「なんとなく気分が重い」「やる気が出ない」そんな不調を感じやすいのが、実は“10月”だと知っていますか?
この時期にあらわれやすい気分の落ち込みは「オクトーバーブルー」とも呼ばれています。
今回は、オクトーバーブルーの原因と心身への影響、生活でできるセルフケア、さらに漢方薬による体質改善のヒントまで、わかりやすくご紹介します。
オクトーバーブルーとは?
オクトーバーブルーとは、10月ごろから感じやすくなる気分の落ち込みや無気力感をあらわす言葉です。
季節性うつ病(季節性感情障害:SAD)ともいわれています。
冬に気分が沈む「ウィンターブルー(冬季うつ)」は比較的知られていますが、その前段階として秋からすでに不調が始まっていることも多く、最近では「オクトーバーブルー」として海外で注目が集まっています。
日照時間の減少や気温の変化などが影響し、心とからだのバランスが崩れやすくなるのが特徴です。
名前があると、「自分だけじゃないんだ」と少し安心できることもあります。
もし、毎年秋になると気分が落ち込むようなら、オクトーバーブルーという可能性を考えてみてもいいかもしれません。
秋に不調が起こりやすい理由
オクトーバーブルーが起こる背景には、季節の変化による心身への影響があります。
日照時間の減少でセロトニンが不足する
秋になると日が短くなり、太陽の光を浴びる時間が減ってきます。
これにより、脳内の「セロトニン」という神経伝達物質の分泌が減りやすくなります。
セロトニンは心の安定や睡眠の質にも関わる「幸せホルモン」。
その分泌が減ることで、気分の落ち込みや不安、イライラ、無気力といった症状が出やすくなってしまいます。
気温差で自律神経が乱れやすい
10月は昼と夜の寒暖差が大きく、朝晩の冷え込みも強くなっていきます。
この気温差が自律神経に影響し、心やからだのバランスが乱れる要因となります。
「寒暖差疲労」とも呼ばれ、夏の疲れとともに肩こりやめまい、頭痛といった症状があらわれやすいのがこの季節の特徴です。
ホルモンやストレスも影響する秋の心の不調
年齢とともに気持ちが上がりづらいのは仕方がない、と思っている方も多いかもしれませんが、それだけではありません。
ホルモン変化とストレスが重なりやすい世代
40〜50代は、女性なら更年期、男性でもホルモンバランスの変化が始まる時期です。
その影響で、自律神経のバランスが乱れやすく、気分が沈んだり、やる気が出にくくなったりすることがあります。
そこに季節の影響や日々のストレスが重なることで、秋の気分の落ち込みが強くあらわれるのです。
忙しさのなかで自分の変化に気づきにくい
仕事、家事、育児、介護などに追われる日々のなかでは「自分が今どんな状態か」に目を向ける時間がとれないこともあります。
「なんとなく疲れやすい」「何もしたくない」「涙もろくなった」——そんなサインが出ていたら、自分をいたわるタイミングかもしれません。
心のバランスを整えるセルフケアとは
オクトーバーブルーは、日々のちょっとした習慣でやわらげることができます。
朝の光を浴びる習慣をつける
朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光をしっかり浴びましょう。
季節性の気分の落ち込みは、日照不足が原因といわれています。
散歩やベランダでの深呼吸など、積極的に太陽の光を浴びることが大切です。
バランスのいい食事を意識する
セロトニンのもとになる栄養をしっかり摂ることで、気分の安定につながります。
肉や魚、大豆製品などのたんぱく質には、セロトニンの材料となる「必須アミノ酸(トリプトファン)」が含まれています。
主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけて、栄養バランスを整えていきましょう。
オクトーバーブルーは漢方薬で内側からケア
生活習慣の見直しに加え、漢方薬を取り入れて体質そのものを整えるのもおすすめです。
オクトーバーブルーのような「なんとなく落ち込む」「やる気が出ない」という状態には、以下のような働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。
- 自律神経のバランスを整える
- 精神を安定させて気分の落ち込みを改善する
- 興奮やイライラを鎮める
- 消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする
具体的には、以下のような漢方薬がおすすめです。
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
胃腸の働きを高めて体力をつけるとともに、心を落ち着かせてイライラや不安などの精神症状に働きかける漢方薬です。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
ストレスや緊張によるのどや胸のつまり感を取り去ることで、精神を安定させる漢方薬です。
「どの漢方薬がいいのかわからない」「薬局に行く時間がない」という方には「あんしん漢方」のようなオンライン相談サービスがおすすめです。
スマホで簡単な質問に答えるだけで、漢方薬に詳しい薬剤師が体質や悩みに合った処方を提案してくれます。
処方された漢方薬は、自宅に郵送で届くのでとても便利です。
忙しい毎日でも無理なく続けられるケアとして、今注目されています。
まとめ
オクトーバーブルーは、誰にでも起こりうる「季節の心の揺らぎ」です。
原因がわからず不安になるのではなく「これは自然な反応なんだ」と知ることで、少し気持ちがラクになるかもしれません。
朝の光を浴びること、バランスのいい食事をすること。
そんなやさしい習慣に、漢方薬の力をプラスすることで、秋の不調をしなやかに乗り越えていきましょう。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師|中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)