女性は、30~40代になると軽い尿漏れの症状が起こることがあります。
たまに起こるくらいなら心配いりませんが、問題なのは花粉の季節。
くしゃみで尿漏れの頻度が増えてしまうことに悩んでいる方、実はとても多いのです!
今回は、尿漏れの原因や対策について、薬剤師の碇純子さんに解説していただきます。
どちらかだけでもつらいのに……尿漏れと花粉症のダブルパンチ
「実は私、最近くしゃみをするのが怖いんです……」
そう語るのは、会社の事務員として働いている32歳のもも子さん。
はじめて尿漏れした日は仕事が忙しく、なかなかトイレに行けなくて。
やっと落ち着いたタイミングで、荷物を片付けてそのままトイレに行こうと思い、荷物を持ち上げた瞬間、「あっ……」って気づいたときにはすでに漏れてしまっていました。
その日以降、くしゃみをすると尿漏れしてしまうことも増えました。
これからの季節、ただでさえ花粉症でくしゃみや鼻水、目のかゆみがつらいのに、今年からは尿漏れも重なって不安でしょうがないです。
どうしたらいいのかわかりません……。
尿漏れの原因は?
重い荷物を持ったりくしゃみをしたりしたときに起こる尿漏れは、腹圧性尿失禁の可能性があります。
腹圧性尿失禁の原因のひとつとして、骨盤底筋と呼ばれる筋肉のゆるみが挙げられます。
骨盤底筋は、膀胱や子宮などの臓器を下側から支えている筋肉であり、妊娠や出産などをきっかけに緩むことが知られているのです。
加齢や肥満も骨盤底筋の緩みに影響します。
骨盤底筋が緩むと尿道を閉じる力が弱くなり、くしゃみや咳などおなかに力が入ったときに尿が漏れてしまうのです。
また、急な尿意や頻尿に悩んでいる場合は、切迫性尿失禁の可能性があります。
切迫性尿失禁は、膀胱が過敏になって自分の意思とは関係なく収縮してしまい、尿がたまっていなくても尿意をもよおし、我慢できなくなってしまうのです。
尿失禁に悩む女性のおよそ8割は、腹圧性尿失禁が原因といわれています。
20代後半から尿失禁に悩む女性が増え、あらゆる年代の悩みの種となっています。
尿漏れの改善方法
尿漏れを改善するための方法を3つ紹介します。
1.骨盤底筋群を鍛える
骨盤底筋群のトレーニングは、腹圧性尿失禁が原因の尿漏れを改善するのに効果的だといわれています。
骨盤底筋群は膀胱や子宮などを支えているため、鍛えることで尿道を閉じる力を高められるのです。
- 肛門、膣、尿道を10秒間ギュッと力いっぱい締める
- 力を抜いて30秒間リラックスする
1セット10回として、1日に5セット以上行うのがおすすめです。
一気に5セットやる必要はなく、数回に分けて行います。
また、このとき肩の力を抜いて、おなかに力が入らないようにするのがポイントです。
布団で寝ているときや椅子に座っているとき、駅のホームで電車を待って立っているときなど、骨盤底筋群のトレーニングはいつでも行えます。
トレーニングとして身構えるのではなく、ちょっとした隙間時間に取り組むのがおすすめです。
2.水分の摂取方法に注意する
切迫性尿失禁を改善するためには、水分の摂取方法を見直すことも大切です。
水分の摂り過ぎだけでなく、少なすぎても尿の濃度が高まり、かえって膀胱を刺激してしまうため注意しなければいけません。
適度な水分摂取量は、1日に1,500〜2,000mlとされているので、この基準を大きく超えたり下回ったりしないように意識しましょう。
また、利尿作用のあるアルコールやカフェインを含むコーヒーやお茶の摂取を控えると、尿漏れの改善が期待できます。
3.漢方薬を飲む
尿漏れには、漢方薬の活用もおすすめです。
漢方薬は一般的に副作用も少ないため、試しやすいのがメリットです。
尿漏れ対策には、「膀胱の機能を正常化する」「弛んだ筋肉を引き締める」「自律神経の乱れを整え、排尿のコントロールを改善する」などの生薬を含む漢方薬を選び、根本改善を目指します。
漢方薬は根本からの改善を得意としているので、尿漏れしにくい体質へと導いてくれるでしょう。
<尿漏れにおすすめの漢方薬>
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
下半身のしびれや痛み、むくみがある方におすすめです。
泌尿器系の働きを高めることで頻尿または尿量の減少などに働きかける漢方薬です。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすい方におすすめです。
下がってしまった内臓や骨盤底筋に働きかけます。
また漢方薬は、体質に合ったものを選ぶことが大切です。
体質に合っていないと、効果が出ないだけではなく副作用が出ることもあるため、漢方薬を選ぶときには、医師や薬剤師など専門家に相談しましょう。
スマホから簡単に相談や購入ができる「あんしん漢方」なら、病院や薬局に行く時間のない方でも気軽に利用できます。
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まとめ
尿漏れの対策には、骨盤底筋群のトレーニングや水分の摂取方法を見直すことが大切です。
隙間時間でトレーニングしたり、水分の摂取量や摂取する種類を意識したりすることで、尿漏れの改善が期待できます。
普段の生活を見直して、取り組みやすいものから少しずつ試してみてくださいね。
公式|あんしん漢方
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師|碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
YouTube|Medical Health CH
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