1972年の夏、碓氷郡松井田町の霧積ダム建設現場近くの静寂な山奥に、一つの凄惨な事件が降りかかった。
「霧積温泉女性殺人事件」と名高いこの事件は、その残忍さと謎めいた状況から、未だに多くの人々の記憶に深く刻まれています。
そして未だ捕まっていない犯人について、さらに、この霧積温泉女性殺人事件の数々の不可解な点についても触れていきます。
霧積温泉女性殺人事件の謎
霧積温泉女性殺人事件とは
霧積温泉女性殺人事件は、1972年8月16日に碓氷郡松井田町の霧積ダム建設現場近くの小屋で発見された、一人旅中の女性の凄惨な殺害事件です。
本来は母と弟と共に群馬の秘湯「金湯館」に旅行する予定でしたが、家族の都合で一人で行くことになりました。
翌日、女性は3時間かかる下山を一人で行うと決意し、その後行方不明になります。
心配した姉が直接探しに行った結果、その遺体は父親により霧積ダム建設現場付近の小屋で発見されました。
女性はノースリーブのブラウスに白いスカートを着用、その衣服に乱れから、乱暴された後に殺害されたのだと報道されていました。
遺体は仰向けで、首や左腕・右手などには深い刺し傷が24箇所、心臓は抉られ、あばら骨も3本折れていました。
その血量から、小屋外で殺害された可能性が指摘されており、小屋の前にはタイヤの跡も見つかりました。
未だに捕まっていない犯人
この「霧積温泉女性殺人事件」では、50年以上が経過した現在でもなお犯人が捕まっていません。
当初から謎が多く、多くの警察官や探偵が捜査にあたったにも関わらず、捜査は難航しました。
遺体の現場となった小屋前に残されたタイヤの跡や、被害者の身につけていた衣服の乱れから、何者かによる暴行が疑われました。
しかし、具体的な犯人像は絞り込むことができず、目撃情報も得られないまま時間だけが過ぎていきました。
また、事件現場の周辺は人通りが少ない山間部で、当時はまだ通信手段が限られており、事件発覚も遅れた要素がありました。
そのため、早期の犯人逮捕や証拠の確保が困難だったとされています。
その後も多くの時間と労力が費やされましたが、結果的に犯人を特定することはできず、今日に至るまで解決されていません。
被害者の家族や関係者たちは、50年以上の歳月を経てもなお、真相を知ることなく犯人の逮捕を待ち続けています。
それほどまでに難解で、捜査が難航した事件となったのが、この「霧積温泉女性殺人事件」なのです。
犯人は釣り人?
情報提供者である釣り人の存在は、一部では犯人の可能性を示唆しています。
彼は被害者から写真撮影を依頼され、その後何事もなく別れたと証言しています。
しかし、彼が提供した住所に該当する人物は存在せず、その存在は疑問視されました。
さらに、彼が事件を新聞で知ったとしたことにも疑問が生じました。
事件はローカル新聞にしか報じられておらず、彼の住む地域でその記事を見る可能性は低いからです。
また、犯行場所となった山間の小屋は車でなければ容易には行けない場所でした。
そのため、警察は犯人が車を使ったと推測しました。
警察は宿泊客や現地の作業員などに対してアリバイの確認を行い、その中でアリバイがない5人を容疑者として絞り込みましたが、後に全員が犯人の可能性が低いと判断されました。
警察は車両検問を実施したものの有力な情報は得られませんでした。
そして現場に残された痕跡から犯人像を割り出しにかかるものの、床に残されていた地下足袋の足跡は事件当日よりも前につけられたものだと判明し、これによって犯人とされていた釣り人の可能性は低くなりました。
被害者が撮影された写真は霧がかかった不気味なもので、一部では心霊写真と話題になりました。
心霊写真の真相は
釣り人が撮影したこの写真は、その後一部で心霊写真として注目を集めました。
写真の中の被害者の足元には薄らと霧がかかっています。
霧は日本の伝統的な信仰では、霊や魂の象徴とされており、写真に霧が写り込むことで、それが心霊現象の一つと解釈されることがあります。
特にこの写真は、霧がかかっていること、その後に凶悪な事件で命を奪われたという事実が重なり、一部の人々の間で心霊写真として注目を浴びました。
そのため、事件そのものの恐怖感や興味を引く要素となり、より多くの関心を集めることにつながりました。
しかし、実際にはこの写真が心霊現象を示すものなのか、あるいは単に偶然に霧がかかって写り込んだものなのかは明らかではありません。
科学的な観点からは、心霊現象そのものの存在を証明するには至っていないため、その解釈は人それぞれと言えるでしょう。
なお、心霊写真に対する一般的な認識は、写真の撮影や現像過程で生じる物理的な現象や誤操作、カメラの故障などによるものであるという説明がされることが多いです。
ですので、必ずしも超自然的な現象を示しているわけではないと理解されています。
霧積温泉女性殺人事件の不可解な点
数多くの不可解な点が存在し、そのために長年にわたって解決に至っていません。
以下に、いくつかの不可解な点を挙げてみます。
- 嘘の証言
事件の被害者である女性が「金湯館」への訪問が実は3度目であるにもかかわらず、初めてだと述べた理由は不明です。
彼女が何故そのような虚偽をついたのか、あるいは本当に初めてだと思い込んでいたのか、その背後には何か意図があったのか等、詳細な理由が不明な点となっています。 - 約3時間の謎
これもまた謎とされています。
一般的に1キロを歩くのは約15分程度とされていますが、女性がこの距離を3時間もかけて歩いた理由は明らかになっていません。
何か特殊な事情があったのか、あるいは何かを待っていたのか、さもなければ道に迷ったのか等、詳細な背景は不明です。 - 被害者女性はアスペルガー?
アスペルガー症候群は自閉スペクトラム症の一種で、社会的コミュニケーションや他人の感情を理解するのが難しく、また特定の興味や趣味に異常なまでに没頭するという特徴があります。
あなたが指摘したように被害者女性がアスペルガー症候群だった可能性があるとすれば、その特性が彼女の行動や状況判断に影響を与えた可能性があるでしょう。
しかし、現時点では彼女が実際にアスペルガー症候群だったかどうかは明らかになっていないようです。
まとめ
霧積温泉女性殺人事件は、その残忍さと未解決の謎から、多くの人々を惹きつけ続けています。
50年以上経過した現在でも、新たな証拠の発見や科学技術の進歩により、その真相が明らかになる日を期待する人々は少なくありません。
そして、その背後にある心霊写真の存在は、事件をさらに神秘的にしています。
一体全体、真実は何なのか。霧積温泉女性殺人事件の謎が、いつの日か完全に解明されるその日を、我々は待ち続けます。
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