発酵食品といえば、味噌や納豆、ヨーグルトなどが思い浮かぶ方が多いかもしれません。
でも実は、私たちが日ごろあまり意識せずに食べている「郷土料理」の中にも、からだにうれしい発酵の知恵がたくさん詰まっています。
地域の風土や暮らしから生まれた食文化は、現代の腸活習慣にもつながるヒントがたくさん。
この記事では、おなかにやさしい郷土料理について解説していきます。
発酵食品とは?腸にうれしい理由
まずは発酵食品の基本からみていきましょう。
微生物の力でつくられるからだにやさしい食品
発酵食品とは、酵母菌や乳酸菌、麹菌などの微生物が食品の中で働くことで、栄養価や風味が高まったものです。
日本では、味噌・しょうゆ・納豆・漬物・酢・みりんなどが代表的な発酵食品とされています。
これらは古くから家庭で食べられてきた身近な食品でありながら、実はからだにとてもやさしい存在。
発酵の過程で生まれる酵素やアミノ酸、ビタミンなどが腸内環境を整えたり、ストレスの軽減に役立ったりするといわれています。
腸内フローラと発酵食品の関係
私たちの腸内には、数百種類以上の腸内細菌がすみついており、それぞれがバランスを取りながら暮らしています。
この腸内細菌の集まりは「腸内フローラ」と呼ばれており、私たちの健康に大きく関係しています。
腸内フローラのバランスが崩れると、便秘や肌荒れ、免疫力の低下など、さまざまな不調があらわれやすくなります。
そのため、善玉菌を増やすことが腸活の基本とされています。
発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌を含むものも多くあります。
さらに、善玉菌のエサとなる成分(プレバイオティクス)も含まれていることがあり、腸内環境を整えるのにぴったりの食品です。
郷土料理には、発酵の知恵がつまっている
発酵食品と聞くと、パッケージに「乳酸菌配合」などと書かれた商品を想像するかもしれません。
でも実は、日本の伝統的な家庭料理のなかに、たくさんの発酵の知恵が受け継がれています。
地域の気候風土が生んだ発酵文化
日本は南北に長く、気候や湿度が地域によって大きく異なります。
そんな環境のなかで、昔の人々は知恵を絞り、食材を長持ちさせるための工夫を重ねてきました。
その結果、自然と「発酵」という手法が根づいたのです。
寒い地方では、冬の保存に適した糠漬けやいぶりがっこ、温暖な地方では味の変化を楽しむ漬物や魚のなれずしなど、発酵のスタイルも多彩です。
こうした工夫は、食材を無駄にせず、しかも腸に良いという、一石二鳥の知恵だったといえるでしょう。
全国にある!代表的な発酵系郷土料理
各地に伝わる発酵食品ベースの郷土料理をいくつかご紹介します。
■秋田県「いぶりがっこ」
燻してから漬け込む、保存性と香ばしさを兼ね備えた伝統のたくあん。乳酸菌の力でじっくり発酵します。
■奈良県「柿の葉すし」
酢飯と魚を柿の葉で包み、ほどよく発酵させた押し寿司。乳酸菌と酢の力で保存性を高めています。
■石川県「ふぐの子のぬか漬け」
毒のあるふぐの卵巣を2年以上糠に漬けて無毒化する、驚きの技術と味の逸品。
どれもその土地の気候や食材に合わせた工夫が施されていて、「発酵文化=郷土の誇り」ともいえる存在です。
発酵食品を、日常の食卓に
日本の奥深い発酵文化を、日々の生活にどう取り入れればよいのでしょうか?
身近なところから、無理なくはじめる方法をご紹介します。
まずは身近な調味料から見直す
毎日の料理に欠かせない味噌、しょうゆ、酢、みりん──これらはすべて、立派な発酵食品です。
特別なことをしなくても、こうした調味料を上手に使えば、自然と腸にやさしい食生活につながっていきます。
たとえば、味噌汁を毎日の習慣にしてみたり、ドレッシングに酢やしょうゆを加えて自家製でつくってみたり。
みりんは煮物だけでなく、炒め物や和え物に少し加えるだけでも、やさしい甘みと発酵のうまみが広がります。
食卓に自然と発酵食品がある。それだけで、腸活はぐっと身近なものになります。
お取り寄せや道の駅も活用してみよう
郷土料理や地域の発酵食品を試してみたいけれど、身近に手に入らない……そんなときは、お取り寄せや道の駅、アンテナショップを活用してみましょう。
オンラインで「発酵食品 郷土料理」と検索すれば、全国の珍しい商品を見つけることができます。
旅の気分で、いろんな土地の味を楽しむのもおすすめです。
定番になりがちな腸活に、ちょっと新鮮な刺激を加えてくれるかもしれません。
サプリメントと組み合わせて、毎日の腸活習慣に
発酵食品を毎日とるのが理想とはいえ、忙しい日や外食続きの日もありますよね。
そんなときは、善玉菌や酵素、発酵エキスなどを含むサプリメントを上手に取り入れてみてください。
食事で不足しがちな栄養を補いながら、腸活のベースづくりをサポートしてくれます。
あくまで「補助」として使うのがポイントですが、気軽に始められるのも魅力のひとつです。
まとめ
日本各地に根づく郷土料理には、発酵という知恵がたくさん生きています。
それは、昔の人たちが自然と寄り添い、暮らしを豊かにするために生み出してきた“からだにやさしい文化”です。
今の時代、私たちはスーパーやネットで簡単に発酵食品を手に入れることができます。
だからこそ、郷土の味や昔ながらの食文化にもう一度目を向けてみると、新しい気づきや、からだに合った腸活のヒントが見つかるかもしれません。
まずは調味料を変えてみる、小さな発酵食品を一品加えてみる──そんなところから、腸活はスタートできます。
郷土の知恵に学びながら、腸も心も元気な毎日を目指してみませんか。
<この記事の監修者>

中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。大学卒業後、病院薬剤師として勤務。その後、漢方相談薬局にて食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとして腸活ファスティングの魅力に感銘を受ける。
便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みは腸活ファスティングと、深く結びつきがあることを実感。現在は、腸活サポート薬剤師として積極的に発信中。プライベートでは長男と双子姉妹の3人育児に奮闘中。一食一発酵食品を心がけて毎朝のルーティンは納豆と味噌汁!
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