「手足が冷たくて寝つけない」「厚着をしても寒い」そんな冷えの悩みを抱えていませんか?
寒い季節になると、冷えに悩む人がぐっと増えます。
そこで今回は、毎日の食事で気軽に始められる「食べる温活」についてご紹介します。
東洋医学の考えも取り入れながら、からだの中からポカポカを目指しましょう。
なぜからだが冷えるの?原因をチェック
冷え性といっても、原因はひとつではありません。
まずは、自分の冷えのタイプを知ることが大切です。
熱を生み出す力の弱まり
人のからだは、筋肉によって熱を生み出し、体温を保っています。
そのため、筋肉量が少ないと熱の産生量が減り、からだが冷えやすくなるのです。
とくに女性や高齢の方はもともと筋肉量が少なめで、寒さを感じやすい傾向があります。
また、運動不足が続いたり無理なダイエットをしたりすると筋肉はさらに減っていくため、冷えが悪化する原因に。
ふだんから軽い運動やストレッチを取り入れることも、冷え対策のひとつになります。
自律神経の乱れ
私たちの体温は、自律神経によってコントロールされています。
ストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、体温調節がうまくできなくなり、手足が冷える・のぼせるといった症状が出ることも。
寒暖差が大きい時期や、季節の変わり目に冷えを感じやすい方は、このタイプの冷えが関係しているかもしれません。
血流の滞り
血液は、酸素や栄養と一緒に「熱」も運んでいます。
そのため、血の巡りが悪くなると、指先や足先などの末端まで熱が届きにくくなり、冷えを感じやすくなります。
デスクワーク中心で同じ姿勢が多い方、運動不足の方に起こりやすい冷えです。
東洋医学では“冷え”をどうとらえる?
東洋医学では、冷えは「気・血・水」のバランスが乱れることで起こると考えられています。
それぞれがどんな働きをしているのか、簡単に見ていきましょう。
「気」の不足=エネルギーが足りない
「気」は、からだを動かすエネルギーのようなもの。
「気」が足りないと、熱を生み出す力が弱まり、からだが冷えやすくなります。
気の不足(=気虚)は、疲れやすい・だるい・眠いといった症状と一緒に出てくることがあります。
「血」の不足や巡りの悪さ
「血」は、全身に栄養と熱を届ける役割があります。
「血」が足りなかったり、流れが滞っていたりすると、からだのすみずみまで熱が行き届かず、冷えが強くなります。
とくに女性は血の不足(=血虚)になりやすく、顔色が悪い・立ちくらみがする、といったトラブルがある人は、このタイプの冷えがあるかもしれません。
「水」の滞り=余分な水分が冷えを呼ぶ
からだの中の水分バランスが乱れると、不要な水がたまり、それが冷えの原因になることも。
このタイプは、むくみやすい・下半身がとくに冷えるなどの特徴があります。
東洋医学ではこうした「水」の滞りを「水滞」と呼び、水の巡りをよくしていくことを大切にしています。
今日からできる「食べる温活」のコツ
「運動は苦手」「外に出るのは面倒」そんな方こそ、日々の食事からからだを温める「食べる温活」がぴったりです。
ここでは、誰でもすぐに始められるポイントを3つにまとめました。
温める食材を選ぶ
からだを温める食材を「熱性食品または温性食品」といいます。とくに冬におすすめなのが以下のような食材です。
- 冬が旬のもの:人参、れんこん、ごぼうなど
- 発酵食品:納豆、味噌など
- スパイス:にんにく、しょうがなど
一方で、夏が旬のもの(トマト、きゅうりなど)はからだを冷やすことがあるので、冬場は控えめにしましょう。
「気・血・水」を補う食材を意識する
自分の体質に合わせて、以下のような食材を積極的に摂り入れると、からだのバランスが整いやすくなります。
- 気を補う食材:イモ類、豆類、なつめ
- 血を補う食材:レバー、プルーン、ゴマ
- 水の巡りを助ける食材:ウリ科の野菜、豆類、大根など
ひとつの食材にこだわらず、できる範囲で取り入れることが、温活を長く続けるコツです。
食べ方も温活に
何を食べるかだけでなく「どう食べるか」も温活には大切です。
- 冷たい飲み物は避け、常温か温かい飲み物を摂る
- アイスやかき氷など冷たいものは摂らない
- お味噌汁やスープを積極的に摂る
とくに白湯は、朝起きてすぐに飲むと胃腸がゆっくり目覚め、からだがポカポカしてきます。
漢方薬の力を借りるのもおすすめ
「体質に合った食材を選ぶのが難しい」「忙しくて温活に手が回らない」
そんなときは、漢方薬の力を借りるのもひとつの方法です。
漢方薬は、冷えのタイプに合わせて選ぶことで、冷えの根本原因にアプローチしてからだの内側から整えてくれます。
冷えのタイプ別・おすすめの漢方薬
気が不足しているタイプに
→ 大建中湯(だいけんちゅうとう):おなかや手足の冷えが気になる方に
血が不足しているタイプに
→ 加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラしやすく、冷えのぼせが気になる方に
水の滞りがあるタイプに
→ 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):下半身の冷えやむくみが気になる方に
漢方薬の選び方
漢方薬は、症状だけではなく「体質」に合わせて選ぶことが大切なポイント。
そのため、どの薬を飲むかは自分で判断せず、専門家に相談するのが安心です。
最近では、スマホで体質をチェックできる「あんしん漢方」のようなオンライン相談サービスも人気です。
漢方薬のプロである薬剤師が、あなたにぴったりの漢方薬を選んでくれますよ。
注文した薬は自宅に届くため、忙しい方でも簡単に続けることができます。
まとめ
冷えは年齢や筋肉量、自律神経などさまざまな原因で起こるものです。
まずは、自分の冷えの原因や体質を知ること。
そして、からだを温める食材や食べ方を意識しながら、少しずつ生活に取り入れてみましょう。
必要に応じて漢方薬の力を借りながら、寒い季節も心地よく過ごせるからだづくりを目指してみてください。
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師|山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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