夏の終わり、風が心地よく吹き抜けるある日、美奈子は突然の知らせを受け取った。
夫の父、つまり彼女の義父である雅彦が、彼の家が火事で焼けてしまったため、しばらくの間、彼らの家に同居することになったのだ。
密かなる情熱
美奈子は驚いた。
義父とは、結婚式や家族の集まりでしか顔を合わせたことがなかった。
彼は50代後半の男性で、いつも落ち着いた雰囲気を持っていた。
美奈子は、彼の深い瞳と、時折見せる微笑みに、何となく引き寄せられるものを感じていた。
同居初日、美奈子は義父の部屋の掃除を手伝うことになった。
彼の私物を整理していると、古びた写真アルバムが目に入った。
中を開くと、若い頃の義父と美しい女性の写真がたくさん貼られていた。
その女性は、美奈子の夫の母、つまり亡くなった義母だった。
「あれは、新婚旅行の時の写真だよ。」
義父が後ろから声をかけてきた。
彼の声には、遠い日の懐かしさと哀しみが混ざっていた。
美奈子は、義父の若い頃の情熱を感じ取った。
そして、彼の深い瞳に、自分自身を映してみたいと思った。
日々の生活の中で、二人は互いに距離を縮めていった。
夫は仕事で忙しく、家にいる時間が少なかった。
そのため、美奈子と義父は、多くの時間を二人きりで過ごすことになった。
ある日、美奈子がキッチンで料理をしていると、背後から義父の手が彼女の腰に回った。
彼の手の温もりと、胸の鼓動が美奈子の耳に響いた。
彼女は驚きながらも、その感触に身を任せた。
夜、二人は秘密の時間を共有するようになった。
家族の中で、このような関係は許されないことを彼らは知っていた。
しかし、その禁断の関係が、二人の間に深い絆を生むことになった。
しかし、ある日、夫が二人の関係を知ってしまう。
それは、美奈子が義父に宛てた手紙を、夫が偶然見つけたことからだった。
手紙には、美奈子の心の中の葛藤と、義父への深い愛情が綴られていた。
夫はその手紙を読み終えると、顔を真っ赤にして怒りを爆発させた。
「何をしているんだ、美奈子！父と、まさか…！」
彼の声は震えていた。
美奈子は驚きと恐怖で言葉を失った。
その時、リビングに義父が入ってきた。
彼の顔には、何も知らない無邪気な笑顔が浮かんでいたが、夫の怒りに気づき、その表情は一変した。
「なぜこんなことを…」
夫の声は、涙と怒りで震えていた。
義父は深く息を吸い込み、「私たちの気持ちを止めることはできなかった。でも、お前には申し訳ないと思っている。」と静かに語った。
夫はしばらくの間、何も言わずに二人を見つめていた。
そして、突然「離婚だ」と言い放った。
美奈子は涙を流しながら、「ごめんなさい、本当にごめんなさい」と繰り返し言ったが、夫の心はもう固く閉ざされていた。
数日後、夫と美奈子は離婚届を提出した。
美奈子は家を出て、新しい生活を始めることになった。
家族は崩壊し、それぞれの道を歩むことになった。
しかし、美奈子と義父の間には、禁断の愛が生まれ、その愛は彼らの心の中で永遠に続くこととなった。
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