「この先、日本国憲法通用せず」山奥に立つ不気味な看板、その先には地図にも載っていない集落があり、一度足を踏み入れれば生きては帰れない…日本の都市伝説のなかでも、圧倒的な知名度を誇るのが福岡県の「犬鳴村」です。
旧犬鳴トンネルの先に存在する、外部との接触を拒絶した謎の集落、携帯電話はつながらず、警察すら立ち入れない…そんな恐ろしい噂が長年語られてきました。
犬鳴村は本当に存在したのでしょうか?調べていくと、単なる作り話では片づけられない実在した犬鳴の歴史が浮かび上がってきます。
日本国憲法通用せず、恐ろしすぎる犬鳴村伝説

犬鳴村には、いくつものお決まりの話があります。
村は地図に載っておらず、入口付近には「この先、日本国憲法通用せず」と書かれた看板がある、村人は外部の人間を激しく拒絶し、侵入した者は襲われる、さらに「警察も介入できない」「生きて帰った者はいない」など、時代とともにさまざまなエピソードが加えられてきました。
しかし、ここで重要なのは、「日本国憲法通用せず」という看板が実際に存在したと裏付ける信頼できる公的記録や一次資料は、現在のところ確認されていないことです。
つまり、私たちが知る恐怖の犬鳴村は、史実として確認された村ではなく、長い年月をかけて形成された都市伝説と考えるのが妥当なのです。
じゃあ、犬鳴村は全部作り話?そう思いたくなりますが、話はここから一気に面白くなります。
福岡県宮若市には現在も「犬鳴」という地名が存在します。
犬鳴川、犬鳴ダム、犬鳴峠など、犬鳴の名は今もしっかり残っており、犬鳴川上流にある犬鳴ダムは、1995年7月から管理が開始されています。
さらに、現在の宮若市犬鳴周辺には、かつて人々が暮らしていた集落があり、歴史資料などでは「犬鳴谷村」と呼ばれた集落の存在が確認されており、後に行政上の変遷を経ています。
つまり、犬鳴の山深い土地に人々の生活圏が実在したこと自体は事実なのです。
旧犬鳴トンネルも実在する
犬鳴村伝説に欠かせないのが「旧犬鳴トンネル」で、こちらも架空ではありません。
宮若市と久山町にまたがる旧犬鳴トンネルは実在しますが、現在は旧道を含めて通行できず、自治体が入口に門を設置して侵入を禁止しています。
そして、この周辺の不気味なイメージを決定的にしたとみられる出来事の一つが、1988年に旧犬鳴隧道付近で起きた凄惨な殺人事件です。
若い男性が少年グループから監禁・暴行を受けた末に殺害された事件で、これは怪談ではなく、実際に起きた事件として記録されています。
ただし、この事件と犬鳴村の住民や呪いを結びつける根拠はなく、現実の事件と怪談は、きちんと分けて考える必要があります。
結局のところ、「日本国憲法が通用しない」「侵入者は生きて帰れない」という犬鳴村が実在したことを示す確かな証拠は見つかっていません。
一方で、犬鳴という土地、山間部の集落、旧犬鳴トンネル、犬鳴御別館、そして周辺で起きた現実の事件は確かに存在します。
実在する場所と歴史、その土地で起きた事件に、怪談やネット上の噂が少しずつ重なっていった…それこそが「犬鳴村」という都市伝説を、単なる作り話とは思えないほどリアルで恐ろしいものにしたのかもしれません。
なお、旧犬鳴トンネル周辺は現在立ち入り禁止です。
宮若市も不法侵入への注意を呼びかけており、肝試し目的で柵を越えることは絶対に避けるべきです。
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