子どもが欲しいのになかなか恵まれなかった頃、筆者が一番欲しかったものは、陽性反応がでている妊娠検査薬でした。
妊活ブログでよく見るあの線を、「実際に見てみたい!妊娠している証が欲しい!」と憧れを抱いていたのです。
筆者は30代後半から妊活を始め、42歳の時に体外受精で妊娠&出産を経験しました。
体外受精には、体がつらい、仕事との両立が大変、お金がかかる、というイメージが強いと思いますが、実は体外受精をした人にしか味わえない特別な経験もあるんです!
この記事では筆者の体外受精の思い出をお話します。
体外受精は妊娠確率が上がると言うけれど
体外受精とは、お医者さんや培養士さんの手を借りて、採取した精子と卵子を受精させ、培養液で細胞分裂させた受精卵を子宮に戻す方法です。
子宮内で精子と卵子が出会い受精する自然妊娠と比べ、かなりの飛び級をしています。
既に受精した卵を戻すのだから、「すぐ妊娠できるのでは?」と思う方もおいででしょう。
実際、筆者もそう思っていましたが、ところがどっこい、1回体外受精するだけでも大変だったのです。
まず筆者は高齢だったこともあり、肝心の受精卵ができませんでした。
一回の採卵で多くの卵子が採れるようにホルモン注射を打っても、採れるのは1~3個。
そこから受精させ、子宮に戻せるまでに成長してくれる卵は、良くて半分。
全て失敗してしまい移植がキャンセル!なんて事もありました。
無事に子宮に受精卵を移植できたとしても、着床できず陰性だったり、着床しても成長が止まって初期流産になったり…。
そうなると受精卵のストックがない筆者の場合、また採卵から再スタートです。
「次こそは良い卵を作るぞ!良い結果を出すぞ!」と健康管理に気を使い、温活をしたりあれこれ頑張っても、結果はついてこず。
心と体と資金ががギリギリになってきた7回目、ついに念願だった「妊娠判定薬のくっきりとした線」を見ることができたのです。
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待っていた思わぬ感動
つらい中でも治療を続けられたのは、やはり「自分たちの子どもが欲しい!」という気持ちを諦めきれなかったためですが、もう一つ、大きな理由がありました。
それは、体外受精を通してでしか味わえない感動もあったからです。
まず、培養士さんが培養してくれた受精卵。
細胞とはいえ「私たちの子どものはじまり」、卵の画像はとても神秘的で愛おしく、思わず笑みがこぼれてしまいます。
そして、受精卵を移植する日はとても贅沢で幸せな時間でした。
暗い部屋で培養士さん、看護師さんに見守られる中、先生がモニターを見ながら子宮に受精卵を流してくれた瞬間、「お腹の中に赤ちゃんが入った!」と幸福感に包まれました。
この感動は、今思い返すだけでも涙が溢れそうになります。
また、それが結果的に失敗に終わっても、「費用の元は取ってるよね!」と、泣き続けずにすんだのも事実です。
結果的にこの感動を7回も味わうことができたのは、妊活を応援してくれる家族や友人、そして体外受精を許してくれた夫がいたからこそでしょう。
私は幸せ者だな、と思います。
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多くの力を借りて、思うこと
2022年から体外受精が保険適用となり、金銭的に諦めていた方にとっては妊娠のチャンスが増えたと聞きます。
ただ体外受精には、「二人の力で授からなかった赤ちゃんを人工的に造っている」という、ネガティブな受け止めもあるでしょう。
妊活でどこまで踏み込んでいくのかは、人それぞれの価値観で変わります。
そして筆者としては、体外受精のおかげで子どもに会うことができたので、感謝しかありません。
いつか子どもが、自分が産まれたころの質問をしてきた時には、「沢山の人の手によって、望まれて生まれてきたんだよ」と伝えたいと思います。
体外受精について興味を持つ方がいらしたら、おすすめしたいコミックがありますので、ご紹介します。
胚培養士ミズイロ (1) (ビッグコミックス)
出典:Amazon
- 作:おかざき真理
- 出版:小学館
主人公は、不妊治療においてはサポート役になりがちな培養士。
このテーマで、男性読者向けの青年誌で執筆されていることに、まずびっくりしました。
が、読んでみると培養士さんの目線で妊活がわかりやすく描かれ、不妊治療を一緒に支えてくれていたことに改めて気づかされました。
良ければご覧ください。
Amazon|胚培養士ミズイロ (1) (ビッグコミックス)
まとめ
不妊治療をする・しないも、どこまで頑張るかも、その判断は人それぞれの環境や価値観によります。
お伝えしたのはあくまでも筆者個人の体験ですし、ほんの一握りでも、体外受精の情報を求める方のお役に立てば幸いです。
妊活中の皆さんが、どうか心も身体も健やかに過ごされますように!
ここまでお読み下さってありがとうございました。
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