自己学習や習い事など、一つの事を意欲的に取組み続けることは、興味が分散しやすい小さな子どもにとってとても難しいことです。
子どものやる気を駆り立てるためにどうサポートするかは、ママパパにとっても育児における悩みの種の一つに違いありません。
本記事では、学者として文科省や理研で活動していた一児のママである筆者が、子どもの意欲を低下させてしまうNG行為について、心理学的視点からご紹介します。
【罰?報酬?賞賛?】動機づけによる行動促進効果
人の行動や認知はすべて学習によって身につくと考える学習理論では、「そもそも人は怠け者であるが故に、必要に駆られなければ行動しない」と言われてきました。
例えば、食べたものが想像以上に辛かった場合、辛いという感覚を鎮めるため、「必要に駆られて」水を飲むでしょう。
このように、何らかの動因(=行動の原因)が強くなった際、その動因を減らすために行動することを、動因低減理論と言います。
これを言い換えると、人にある行動させたい場合は、それを促しうる動機を与えれば良いと考えられます。
外発的動機づけ
心理学では、その行動を促す「報酬を得る・罰を避ける」といった外的な要因を、外発的動機づけといいます。
以下の例は、ママパパによる子どもへの外発的動機づけと、その際の子どもの気持ちをあらわしたものです。
- 宿題が終わったら、ゲームをして良い →「ゲームをする(報酬)ために、宿題をする」
- お手伝いをしたら、お小遣いをあげる →「お小遣い(報酬)が欲しいから、お手伝いをする」
- 嫌いなおかずも残さず食べなければ、デザートは出さない →「デザートなし(罰)を避けるために、嫌いなおかずも食べる」
- 部屋が散らかっていると、叱る →「叱られる(罰)のが嫌だから、片づける」
- テストで良い点をとったら、賞賛する →「褒められたい(報酬)から、勉強する」
どれも効果的ですが、外発的動機づけによる行動は、与えられていた罰や報酬がなくなれば生起しなくなり得るので、注意が必要です。
内発的動機づけ
一方、物事への好奇心や、行動すること自体の楽しさからなどの内的な要因を、内発的動機づけと言います。
ママパパであれば一度は、子どもが夢中でお絵描きをする様や、積み木に熱中する様を見たことがあるでしょう。
その様子からも分かるように、実は、外発的動機づけよりも内発的に動機づられた行動の方が、学習効果が高いと言われており、注目を集めています。
アンダーマイニング現象
そこでママパパにとって重要となるのが、内発的動機づけによる行動を大切にすることです。
具体的なNG例について、1973年にレッパーらによって実施されたお絵描き実験からご紹介します。
レッパーらは絵を描くことに興味を持っている子どもたちを、以下の3つのグループに分けて観察しました。
- 絵を上手に描けたら賞状をあげると伝え、賞状をあげた。
- 何も告げずに絵を描かせ、賞状をあげた。
- 何も告げずに絵を描かせ、賞状もあげなかった。
1~2週間後、実験対象の子どもたちが自由時間に絵を描いている時間を測定しました。
すると、②③のグループに比べて、①の子どもたちは大幅に絵を描く時間が短かったという結果が得られました。
賞状という報酬を与えたことで、絵を描くという行動が、「好きだから」という内発的動機づけから、「賞状が欲しいから」という外発的動機づけによるものにシフトしてしまったことを意味しています。
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まとめ
上述から、内発的動機づけによる子どもの自発的行動を阻害するのは、奇しくも他者による報酬や罰であることが分かりました。
純粋に報酬を与えたい場合は、お絵描き実験のグループ②のように、事後的に与えることが良いでしょう。
また、報酬が賞賛であったり、褒めるポイントを結果と過程で都度調整するなど、子どもの自己有能感を高める形であれば、内発的動機づけは低下しないという説もあります。
普段から子どもと真摯に向き合い、その行動が内発的に動機づけられているか否かを識別することで、子どもの意欲向上のサポートに繋がるかもしれません。
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