「性行為のときに痛みを感じるようになった」
「性交痛がつらいけど誰にも相談できない」
このようなお悩みをひとりで抱えていませんか?
更年期以降の女性に多くみられる「性交痛」は、年齢によるからだの変化が関係していることが少なくありません。
今回は、性行為で痛みを感じる理由と、東洋医学の視点から考える体質のケア方法をご紹介します。
痛みの背景を知ることで「自分だけじゃない」「からだを整えればよくなるかもしれない」と思えるきっかけになるかもしれません。
更年期以降、性行為で痛みを感じやすくなる理由
年齢とともにからだは変化していきます。
その影響が、性行為の痛みにも関係しています。
女性ホルモンの減少で粘膜が弱くなる
更年期に入ると、腟の粘膜を潤し、やわらかく保つ働きをもつ女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少します。
そのため、ホルモンが減ることで粘膜がうすくなり、乾燥しやすくなるのです。
潤いが足りないまま性行為を行うと、摩擦によってヒリヒリした痛みや出血が起こりやすくなります。
こうした変化は誰にでも起こる可能性があり、「年齢のせい」と片づけてしまいがちですが、ケアによって痛みがやわらぐかもしれません。
血行不良や自律神経の乱れも関係
更年期になると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
とくに交感神経が優位に働きすぎると、血流が悪くなり、腟の潤いや柔軟性にも影響が出やすくなります。
その結果、おりものが減ったり、腟がうまく伸びなくなったりして、性行為のときに痛みを感じることがあるのです。
ストレスや生活習慣も自律神経に関係しているため、からだ全体をいたわる意識が大切です。
東洋医学でみる性交痛
東洋医学では、性行為の痛みは「体質のサイン」としてとらえます。
とくに関係が深いのが「瘀血(おけつ)」と「腎陰虚(じんいんきょ)」という状態です。
瘀血:血の巡りが悪く、痛みを感じやすい状態
瘀血とは、からだの中で血の流れが滞っていることです。
東洋医学では、血流が悪くなると腟の潤滑液も分泌されにくくなると考えられています。
そのため、性的な興奮はあっても「濡れにくい」「腟が伸びにくい」といった変化が起こり、性行為のときに痛みを感じやすくなります。
腎陰虚:エネルギー不足や冷え、性機能の低下
更年期における性交痛の大きな原因のひとつが、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
こうした状態を、東洋医学では「腎陰虚(じんいんきょ)」ととらえます。
陰陽の考え方では、女性は「陰」に分類。
陰には血や水といった“潤す力”が含まれます。
そのため、陰が不足すると、からだの潤いが減って乾燥しやすくなり、腟まわりの乾きや痛みにつながると考えられています。
自分に合ったケアで、性行為の痛みはやわらぐことも
性交痛は、我慢しつづける必要のあるものではありません。
体質に合わせたケアをすることで、痛みがやわらぐ可能性もあります。
からだをあたため、潤す食生活を心がける
瘀血のある人は、まず「血の巡りをよくする」ことが大切です。
からだを冷やす食べ物や飲み物を控え、温かい食事や、香辛料・根菜などを取り入れて、血の巡りをサポートしましょう。
また、腎陰虚がある人は、「からだを潤す」ことを意識するのがポイントです。
たとえば、黒ごま・白きくらげ・卵などは、潤いやエネルギーをやさしく補う食材として知られています。
日々の食事のなかで、「温める」「潤す」をバランスよく意識することで、性行為の痛みにつながる体質をやさしく整えていくことができます。
漢方薬でからだの内側から整える
瘀血や腎陰虚といった体質の改善には、漢方薬を取り入れるのも有効です。
漢方薬は、血の巡りを促したり、からだに必要な潤いやエネルギーを補ったりすることで、性行為時の痛みの軽減へとアプローチします。
瘀血タイプに使われる代表的な漢方薬
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
滞った「血(けつ)」の巡りを改善することで、のぼせや足冷えなどの血行不良による不調に用いられます。
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
「気」や「血」の循環をよくして、からだにこもった熱を取り去り、月経に伴う痛みやのぼせ、イライラなどの精神不安や便秘にも用いられます。
腎陰虚タイプに使われる代表的な漢方薬
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
生殖器系の働きを高め、水分代謝を改善してからだにたまった余計な熱を冷ますことで、手足のほてりや、更年期のホットフラッシュに用いられます。
漢方薬は、人によって合うものが違います。
「自分にどれが合うかわからない」という人は、オンライン漢方相談サービスを活用して、体質に合った漢方薬を見つけるのもひとつの方法です。
自宅にいながら、体質チェックと漢方薬の提案を受けられる「あんしん漢方」を活用すれば、無理なくケアを始められます。
性行為のお悩みはなかなか人に言えないからこそ、対面ではないオンラインサービスを利用すると相談しやすいかもしれません。
まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
性行為での痛みは、決して「年のせい」や「気のせい」だけではありません。
その背景には、女性ホルモンの減少だけでなく、瘀血や腎陰虚といった体質のサインが隠れていることもあります。
からだの変化に目を向け、あたたかく潤いのある生活を心がけることが、改善への第一歩になります。
食事の見直しや漢方薬など、できることから始めてみませんか?
誰にも言えず、ひとりで悩んでいる人こそ「私のせいじゃなかったんだ」と安心し、前向きなケアにつなげてもらえたらうれしいです。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師|中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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