「目薬を差してもスッキリしない」「マッサージしても目の奥がズーンと重い」そんな「スマホ疲れ」に悩んでいませんか?
現代人の生活には欠かせないスマホやパソコンですが、その使用時間が長くなるにつれて、目の疲れや肩こり、頭痛といった不調に悩む人も増えています。
この記事では、スマホ疲れの原因や、東洋医学の視点から見た目と「肝」の関係、生活習慣や漢方薬でのケア方法をわかりやすく解説します。
スマホ疲れの正体とは?
スマホで目が疲れているとき、からだに何が起こっているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
“ピント調節筋”の疲労
スマホやパソコンを長時間使うと、近くを見続けるために「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が酷使されます。
この筋肉はピント調節を担当しており、働き続けることで緊張が続き、次第に疲労していきます。
その結果、
- 目が乾きやすい
- 目の奥がだるい
- しょぼしょぼして開けにくい
といった不快な症状があらわれるのです。
目の乾きと血流不足
スマホに集中していると、まばたきの回数が減って目が乾きやすくなります。
さらに、同じ姿勢を続けることで首や肩の筋肉がこり、血流が停滞。
目の周辺の血流が悪くなると、必要な栄養や酸素が届きにくくなり、疲労が蓄積しやすくなります。
こうした状態が続くことで「普通の疲れ目」とは違う“だる重い”不快感を引き起こすのです。
東洋医学では「目=肝」と考える
目の不調は、単に目の使いすぎだけではなく、からだの内側の不調が影響していることもあります。
「肝」は目と深い関係がある
東洋医学では「肝(かん)」というからだの働きが、目と深く関係していると考えられています。
ここでいう「肝」は、西洋医学でいう“肝臓”という臓器そのものではありません。
血(けつ)の巡りを整えたり、感情のバランスをとったり、自律神経を落ち着かせたり──そんな、目や心の健康にもかかわる全体的な働きを指します。
目は細かい血管がたくさんある組織で、しっかりとした血の巡りが必要です。
そのため、肝の働きが弱まると目への栄養が不足し、疲れ目やかすみ目、乾燥感が出やすくなるのです。
「肝血(かんけつ)」不足とは
「肝血」とは、肝に蓄えられた血のこと。
この肝血が不足してくると、目だけでなく、以下のようなさまざまな症状があらわれるといわれています。
- 疲れやすい
- 顔面蒼白
- 唇や爪の色が悪い
- 生理不順
- 眠りが浅い・夢をよく見る
目の疲れだけでなく、こうした不調を感じているなら、肝のケアが必要なサインかもしれません。
スマホ疲れは生活習慣と食事でケアできる
目の疲れに対して、目薬やマッサージだけでは根本的な改善にはつながりません。
日々の生活のなかで「肝」をいたわることが、目を内側から癒すための第一歩です。
夜更かしやスマホの見すぎを控える
「肝」は夜に休むことで回復します。
とくに午前1時~3時のあいだは、肝にとって大切な修復タイムといわれています。
この時間帯にしっかり眠れていないと肝臓の働きが悪くなる、と東洋医学では考えられているのです。
スマホやパソコンのブルーライトも肝の働きを乱す要因になるため、就寝前は画面を見ない習慣をつけるのがおすすめです。
「肝」をいたわる栄養を摂る
「肝血」を養うには、血をつくる材料や、血の巡りをよくする食材を意識しましょう。
<おすすめの食材>
- レバー
- イカ、タコ
- 鶏卵、うずらの卵
- アワビ、牡蠣、ホタテ
また、甘いものやアルコール、ジャンクフードなどは肝に負担をかけるため、ほどほどにするのがベターです。
漢方薬でからだの内側から整える
生活習慣を整えても、目の疲れや不調が続くときには、漢方薬のサポートを取り入れるのもおすすめです。
目の疲れに使われる代表的な漢方薬
以下は、目の疲れやスマホ疲れのケアに用いられる代表的な漢方薬です。
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
肝の働きを高めることで、目に「血」(栄養とうるおい)を与え、疲れ目や目のかすみに効果がある漢方薬です。
飲む目薬ともいわれています。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
肝にこもった熱を冷まして、血の巡りをよくすることで、心を落ち着かせてイライラや不眠に効果がある漢方薬です。
自分に合った漢方薬を見つけよう
漢方薬は「目に効くから」という理由だけで選ぶのではなく、その人の体質・ストレス状態・生活環境に合わせて処方されることが大切です。
自分に合う漢方薬がわからない場合は、漢方薬に詳しい薬剤師に相談するのが安心です。
たとえばオンラインで完結する「あんしん漢方」のようなサービスを活用すれば、体質チェックから薬の自宅配送まで一括でサポートしてくれます。
「病院に行くほどではないけれど、なんとかしたい……」という人には、手軽に始められる選択肢としてぴったりです。
まとめ
スマホやパソコンの使いすぎで感じる目のだるさや重さは、単なる“疲れ目”ではなく、からだの内側のバランスが乱れているサインかもしれません。
とくに東洋医学では、目と深い関係がある「肝」の働きが乱れることで、目の不調だけでなく、肩こりやイライラ、不眠といったさまざまな不調があらわれると考えられています。
そのため、日々の生活リズムや睡眠、食事の内容を見直しながら、「肝」をいたわる習慣を取り入れることが大切です。
さらに、自分の体質に合った漢方薬を活用することで、目の不調を根本から改善するサポートになります。
からだ全体が整うと、自然と目もラクになっていきますよ。
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師|山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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