東京タワーは赤と白なのに、どうしてスカイツリーは真っ白なの?
その理由を「航空法の決まり」を誤った認識で知ってる人も意外と多いようです。
今回は東京タワーとスカイツリー、それぞれの色の違いに隠されたルールと、その背景にある法律について紹介します。
東京タワーが「赤白」でなければいけなかった理由とは?

東京タワー(333m)が完成したのは1958年、当時の日本は戦後復興の最中で、高層建築もまだ珍しい時代でした。
そんな中で設けられていたのが、航空法に基づく「昼間障害標識」という規定です。
このルールでは、高さ60mを超える建築物については、昼間に航空機からの視認性を高めるために、赤と白の塗装を交互に施すことが義務付けられていました。
つまり、東京タワーがあの特徴的な赤白のデザインなのは、「かっこいいから」でも「目立つから」でもなく、法律で決まっていたからなのです。
赤白の塗装は航空機が昼間に建物を視認しやすくするための工夫で、現在も全国どこでも高さ60mを超える建築物には同様の義務が課されるのが基本ルールです。
これは東京都に限らず、全国一律で適用される法律となっています。
なぜスカイツリーは赤白じゃなくていいの?
ここで疑問に思うのが、東京スカイツリー(634m)はなぜ真っ白なの?ということですよね。
実はこれにも航空法の例外規定が関係しています。
航空法では、赤白の塗装が必要な一方で、「航空機から視認できる灯火(=航空障害灯)を設置していれば、塗装を省略できる」というルールが存在します。
これを利用しているのがスカイツリーです。
スカイツリーには高高度航空障害灯と呼ばれる赤色の点滅ライトが複数設置されており、夜間・早朝などの視界が悪い時間帯でも、航空機がその存在を確認できるようになっています。
これにより、法律上の要件を満たしており、赤白の塗装をしなくても合法というわけです。
つまり、東京タワーとスカイツリーの色の違いは、「守っている法律が違う」のではなく、同じ航空法を別の方法で満たしているということなんです。
タワマンや他の高層建築もこのルールに従っている?
じゃあ、うちの近所のタワーマンション(60m超)はどうなの?と思った方は鋭いです。
実はこれらの高層マンションや高層ビルも同じ航空法のルールに従っています。
ただし、さすがに赤白のシマシマで塗装されたタワーマンションは見たことがないですよね。
理由は簡単で、多くのタワマンでは航空障害灯の設置で対応しているからです。
ビルやマンションの屋上をよく見ると、赤色の小さな点滅灯がついているのを見たことがあるかもしれません。
それがまさに航空障害灯です。
また、高層建築を計画・建設する際は、国土交通省への届け出と航空局の審査が義務付けられており、建物の高さ・位置・構造に応じて適切な措置を取るよう指導されます。
つまり、スカイツリーに限らず、全国のタワマンや高層ビルは法律に従って色や灯火を決めているということになります。
まとめ
東京タワーとスカイツリーの色の違いは、ただのデザインの違いではなく、航空法という全国共通の法律に基づくルールの違いでした。
赤白のしましまは「昼間障害標識」として義務だった時代の名残であり、スカイツリーは「航空障害灯」でその義務をクリアしている現代的な建築物なのです。
このように、一見なぜ?と思うことにも、しっかりとしたルールと背景があります。
建物の色やライトにも、空を飛ぶ人たちの安全を守るための工夫が詰まっているのですね。
次に東京の空を見上げるときには、そんな「見えない法律」も感じてみてはいかがでしょうか。
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