「最近、なんとなく調子が悪い」
「疲れやすいのに、検査では異常なし」
それは、もしかしたら『かくれ貧血』かもしれません。
とくに20〜40代の女性は、自覚のない鉄不足に悩まされているケースが多くあります。
この記事では、かくれ貧血の特徴とその対策、そして東洋医学の視点からのアプローチについてわかりやすく解説します。
女性の約65%が「貧血」または「かくれ貧血」
まずは、かくれ貧血がどれくらい身近な問題なのかをみていきましょう。
女性は鉄を失いやすい
女性は、月経や妊娠・出産などを通して、男性よりも多くの鉄を失いやすい体質です。
また、ダイエットや偏食、パンや麺など小麦中心の食生活も、鉄不足を引き起こす一因とされています。
実際、日本人女性の鉄分摂取量は推奨量の6割程度。
必要な量に届いていません。
厚生労働省の調査によると、20〜40代の日本人女性の約65%が、貧血またはかくれ貧血に該当するともいわれています。(※1)
貧血とかくれ貧血の違い
「貧血」とは、血液中のヘモグロビンが不足し、からだに十分な酸素が行きわたらなくなる状態をいいます。
一方「かくれ貧血」は、ヘモグロビンの値は正常でも、鉄の貯蔵庫である「フェリチン」が不足している状態のことです。
フェリチンは通常の健康診断では検査をしないことが多く、検査では異常なしとされてしまうケースが少なくありません。
つまり、検査では異常が見つからなくても、からだの中では鉄が足りていないという見えない不調。
それがかくれ貧血であり、さまざまな不快な症状につながっているのです。
「かくれ貧血」が引き起こす不調とは
かくれ貧血は、からだと心のあらゆる部分に影響を及ぼします。
鉄は、酸素を運ぶヘモグロビンをつくる材料になるだけでなく、肌や髪、神経伝達物質の働きにも深く関わっています。
そのため、鉄不足が進むと、以下のような症状が出やすくなります。
- 疲れやすく、だるさが続く
- 肌が荒れやすく、爪がよく割れる
- 頭痛や頭が重い感じがする
- イライラしやすい
- 手足が冷える
こうした症状は「体質のせい」と見過ごされがちですが、実は鉄不足による症状です。
早めに気づいて、対策をとっていきましょう。
鉄分補給のコツと東洋医学の視点
次に、鉄不足を改善するための食事のポイントと、東洋医学的なとらえ方についてお伝えします。
ヘム鉄・非ヘム鉄の違い
鉄には、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
- ヘム鉄(レバー、赤身の肉、魚など):吸収率 約25%
- 非ヘム鉄(ほうれん草、豆類、海藻など):吸収率 約3〜5%
効率よく鉄をとるためには、ヘム鉄を含む食品を意識的に摂るのがポイントです。
東洋医学では「血虚」と考える
東洋医学では、鉄不足による不調は「血(けつ)」が足りない状態=血虚(けっきょ)ととらえます。
血虚になると、
- 顔色が悪くなる
- 眠れない
- めまいが起きやすい
などの不調がみられます。
東洋医学では、単に鉄を補うだけでなく、血をつくり、巡らせる力を高めることを重視。
そのため、症状の緩和はもちろんのこと、体質の改善も期待できます。
漢方薬で「血を補い、巡らせる」からだづくり
漢方薬は、血を補いながら全身のバランスを整えることで、不調の根本にアプローチします。
貧血の改善には、次のような働きをもつ漢方薬を選びます。
- 血流をよくして脳に酸素や栄養を運ぶ
- 胃腸の働きをよくして血液をつくる機能を回復する
- 月経過多を改善し血液の排出を防ぐ
かくれ貧血タイプにおすすめの漢方薬
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血流や水分代謝をよくし、からだを温めることで、貧血をはじめ、月経痛(月経異常)や冷え、むくみなどを改善する漢方薬です。
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
「気(き)」(エネルギー)と「血(けつ)」(栄養)を補うことで、貧血をはじめ、疲労倦怠や食欲不振、病後の体力低下などを改善する漢方薬です。
これらの漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。
「どれが合うのかわからない」という場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
漢方薬相談のオンラインサービス「あんしん漢方」は、漢方薬の専門家があなたの体質や悩みに合った薬を提案してくれるサービス。
スマホやパソコンから簡単に体調チェックができ、自宅にいながら始められるのも魅力です。
「なんとなく不調だけど、病院に行くほどでもない……」という人にもぴったり。
気になる方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
「なんとなく不調」が続いているとき、それはからだからのサインかもしれません。
とくに女性は、見えない鉄不足=かくれ貧血になりやすく、不調の原因に気づかず過ごしている方が多くいます。
鉄分を補い、血を養い、からだ全体を整えていくことが、根本改善のカギです。
東洋医学の知恵や漢方薬を取り入れて、内側から元気になれるからだづくりを始めてみませんか?
参考文献
(※1)貧血・かくれ貧血|働く女性の心とからだの応援サイト 厚生労働省
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師|山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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