「前は平気だったのに、最近ちょっと食べただけで胃が重い」
「食後にだるくなって、しばらく動けない」
そんな変化を感じていませんか?
40代ごろから、食べることに関するちょっとした違和感が増えてくる人は少なくありません。
加齢によって、消化の働きがゆるやかに衰えていくのは自然なことです。
この記事では、年齢とともに変化する「消化力」の正体と、食べる楽しみを守るためのケア方法をご紹介します。
加齢による消化器の変化
まずは、年齢を重ねることでからだの中の消化のしくみがどう変わっていくのかをみていきましょう。
口の中の変化
年齢とともに唾液の分泌量が減りやすくなります。
唾液には食べ物を柔らかくしたり、消化を助けたりする働きがあり、唾液量が減ると飲み込みにくくなったり、むせやすくなったりします。
また、高齢者になると歯の本数が減る、噛む力が弱くなる、味を感じにくくなるといった変化も。
こうした変化によって、食べる量の減少や特定の食べ物ばかりを選ぶ傾向が出てくるのです。
食道や胃、小腸、大腸の変化
食道の動きがゆるやかになると、食べ物が胃に届くまでに時間がかかり、飲み込みにくさや胸やけ、逆流などの不快感が起きることもあります。
胃や小腸では、消化液の分泌が減り、食べ物の分解がうまく進みにくくなることも。
その結果、食後の胃もたれや食欲の低下、栄養の吸収不足も起こりやすくなるのです。
また、大腸も動きが鈍くなり、便を押し出す力が弱まることで、便秘やおなかの張りにつながることがあります。
自律神経の乱れ
年齢とともに、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
自律神経とは、意識しなくても働く神経で、呼吸や消化、睡眠などを調整するもの。
とくに、ストレスやホルモンの変化、生活リズムの乱れなどによって「胃腸の動きをうまくコントロールできなくなる」ことがあります。
たとえば、胃を守る粘膜が減ったり、胃酸の分泌が不安定になったりすると、胃もたれや胸やけ、だるさなどの症状が出やすくなります。
これは、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れるためです。
食べる楽しみを守るためのケア方法
加齢により消化力がゆるやかに落ちていくのは自然なこと。
だからこそ、毎日の過ごし方や食事を少し意識するだけで、負担を軽くすることができます。
よく噛んで食べる
「よく噛む」ことは、すべての消化のスタートです。
ひと口につき30回を目安にしっかり噛むと、食べ物が細かくなり、唾液もしっかり出て、胃腸の負担がやわらぎます。
また、噛むことで満腹感も得やすくなり、食べすぎの予防にもつながります。
早食いを避け、落ち着いて食べる習慣をつけることが、消化力を守る第一歩です。
柔らかすぎない食べ物を意識して摂る
消化にやさしいようにと、柔らかいものばかり選ぶ人もいますが、それだけでは栄養がかたよってしまったり、噛まずに飲み込んでしまったりすることもあります。
たとえば、よく噛んで食べることを前提に、噛み応えのある野菜や肉・魚など、適度な歯ごたえのある食事を取り入れるといいでしょう。
「柔らかすぎない」「噛めば食べられる」ものを意識して取り入れることが、噛む力や消化力を守ることにもつながります。
からだを動かす
年齢とともに消化器の動きがゆるやかになるため、意識的に「からだを動かす」ことが大切です。
とくに腸の動き(ぜん動運動)は、適度な運動によって活発になります。
ウォーキングやストレッチ、ラジオ体操など、軽めの運動を毎日の習慣にすることで、便秘の予防にもなりますし、全身の血流もよくなります。
激しい運動をする必要はありません。
日常生活のなかで、無理なく「動く時間」を増やしていきましょう。
漢方薬で消化力を支える方法
生活の見直しに加えて、内側から消化力を整えるために、漢方薬を活用するのもおすすめです。
「最近、食後にだるい」「食べても元気が出ない」といったときは、胃腸の機能を回復したり、自律神経を整えたりする働きのある漢方薬を取り入れてみるのもひとつの方法です。
漢方薬は根本からの改善を得意としているので、消化力のサポートだけでなく、疲労やストレスに負けないからだへと導いてくれるでしょう。
たとえば、以下のような漢方薬があります。
- 六君子湯(りっくんしとう)
胃腸の働きをよくして、胃の余分な水分を取り、胃もたれや胃痛、消化不良を改善する漢方薬です。
もともと胃が弱く、食欲がなくて疲れやすい人におすすめです。
- 平胃散(へいいさん)
胃腸の機能や水分代謝をよくして、胃もたれやげっぷを改善する漢方薬です。
とくに消化不良による胃もたれにおすすめです。
漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶのが大切です。
「どれが合うかわからない」「薬局に行く時間がない」という人には、オンライン漢方相談サービス「あんしん漢方」もおすすめです。
スマホで体調を入力するだけで、専門家があなたに合った漢方薬を選んでくれます。
漢方薬は自宅で受け取れるので、忙しい人でも安心して使えます。
まとめ
年齢とともに、消化力は少しずつ変化していきます。
「最近、食後がつらい」「胃がもたれるようになった」と感じたら、それはからだが出しているサインかもしれません。
食べ方を見直すことや、食事内容を工夫すること、そして体質に合った漢方薬を使って内側から整えることも、元気に食べるための大切な一歩です。
“食べること”は、日々の楽しみそのもの。
年齢を重ねてもおいしく食べられるように、今できるケアから始めてみましょう。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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