暑くなると飲みたくなるラムネ、そして食卓に欠かせない豆腐、どちらも私たちにとって身近な存在ですが、実はある共通点があるのをご存じでしょうか?
一見すると不思議なこのルールの裏には、日本独自の法律と時代背景に基づいた、中小企業を守る仕組みが存在しているのです。
ラムネやチューペットはなぜ大企業が作れないのか?
ラムネやチューペット、シャンメリーといった昔ながらの飲料は、実は大企業が自由に参入できない分野とされています。
その理由が、分野調整法(正式名称:中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律)です。
この法律は、中小企業が多くを占める業界に大企業が参入する際、国が間に入って調整を行う仕組みで、中小企業側が参入により影響を受けると申し出た場合、国は調査を行い大企業に対して事業の縮小や参入の見直しを勧告することができます。
従わない場合には命令や罰則もあり、結果的に大企業の参入は非常に難しくなります。
ただし、法律自体が具体的な商品名を指定しているわけではなく、実際には業界団体が「中小企業特有の品種」としてラムネやチューペットなどを定め、暗黙のルールとして運用されています。
この影響は過去の事例にも表れており、大手企業が類似分野に参入した際、業界との調整によって販売が終了したケースもあります。
つまり、日本では単なる自由競争ではなく、産業全体のバランスを重視する考え方が根付いているのです。
1970年代の経済危機と中小企業保護
分野調整法が制定されたのは1977年、当時の日本はオイルショックの影響で経済が大きく揺らいでいました。
物価は急上昇し、狂乱物価と呼ばれるほどのインフレが発生、多くの企業が経営の安定を求めて新たな市場へ進出、中小企業の分野に大企業が流れ込み、業界内での衝突が相次いだのです。
この状況を受け、中小企業の生活や地域経済を守る必要がある、という声が高まり分野調整法が誕生しました。
単なる企業間のルールではなく、雇用や地域社会を守るための社会政策としての意味合いが強かったのが特徴です。
その結果、ラムネや豆腐といった商品は中小企業によって作られ続け、昔ながらの味が守られてきました。
大量生産・効率重視の大企業ではなく、地域に根ざした中小企業が担ってきたからこそ、変わらない味が残っているとも言えるでしょう。
しかし現在では、豆腐業界では事業者数が大幅に減少し、原材料費の高騰や後継者不足といった問題が深刻化、こうした背景から今後は大企業と中小企業が協力する新しい形も必要なのではないかという議論も出始めています。
まとめ
ラムネや豆腐が大企業ではなく中小企業中心で作られている背景には、分野調整法という日本独自の制度がありました。
私たちが何気なく手にしている商品には、こうした歴史と社会の仕組みが隠されているのです。
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