中年になると目立ち始める加齢臭。
電車内やエレベーターなどの密室空間で「もしかしたら臭いと思われているかも……」と心配になったことはありませんか?
今回は、加齢臭の特徴やメカニズム、そして、今日からすぐに行える対策もご紹介します。
加齢臭の特徴とは
加齢臭は、ノネナール臭とも呼ばれます。
40~50代頃から目立ってきて、50代半ばから60代でピークを迎える体臭です。
加齢臭のニオイは、「枯れ草」「古本」「古い畳」などにたとえられ、ただ油臭いだけではなく、青臭さも混じったニオイで、人を不快にさせます。
加齢臭は、胸や背中、おなかなどの体幹部を中心に、頭皮、耳の裏、首筋などからも発生します。
加齢臭が発生するメカニズム
加齢臭は、皮脂成分が酸化することで発生します。
皮脂は本来、汗と混じり合って油膜を作り、肌を守るはたらきがあります。
しかし、加齢とともに皮脂に含まれている脂肪酸の「パルミトレイン酸」が増加すると、ニオイの一因に。
空気中の酵素により皮脂が酸化されると、パルミトレイン酸も酸化され、「2-ノネナール」という成分に変化します。
これが加齢臭のニオイのもとになる成分です。
パルミトレイン酸は、若い人の皮脂にはほとんど存在しませんが、皮脂代謝の加齢変化により増加します。
加齢臭対策3つのポイント
ここからは、40~60代の男性が知っておくべき加齢臭対策を3つご紹介します。
1.からだのニオイ対策
加齢臭の原因である2-ノネナールは、皮脂をもとに生成されるので、皮脂を洗い落とすことで一時的に抑えることができます。
しかし、洗いすぎは皮脂が過剰に分泌され、かえって加齢臭が悪化する原因になります。
からだを擦りすぎず優しく洗い、シャワーだけで済まさずに湯船に浸かりましょう。
また、お風呂上がりなどの汗はしっかり拭くことでニオイを軽減できます。
それでもニオイが気になる場合は、デオドラント製品がおすすめです。
加齢臭と相性の悪いウッディ系(森のような香り)、パウダリー系(ベビーパウダーのような香り)は避け、柑橘系の香りのデオドラント製品を使用しましょう。
2.衣類のニオイ対策
皮脂や汗などの汚れが衣類に残ると、汚れをエサにした雑菌が分解され、ニオイの原因になります。
洗濯物はためず、毎日清潔な服に着替えましょう。
洗ってもとれないニオイの場合は煮沸消毒が有効です。
ニオイの原因であるマイクロコッカス属細菌は熱に弱く、60度ほどのお湯で殺菌できます(※1)。
ポリエステルなど、熱に弱い素材は型崩れの原因になるので気をつけてください。
スポーツウェアなど、速乾をうたうポリエステル素材の衣服は、吸水性がなく油分が付着しやすいのでニオイの原因になります。
蒸れやすく、細菌が好む環境なので、ニオイという観点からはNGです。
洗えないコートやジャケットは、家に入る前にバサバサと振ることである程度ニオイ成分を落とせます。
また、消臭スプレーやスチームを当てるのもおすすめですが、シルクやナイロンなどの素材の場合、適さない場合もあるので気をつけましょう。
ダウンの場合は、陰干しがおすすめです。
風通しのいい場所に干しましょう。
3.内側からのニオイ対策
乳製品、肉などの動物性脂肪は加齢臭の原因になる皮脂を増加させるため、摂取はほどほどにしましょう。
また、糖質を抑制するためのインスリンも、皮脂腺を活発化させるはたらきがあります。
アルコールも毛細血管の拡張が皮脂腺を刺激する原因になるので、なるべく控えましょう。
逆に、加齢臭予防効果が期待できる抗酸化食品、食物繊維、ビフィズス菌、オリゴ糖は積極的に摂取しましょう。
具体的な食品は以下の通りです。
<加齢臭予防におすすめの食品>
抗酸化食品:ゴマ、ニンジン、ほうれん草
食物繊維:ワカメ、昆布、めかぶ
ビフィズス菌:ヨーグルト
オリゴ糖:大豆、ゴボウ、ハチミツ
加齢臭対策には漢方薬もおすすめ
体臭が強くなる原因は、食生活だけでなく、ストレスや生活習慣なども関わっています。
「生活習慣を見直すのは大変」という人には、服用するだけで手軽な漢方薬の使用もおすすめです。
加齢臭が悪化する原因としては、汗や皮脂が雑菌により分解されることで生じる老廃物や過剰な発汗、ストレス、ホルモンバランスの乱れと考えられています。
加齢臭対策を行う場合には、「自律神経を整えてストレスを軽減する」「水分代謝をよくして過剰な汗を抑える」「ニオイの原因となる老廃物を排出する」「ホルモンバランスの乱れを整える」といった漢方薬を選び、根本改善をめざします。
<加齢臭が気になる世代におすすめの漢方薬>
- 六味丸(ろくみがん)
からだがほてり、汗っかきな人に適しています。
加齢によって衰えた水分代謝機能を高め、からだにたまった余分な熱を冷まします。
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
疲労がたまりイライラや不安を感じる人におすすめです。
精神活動や血液循環に関わる「心(しん)」にたまった熱を冷まし、ストレスを緩和します。
ただし、漢方薬は体質との相性がよくないと、効果が得られなかったり、副作用が生じたりすることもあります。
医師や薬剤師など、漢方の専門家に処方してもらいましょう。
忙しくて病院に相談に行く時間がない人や、相談できる薬局がない場合は「あんしん漢方」のようなオンライン漢方サービスが便利です。
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スマホひとつで申し込めるので、気になる方はチェックしてみてください。
まとめ
加齢臭は肌を清潔に保ったり、衣類をこまめにとり変えたり、食生活に気を配ることで緩和できます。
今回ご紹介した加齢臭対策をぜひ参考にしてみてください。
公式|あんしん漢方
【参考文献】
(※1)「ニュースリリース 汗をかいた後に衣類から発生するニオイ成分とその原因菌を解明」花王株式会社
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師|山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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