2025年の日本シリーズでも活躍した、ソフトバンクホークスのエース「リバン・モイネロ」選手、年俸の大半をキューバ政府に取られている?と話題になることもありますが、実際にはそれだけではありません。
彼は自らの意志で「亡命せずに世界で戦う」という道を選んだ、キューバ選手なのです。
社会主義国家ならではの制度、そして亡命を選ばなかった理由を探ってみましょう。
モイネロはキューバの国家公務員?
モイネロは、ソフトバンクと通常のプロ契約を結んでいるわけではありません。
彼は、キューバスポーツ庁を通じた国家派遣選手として、日本でプレーしています。
形式上はキューバ政府に所属する国家公務員に近い存在であり、ソフトバンクとの契約交渉は政府が窓口になります。
年俸はまず政府に送金され、そこからモイネロ本人に一定の割合が支払われる仕組みになっており、一般的には30〜50%程度が国家側に入ると言われています。
この仕組みは一見すると厳しく感じますが、実は彼にとっては「安全と安定」を得る方法でもあるのです。
亡命を選ばなかった理由
かつてキューバ選手が海外で活躍するには、亡命という手段しかありませんでした。
アメリカへイカダで渡ったビシエド、メキシコ代表となったアロサレーナなど、多くの選手が祖国を捨てて自由を求めました。
亡命は一度してしまえば、キューバへの帰国が禁じられ、家族とも離ればなれになります。
国からは裏切り者とみなされることも多く、彼らは自由を得る代わりに、祖国と家族を失うリスクを負いました。
その一方で、モイネロは政府の派遣制度を通して合法的に海外でプレーしています。
亡命せずに日本で成功できるということは、彼にとって「自由を捨てずに家族を守る」選択でもあるのです。
彼の活躍は、亡命しないで世界と戦うキューバ選手の新しいロールモデルとなりました。
不自由の中のもう一つの自由
確かに、年俸の大半を国に納めなければならない制度は、経済的には不利です。
しかしモイネロにとっては、「祖国での地位や家族の安全を維持できる」「政府の庇護のもと、安心してプレーできる」「亡命者のように命の危険を冒さなくてよい」という大きなメリットがあります。
亡命者が個人の自由を得たなら、モイネロは国家と共にある自由を選んだと言えるでしょう。
モイネロの存在は、かつての亡命か残留か?という二択を越え、国と個人の共存という第三の道を見せているのです。
まとめ
リバン・モイネロは、年俸の多くを政府に納めるという独特の制度の中で、亡命という危険を選ばず祖国とのつながりを保ちながら日本で成功しています。
それは単なる妥協ではなく、彼なりの自由の形です。
彼の存在は、政治体制の壁を越えて、祖国を愛しながら世界で戦うことの可能性を示しているのかもしれませんね。
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