「生理前になると、何も手につかない、気力が湧かない、子どもに強く当たってしまう……」そんな経験、ありませんか?
このような症状は、一般的なPMS(月経前症候群)よりも深刻なPMDD(月経前不快気分障害)かもしれません。
今回は、PMDDについての基本的な知識と、対処法についてわかりやすく解説します。
PMDDを知っていますか?
PMDDは月経前不快気分障害といわれ、月経前に心身の不調が強くあらわれる状態を指します。
PMS(月経前症候群)と似ていますが、PMSよりも症状がより深刻で、うつ病や不安障害のような精神的な症状が強く出ます。(※1)
生活に重大な影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
具体的なPMDDの症状は月経の約1週間前から始まり、気分の落ち込み、過度のイライラ、不安、集中力の欠如、頭痛、胸の張り、腹痛などがあらわれることがあります。
これらの症状は、月経の終了とともに徐々に改善していきます。
PMSとPMDDは表面的には似た症状を持つため、自身がどちらの状態なのか判断しにくいでしょう。
実際の診断基準は細かく決められており、精神症状があるからといって必ずしもPMDDであるとは言い切れません。
しかし、生理前の諸症状によって日常生活に支障が出ている場合は、がまんしたり、問題を先送りにしたりせず対処する必要があります。
PMDDは理解されにくい
「ただの生理前だから」と軽く見られがちなPMDDですが、それは大きな間違いです。
子どもへの怒りが強くなったり、パートナーと口論が増えたり。
PMDDは家庭生活に深刻な影響を及ぼします。
だからこそ、その状態を「甘え」や「性格の問題」とは違う、医学的な問題として理解し、適切に対処することが大切です。
PMDDを理解することは、自分自身を責めることなく、適切な対策を講じるための第一歩となります。
また、家族やパートナーにも理解を求めることで、症状管理をしやすくすることが可能です。
PMDDへの具体的な対処法
以下では、PMDD症状の具体的な対処法をご紹介します。
迷わず受診を
「自分はPMDDかもしれない……」そう思ったときは、迷わず病院を受診しましょう。
とくに、月経前に精神症状が強く出る場合は心療内科への受診を検討してみてください。
PMSの身体的な症状には、婦人科のホルモン療法が効果的ですが、PMDDの精神的な症状は、ホルモン療法だけでは改善しにくいからです。
なかには、心療内科への受診に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は、まずは婦人科を受診してみてください。
PMDDは婦人科でも理解されており、必要に応じて心療内科を紹介してもらえます。
自分に最適な治療法は、専門家と一緒に探すことが最も重要です。
ライフスタイルの改善
PMDDとストレスは深く結びついています。
なんとなく過ぎてしまう日常に「規則正しい生活」「豊かな睡眠」「軽い運動」などの心地よいリズムを取り入れることで、ストレスの波を静め、心とからだの調和を保つことが可能になります。
とくに、深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーションを心がけると、日々のストレスを軽減し、心地よく過ごすことができます。
毎日の生活を少しずつ整えて、心地よい毎日を手に入れましょう。
生理前の症状には漢方薬が広く使われています
生理前に「子どもにきつく当たってしまう」「イライラして家事が手につかない」といった悩みがある方には、漢方薬もおすすめです。
婦人科や心療内科でも推奨されている漢方薬は、体質改善を目的とし、不調の根本的な原因にアプローチします。
生理前の不調には
- イライラや怒りの感情を鎮める
- ホルモンバランスの乱れを改善する
- 消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする
- 自律神経のバランスを整える
などの働きをもつ漢方薬を選びます。
<生理前の不調におすすめの漢方薬>
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力が中等度以下の人に向いています。イライラや不安、めまい、不眠、疲れなどさまざまな心身の不調に用いられます。ストレスで悪化する生理前の不調などにも用いられます。 - 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力が中等度くらいの人に向いています。また、器質的な問題がないものの、喉が塞がる感じや、喉に異物感を感じる人に用いられます。不安神経症や不眠症、動悸、めまい、肩こり、食欲不振、吐き気などがあるときにおすすめです。
何を選べばいいか悩む場合は、漢方相談サービスがおすすめです。
「あんしん漢方」は、AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」があり、漢方に詳しい薬剤師にスマホで気軽に相談ができます。
自分に合った漢方を選べて、お手頃価格で自宅まで郵送してくれますよ。
PMDDと向き合い、自分らしい毎日を手に入れよう!
PMDDは深刻な症状を引き起こす可能性がありますが、知識を持つことで対策が可能です。
また、家族の理解と協力も大切です。
正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで、心地よい生活を取り戻しましょう。
公式|あんしん漢方
参考サイト
(※1)「月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)チェック」厚生労働省研究班監修・女性の健康推進室・ヘルスケアラボ
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
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