同僚の約20%が仕事をせずにサボっていたらどう感じますか?
イタリア南部のナポリに位置する「ロレト・マレ病院」では、なんと職員の100人近くが勤務時間中に不正行為を行い、欠勤やサボりが常態化していたのです。
この驚愕の事件は医療現場だけでなく、世界中で議論を巻き起こしました。
その背景には何があったのでしょうか?
ロレト・マレ病院で起きた問題

ロレト・マレ病院の欠勤問題が明るみに出たのは、2017年2月のことです。
この事件では、病院の職員94人が勤務中の欠勤や不正なタイムカード打刻に関与していたことが判明しました。
職員たちは勤務中に病院を抜け出し、自宅でリラックスしたり、スポーツを楽しんだりする一方、同僚に頼んで自分のタイムカードを代理で打刻させていたのです。
このような行為が何年もの間、日常的に行われていました。
イタリア警察は、病院内に隠しカメラを設置するなど、2年間にわたる調査を実施、その結果、不正行為が次々と明らかになります。
一部の医師は勤務中にテニスを楽しんでおり、他の職員はまったく病院に来ることなく他の仕事に従事していたことが判明したのです。
これらの行為が許されていた背景には、病院内部の監視体制の甘さや、職員間での不正容認の文化があったとされています。
サボりの実態
この事件で発覚した職員の不正行為の中には、驚くべき事例が多数含まれていました。
- 勤務中のテニスプレイ
一部の医師は病院を抜け出し、近隣のテニスコートでプレイしていたことが確認されています。
隠しカメラの映像には、タイムカードを打刻した後、ユニフォームを脱ぎ捨ててテニスウェアに着替える姿まで映っていました。 - 勤務時間中に家庭でリラックス
看護師の中には、自宅に戻りテレビを見たり昼寝をしていた者もいました。
特にショッピングモールで買い物を楽しむ姿が目撃された職員もおり、勤務時間を完全に私用に使っていたのです。 - 他の職場での掛け持ち勤務
病院に籍を置いたまま他の医療機関やクリニックで働いていた職員もいました。
これにより、ロレト・マレ病院では業務が停滞し、患者の待ち時間が増加する事態に陥りました。 - タイムカードの代理打刻
職員同士で「タイムカードを押し合う」という文化が横行していました。
不在の職員が依頼し、出勤しているふりを続けた例が多数見つかっています。
このように不正行為が常態化していたにもかかわらず、病院は最低限の運営を維持していましたが、その実態は悲惨なものでした。
緊急患者の対応に遅れることがあったり、慢性疾患の患者や定期健診の予約が後回しにされるなど、「病院に行っても診てもらえない」という地域住民からの不満も広がり、信頼性が大きく損なわれたと言われます。
また、欠勤した職員の業務を真面目に働く職員が肩代わりしていたため、一部のスタッフは過労状態に陥っていました。
事件発覚後、94人の職員が事情聴取を受け、55人が刑事処分を受けることになりました。
一部の職員は解雇され、医療資格を剥奪されるなど、厳しい措置が取られました。
また、病院ではタイムカードシステムを一新し、指紋認証や顔認証を導入することで代理打刻が不可能になる仕組みを構築し、監査体制の強化や職員への倫理教育も進めたとされます。
この事件は、イタリア国内だけでなく、世界中のメディアで大きく取り上げられ、特に公共医療機関の監視体制の甘さや、医療従事者の倫理観の欠如が議論の的となりました。
まとめ
ロレト・マレ病院の欠勤問題は、医療機関における倫理観と管理体制の欠如が招いた重大な事件でした。
この事件を通じて、医療機関における信頼の重要性、監視体制の強化、そして働きやすい環境の整備がいかに必要であるかが再認識されました。
患者の命を預かる医療現場では、何よりも信頼と誠実さが求められます。
この事件がもたらした教訓を活かし、より良い医療環境の実現に向けた取り組みが進むことを期待したいものです。
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