誕生日のケーキや帰省時の手土産、お祝いでもらった紅白まんじゅうなど、私たちの暮らしに身近だった町のケーキ屋や和菓子屋、しかし今こうした菓子店が急速に姿を消しています。
2026年の菓子小売業の倒産は45件に達し、過去30年間の同期間で最多を更新、単なる物価高だけでは説明できない、町のお菓子屋さんを取り巻く大きな変化が起きています。
町の菓子店を襲う三重苦
東京商工リサーチによると、2026年1~7月の菓子小売業の倒産は45件、このうち41件、実に91.1%が販売不振を原因としていました。
また15件は物価高の影響を受けた倒産で、全体の3分の1に上ります。
ケーキや和菓子に欠かせない小麦粉、卵、バター、生クリーム、砂糖、カカオなどの価格は高止まりし、包装資材や電気代、人件費まで上昇しており、本来なら販売価格を上げたいところですが、ケーキや和菓子は生活必需品ではなく、大幅に値上げすれば購入を控えられる可能性があります。
さらに、スーパーやコンビニや大手チェーンとの競争もあり、値上げすれば客が離れ値上げしなければ利益が残らない、という厳しい状況に追い込まれているのです。
消えつつある昔ながらの需要
かつては、お中元やお歳暮、暑中見舞い、帰省、法事、地域行事などで、菓子折りを持っていくという文化が身近にありました。
こうした箱菓子のまとめ買いは、地域のケーキ屋や和菓子屋にとって重要な売り上げの柱でしたが、時代の変化とともに贈答慣習が変化、物価高による節約志向も加わったことで、「今年は手土産を買わなくてもいいか」「お中元はやめよう」と考える家庭も増えています。
そして、問題をさらに深刻にしているのが経営者の高齢化と後継者不足で、長年地域で愛されてきた店であっても、利益が減少し人手も集まらず、設備の更新にも費用がかかる状況では、次の世代に店を引き継ぐことは簡単ではありません。
倒産する前に、経営者の代で店を畳むケースも増加しています。
町のお菓子屋さんがなくなるということは、単に買い物をする場所が一つ減るだけではなく、誕生日に家族で食べたケーキや、帰省するたびに買っていた和菓子など、その町で暮らす人たちの思い出と結びついた味も一緒に失われていくということです…。
昔は当たり前のように町にあったお菓子屋さん、地域ならではの味をどう残していくのか、菓子店はいま大きな転換点を迎えています。
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