五苓散(ごれいさん)を飲んで痩せた」と語り、SNSを中心に注目を集めました。
その発言をきっかけに「五苓散って何?」「痩せ薬なの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
たしかに五苓散は、からだにある余分な水分を外に出して、むくみを改善する漢方薬です。
ただし、痩せる目的で使ったり、体質に合わないのに飲んだりすると、かえって体調をくずしてしまうこともあります。
この記事では、五苓散の働きや向いている体質、注意点などをわかりやすく解説します。
五苓散とは?どんなときに使う薬?
まずは、五苓散がどんな漢方薬なのか、その基本をおさえておきましょう。
「水の滞り」を改善する漢方薬
東洋医学では、からだに余分な「水」がたまって不調を引き起こす状態を「水滞(すいたい)」と呼びます。
五苓散は、この水滞に働きかけて、水の巡りを良くする漢方薬です。
むくみや頭痛、吐き気、下痢、めまいなど、さまざまな症状に使われます。
病院でも処方されている、信頼性の高い医薬品です。
天気やお酒で不調が出る人にも
五苓散は、気圧の変化やアルコールの影響で体調をくずしやすい人にも使われます。
たとえば、雨の日に頭が重くなる、乗り物酔いしやすい、飲み会の翌日に顔や手足がむくむ……といった人は、水分代謝が乱れている可能性があるのです
こうしたタイプにとって、五苓散は症状をやわらげるサポートになります。
五苓散にダイエット効果はあるの?
SNSでは「飲んだら体重が減った」という声も見られますが、それにはからくりがあります。
むくみが取れて体重が減ることはある
五苓散は、からだにたまった水分を外に出すことで、むくみをすっきりさせる働きがあります。
その結果、一時的に体重が落ちることもありますが、それは脂肪が減ったわけではなく、水分が抜けただけです。
見た目の変化があると「痩せた」と感じるかもしれませんが、五苓散には脂肪を燃やす効果はありません。
また、体重が減ったとしても、食事や生活習慣を変えなければ、すぐに戻ってしまうこともあります。
五苓散はダイエット薬ではないという点を、正しく理解しておくことが大切です。
体質に合わなければ逆効果も
五苓散は「水がたまりやすい人」向けの薬です。
むくんでいないのに「なんとなく良さそう」で飲むのは危険です。
自分の体質に合っているかどうかを見極めることが、漢方薬を安全に使うポイントになります。
どんな人に五苓散は合っている?
漢方薬を選ぶ際は「体質の見極め」が重要とされています。
ここでは、五苓散が向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。
向いているのは「水分がたまりやすい体質」
以下のような特徴がある人は、五苓散が合っている可能性があります。
- 手足や顔がむくみやすい
- 雨の日や梅雨時に頭痛が出やすい
- 二日酔いや乗り物酔いでからだがだるくなる
このような「水滞体質」の人は、水の巡りを整える五苓散で体調が改善することが多いです。
向いていないのは「乾燥・冷えタイプ」
一方で、以下のようなタイプの人には五苓散はおすすめできません。
- 肌が乾燥しやすい
- 冷え性で手足が冷たい
- めまいやのぼせを感じる
- 尿が濃くて少ない
似たような症状でも、原因が違えば使う薬も異なるのが東洋医学の考え方です。
副作用や注意点も知っておこう
「漢方薬だから安全」と思われがちですが、使い方によっては副作用が出ることもあります。
自己判断で「ずっと飲み続ける」のはNG
五苓散は、むくみや頭痛などの症状が出ているときに使う、いわば“スポット対応”の薬です。
飲み続けると必要な水分まで排出されてしまい、のぼせ・だるさ・便秘・脱水といった別の不調を招くこともあります。
体調が改善したら服用を中止する、という使い方が基本です。
妊娠中・高齢者・持病のある人は要注意
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、五苓散に限らず薬の使用には注意が必要です。
また、高齢者や、糖尿病・腎臓病などの持病がある方は、薬の影響を受けやすいため、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
迷ったら専門家に相談を
「むくみが気になる」「頭が重い」――そんな悩みがあっても、自分の体質に合う漢方薬を見極めるのは簡単ではありません。
自己判断で選ぶよりも、プロに相談するのが確実です。
そこでおすすめなのが「あんしん漢方」。
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無理なく続けやすい価格帯なのも安心ポイントですよ。
まとめ
菊池風磨さんのインスタ発言をきっかけに注目を集めている「五苓散」ですが、あくまでも“むくみ”や“水の滞り”に使う漢方薬です。
脂肪を落とす薬ではなく、体質に合わないと逆効果になることもあります。
大切なのは、「なんとなく」で使わないこと。
自分の体質や症状をきちんと知ったうえで、必要があれば専門家に相談してみましょう。
正しい知識と使い方で、漢方薬を上手に取り入れていきたいですね。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師|中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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