家事や育児に翻弄され慌ただしく過ぎていく毎日のなかで、自分を大切にするのを忘れてはいませんか?
自分への気遣いが足りないと、イライラしたり鬱々としてしまったりと、日常生活にも悪影響を与えてしまいます。
あなたという存在も、家族や子どもと同様に、かけがえのない存在です。
今回は自分自身を大切に思う「セルフ・コンパッション」という考え方についてご紹介します。
セルフ・コンパッションとは
セルフ・コンパッション(self-compassion)とは、自分への慈しみを意味し、他者を思いやるように、自分自身を大切に思うという考え方、またはその技法を指します。
近年、IT化や新型ウイルスの流行によるライフスタイルの変化に伴って、以前よりコミュニケーションの機会が減少しました。
とくに、子育て中で家庭にいる時間が長い人は、家族以外と話す機会も少なく、孤独を感じやすい傾向にあります。
加えて、日本には自分を他者と比較して軽視・謙遜する文化があるため、日本人は世界的にみてもメンタル不全の発生率が高いといわれています。
だからこそ、セルフ・コンパッションにより、自身の心をコントロールすることに注目が集まっているのです。
セルフ・コンパッションの効果
セルフ・コンパッションを身に着ける・実行することで具体的にどのような効果が見込めるのでしょうか。
1.ストレスを軽減する
家族の問題、保護者関係のいざこざ、同級生のSNSなど、小さなものから大きなものまで、生活のなかにはストレス要因が溢れています。
ストレスにより、怒り、不満、悲しみ、嫉妬などの感情に支配されてしまうと、周りの人を傷つけたり気を遣わせたりしてしまい、ますます孤立を深めてしまうことも。
その結果、コミュニケーションの機会が減り、さらにストレスを感じやすくなり……とマイナスループに陥ってしまう危険性があります。
しかし、セルフ・コンパッションを身につけていれば、ストレスを感じにくくなり、心に余裕をもって人と接することができるようになります。
その結果、対人関係が良好になり、ストレス要因も減っていき……とポジティブループへと転換させることができるのです。
2.心身の健康を保つ
無気力や喪失感といった心の不調。
胃痛や頭痛といったからだの不調。
ネガティブな感情に支配された状態が続けば、心もからだもむしばまれてしまいます。
このままでは精神衛生上よくありません。
そんなとき、セルフ・コンパッションを身につけていれば、自分の置かれている状態を客観的に見たり、自己肯定感を高めたりすることができるため、鬱々とする時間が少なくなり、心の病気にかかりづらくなります。
心とからだはつながっています。
心身の健康を手に入れるための第一歩は、セルフ・コンパッションで心の状態を整えることかもしれません。
3.幸福感を高める
小さなミスを引きずってしまったり、物事を深刻に捉えすぎたりしていませんか?
セルフ・コンパッションを身につけていれば、失敗してしまったとき、後悔の渦に飲み込まれるのではなく、同じ失敗を繰り返さないための改善策を考えるなど、その状況を前向きに捉えることができるようになります。
この世に失敗をしない人は存在しませんし、起こってしまった出来事は変えられませんから、ネガティブに捉えるよりポジティブに捉えた方が幸せですよね。
このように、セルフ・コンパッションを高めることができていれば、物事を前向きに捉えられるようになり、その分幸福感を得られやすくなるでしょう。
自分を大切にするセルフ・コンパッション実践法3つ
セルフ・コンパッションを高めることにはさまざまなメリットがあることがわかりました。
あとは実践を残すのみ。
隙間時間でできる実践法なので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。
1.慈悲の瞑想
慈悲の瞑想とは、マインドフルネスでも取り入れられる手法のひとつで、セルフ・コンパッションの基本となる取り組みです。
慈悲の瞑想には、「自分の幸せ」を願うこと、そして「周りの人の幸せ」を願うことの2ステップがあります。
ステップ1:「自分の幸せ」を願う
つらかったこと、悲しかったこと、嫌だったことなど、たくさんあると思います。
まずは、自分がそのようなネガティブな気持ちを抱いていることに「気づく」ことから始めましょう。
自分の気持ちに気づいたら、次はその気持ちを「受容」します。
このとき、自分の感情を無視したりダメ出しをしたりするのはNG。
ありのままの自分を受け入れることがポイントです。
心の中で自分自身を慈しむ言葉をかけてあげてください。
ステップ2:「周りの人の幸せ」を願う
自分の気持ちが落ち着いたあとは、周りの人に対して温かい言葉を唱えます。
両者への慈しみが持てるようになると、他者の喜びや悲しみを自分のことのように共感できる力が養われるようになり、自分中心の考えや気持ちが減っていきます。
その結果、良好な人間関係を築けるようになるのです。
2.コンフォートジェスチャー
コンフォートジェスチャーとは、自分の気持ちを落ち着かせるジェスチャーをあらかじめ用意しておき、ネガティブな感情に支配されそうになったときにそれを実践することを指します。
コンフォートジェスチャーは自分が落ち着けるものであれば何でもOKですが、迷ったら、自分のからだに触れるものを選ぶのがおすすめです。
自分のからだに触れるとオキシトシンというホルモンが分泌されて、不安や恐怖が和らぐといわれてます。
<代表的なコンフォートジェスチャー>
- 大きく深呼吸をする
- セルフハグをする
- 手で肩をもみほぐす
コンフォート・ジェスチャーをするだけで、副交感神経が刺激され、心身ともにリラックスできます。
気持ちが落ち着いているときに自分だけのコンフォートジェスチャーを考えてみましょう。
3.ジャーナリング
ジャーナリングとは、自分の頭に浮かんだことをそのまま紙に書き出し、客観的に自分を見つめる方法です。
書く内容に制限はありません。
ストレスの要因、悩み、不安など頭の中にあるモヤモヤした感情を、そのまま文字にしてみてください。
書き出す過程で、自分の感情を言語化・可視化できるため、言葉にできなかった感情を整理することができます。
そして、自分が書き出した内容を見ることで、自分がどのような感情を抱いているのか、その原因はどこにあるのか、何をしたら改善できるのか、などに気付き、適切に対処できるようになります。
ストレスへのインナーケアも重要
ストレスをためやすい人、不安や刺激に弱い人は、からだの内面からストレスケアをするのも重要です。
漢方薬のなかには、不安や緊張を鎮め、ストレスと向き合いやすくなるものもあります。
<おすすめの漢方薬>
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすく、肩がこり、気分の落ち込みやイライラなど精神不安がある人に向いています。
栄養と潤い、エネルギーの巡りを促すことで、自律神経を整えストレスを緩和します。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅこつぼれいとう)
不安、動悸、不眠、イライラや抑うつといった症状がある人に向いています。
エネルギーを巡らせ、からだにこもった熱を冷ますことで、ストレスを和らげます。
漢方薬は体質から改善していくので、長期的に服用することで、ストレスを感じにくいからだを目指せます。
漢方薬は、自分の体質に合ったものを選ぶのが大切。
相性がよくないと、効果が感じられなかったり副作用が出たりすることがあります。
初めて購入するときは、医師や薬剤師などに相談しましょう。
「あんしん漢方」なら、スマホから簡単に漢方薬の相談や購入ができるので、病院や薬局に行く時間のない人にも便利です。
オンライン個別相談では、専門家があなたに合った漢方薬を提案し、お手頃価格で自宅まで郵送してくれます。
まとめ
日々の生活に追われて自分自身にまで気がまわらない。
そんな頑張り屋さんなあなたは、知らないうちにストレスを抱え込んでしまっているかもしれません。
時代の変化に伴い、以前より人とコミュニケーションをとる機会が少なくなってしまった今、セルフ・コンパッションを高めることが注目されています。
自分の気持ちに「気づき」、その気持ちを「受容」する。
セルフ・コンパッションの基本的な考え方を心に留め、物事の捉え方を変えていくことで、自分自身も、周りの人も、置かれている環境も少しずつ変わっていきます。
「いつも頑張っていて素敵だね」とねぎらいの言葉をかけ、自分で自分を抱きしめてあげてくださいね。
公式|あんしん漢方
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師|碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
YouTube|Medical Health CH
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