日本には、入ってはいけない場所がいくつか存在します。
これらの場所には、深い歴史と厳格なルールが存在し、現代においてもその神聖さを守り続けています。
一体、どのような場所で、なぜ人々は立ち入ることを禁じられているのでしょうか?
今回は、日本の禁足地2ヶ所を紹介します。
恐怖と神秘の日本の禁足地
ニソの杜
福井県大井町の大島半島に位置する「ニソの杜」は、33箇所の祠が点在する神聖な森です。
これらの祠は、先祖を祀るために建てられ、各家系が代々守り続けてきたものです。
祠には、それぞれ担当する家系が代々守り続けてきており、その家系以外の人間はニソの杜とその中にある祠に近づいてはいけないという決まりが設けられています。
特に祭祀が行われる11月22日には厳しいルールが適用されます。
・必ず男女1組で森に入らなければならない
・森の中で木々を伐採してはいけない
・真の刃物を持っていかなければならない
・帰り道は決して振り返っ てはいけない
という決まりがあります。
しかも、この祭祀は人に見られてはいけないという風潮もあり、祭祀が行われる日は地元の住民が寝静まった夜中にそれぞれの祠を守る家系の人間が誰にも見つからないように森の中へ入っていきます。
祭祀で捧げた供物が動物に食べられることで先祖に届くとされ、もし供物が残った場合、その家系や村に災いが降りかかると信じられています。
このように、ニソの杜は禁足地であることに加えてその内部にある祠もそれを守る家系によって守られてきた神聖な場所なんです。
自然物を神聖視し、神域として扱うことは、日本の伝統的な信仰形態の一つです。
ニソの杜は、その古い信仰を現代に伝える貴重な場所と言えるでしょう。
フボー御嶽
沖縄本島から東南端に位置する久高島の「フボー御嶽」は、琉球神道の祭祀を行うための神聖な場所です。
この場所は昔から地元住人が特別な祭祀を行う時にのみ使われてきましたが、その際は女性のみが立ち入ることを許されていて男性の立ち入りが固く禁じられています。
琉球神道では神に仕えるのは女性とされてきており、男性がこの神聖な場所に立ち入ることは固く禁じられているのです。
しかし、近代になり観光客が増え、無断で立ち入るケースが多発したため、現在では男女ともに立ち入ることが禁止されています。
特に重要な祭祀として12年に一度行われる「イザイホー」があります。
イザイホーとは、ニライカナイと呼ばれる神々の世界からやってくる神たちを迎え入れ、その神々に新しく神女となる女性を承認してもらう儀式です。
神女の就任儀式は、記録に残っている限りでは、600年以上の歴史があります。
新しい神女となる女性が白装束で集まり、特定の儀式を行い、神々の承認を受けるものです。
儀式の内容は夕方に新しく神女となる女性が白装束でこの場所に集まり、神アシャゲと呼ばれる拝殿を「エーファイ、エーファイ」と唱えながら7回まわり、神歌(テイルル)という歌を歌いながら奥の森(イザイ)に入っていきます。
そして森の奥にある七ツ橋と呼ばれる橋を渡ります。
この時、この橋で「つまずいてはいけない」というルールがあり、つまずいてしまった女性は何らかの悪事を働いたことがあるとされ神女になることは許されません。
その後、カシラタレ遊び、花差し遊び、朱つけ遊びというような遊びを行い、この儀式は完了します。
しかし、このイザイホーは島の過疎化が進み新しく神女となる女性がいなくなってしまい、1978年を最後に行われなくなってしまっています。
フボー御嶽は今でも地元民にとって神聖な場所であり、無断で立ち入ることは禁忌とされています。
過去には、観光客が砂や石を持ち帰り、不幸に見舞われたため、返還しに来た事例もあります。
こうした体験談は、単なる伝承にとどまらず、現実に神聖さを示しているのかもしれません。
まとめ
「ニソの杜」と「フボー御嶽」は、日本の禁足地としての神秘と恐怖を現代に伝える貴重な場所です。
これらの場所は、古来の信仰や伝統を今に伝えるとともに、その神聖さを守り続けています。
興味本位で立ち入ることは、現地の人々の信仰や文化を尊重する観点からも避けるべきです。
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