海は人類の歴史において常に謎と冒険の舞台であり続けてきました。
しかし、近年、科学技術の進歩により、かつての謎が次々と解明されています。
今回は、その中でも特に注目すべき「解明された海の謎3選」をご紹介します。
解明された海の謎3選
写真はイメージです
タイワンホウキガニの謎
台湾本島の南東約10キロに浮かぶ亀山島近海に生息するタイワンホウキガニは、熱水噴出域に特有の生態系です。
この地域の海底には、地熱によって熱せられた水が無数に噴出しており、その熱水には重金属や硫化水素などの有毒成分が豊富に含まれています。
これらの有毒成分は、多くの生物にとって生存することが困難な環境を作り出しています。
しかし、タイワンホウキガニはこのような過酷な環境で唯一生息していることが知られています。
2023年の研究により、このカニの生存の秘密が明らかになりました。
タイワンホウキガニのエラには、硫化水素を安全な物質に変える解毒システムが備わっていることが判明しました。
この解毒システムのおかげで、カニは有毒な熱水の中でも生き抜くことができるのです。
また、研究によれば、タイワンホウキガニは熱水性甲殻類として、黒潮流路に生息地が存在し、その生態系に関する情報は限定的であるとされています。
このカニは、熱水域への着底や生息の理由を考察する上で、重要なモデル生物としての役割を果たしています。
このように、タイワンホウキガニは熱水噴出域の過酷な環境で生き抜くための独自の適応を持っており、その生態や生存戦略は、私たちにとって非常に興味深いものとなっています。
海洋深層水の謎
海洋深層水とは、80メートル以上の深さからくみ上げられる海水のことを指します。
この深さでは、台風や大雨の影響をほとんど受けず、生体も少ないため、水は非常にクリーンで安定しています。
さらに、深い場所の海水は浅い場所の海水と比べて、栄養塩や微量元素が豊富に含まれています。
海洋深層水では、魚はストレスを受けずに健康を維持することができると言われてきました。
しかし、その理由は長らく謎とされていました。
実際、ある研究によれば、海洋深層水を使用して魚を飼育すると、水槽内での苔の繁茂が問題となることがあるとされています。
また、金沢大学の研究チームは、海洋深層水に含まれるアミノ酸「キヌレニン」が魚のストレスを抑える仕組みを発見しました。
このキヌレニンが、魚の健康を維持する秘密の一つであると考えられています。
このように、海洋深層水は魚の飼育においても多くの研究が進められており、その効果や影響についての理解が深まってきています。
カウイータの沈没船
南米コスタリカのカリブ海側、リモンという都市の町の外れに、長い間、多くの人々の興味を引きつけてきた2隻の沈没船が存在します。
長らく「海賊船」として知られていたこれらの船は、実は1710年に沈んだデンマークの奴隷船、クリスチャニス・クインタス号とフレデリカス・クインタス号であることが明らかになりました。
船員たちは「飛び降りた」のではなく「降ろされた」と記述されており、この細かい言葉の違いが歴史の真実を示唆しています。
18世紀当時、ヨーロッパの船員の多くは泳ぎが得意ではなかったため、彼らは小型船に乗り換えて避難したと考えられます。
そして、船が座礁するために沖の方の錨ケーブルが切断されたことが、船の沈没の原因であったとされています。
この発見により、コスタリカ人のルーツを物語る重要な船の真実が明らかになりました。
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