毎日、家庭も仕事もフルスピード、そして年末年始は特に、子どもの冬休みや行事、大掃除、年内の締め切り、家計の見直し……。
気づけば休む間もなく動き続けているというパパ・ママも多いのではないでしょうか。
今回は、心療内科医の横倉恒雄先生に、そんな溜まった疲れを休み明けに持ち越さないための3つの疲労リセット法を伺いました。
簡単に取り入れられるセルフケアばかりなので、ぜひ取り入れてみてください。
疲れをリセットする3つのリセット法
育児や仕事などでいつも忙しく、自分のことはついつい後回しになりがちなパパ・ママは、「気づいたらカラダも心も限界」ということも少なくありません。
そんな時こそ意識したいのが、“脳”を休めること、心と体の疲れを軽くするためには、実はまず脳のメンテナンスをすることが欠かせないそう。
【STEP.1】 脳の疲労をリセットする

「脳が疲れたままでは、いくら休んだつもりでも、脳が“休息を感じ取る力”そのものが弱ってしまっていて、うまくキャッチできず、疲れが抜けづらい状態になりがちです」と話すのは、心療内科医の横倉恒雄先生。
そんな脳の疲労をリセットするための効果的な方法は、多忙な毎日で脳が感じにくくなっている “五感”をやさしく刺激すること、五感は脳と直結しているため、視覚・触覚・味覚・聴覚・嗅覚を意識的して使うことで、脳が健康な状態に戻っていくそう。
そして五感を刺激するのに、とても簡単ながら効果が実感しやすいのが、“食事を心から楽しむ”こと、「食欲は人間の本能。お腹が空いてから、スマホなどの“ながら食べ”をせず、よく見て、香りを感じ、食感も楽しみながら一口ずつ味わい、噛んだ時の音にも耳を傾けながら、美味しく食べましょう」(横倉先生)
食事を美味しく食べることの他にも、空を見上げてみる、風を感じる、気持ちのいい肌触りの新しいタオルを使ってみる、好きな香りのものを取り入れるなど、五感で気持ちよさを感じながら過ごしてみましょう。
こんな五感を意識した毎日を過ごすことで、脳は“休息を受け取れる状態”へと導くことができるようになります。
また、スマホを見ている時間の長さも、ぜひ見直しを、スマホの強い光や情報の洪水は、脳のキャパシティをどんどん埋め尽くし、休む余地を奪っていきます。
「まとまった時間がとれる休日や長期休みこそ、“デジタルオフ習慣”を取り入れてみてください。寝る前の15分だけでも画面を閉じると、脳の“休息スイッチ”が入り、休息モードに切り替わりやすくなります。」(横倉先生)
脳を休めるちょっとしたデジタルオフ習慣
- SNSのフォロー数を見直し、情報疲れを減らす
- 予定を紙に書き出して、スマホを見なくてよい状態に
- 家族で“スマホ置き場”を決めて、無意識の使用を防ぐ
- 「22時まで」など、画面を見る時間にルールを設定
こうした小さな工夫が、脳の疲れをやさしくリセットし、心と体の休息をしっかり受け取れる状態へと整えてくれます。

【STEP.2】深呼吸&スイカマッサージで心と体をゆるめる
ここからは、“心と体を休める”ための、気軽にできるセルフケアをご紹介します。
家事や育児、仕事に追われる日々。気づけば脳はずっと“緊張モード”で、呼吸が浅くなりがちです。心の余裕をもつために、実はとても大事なのが“深呼吸”「自律神経に唯一、自分の意思で働きかけられるのが“呼吸”なんです。
浅い呼吸が続くと横隔膜が硬くなり、深く呼吸がしづらくなってきます。横隔膜を使った深呼吸を心がけていると、副交感神経が優位になり、心に余裕が戻ってきますよ」(横倉恒雄先生)
ポイントは、回数や秒数にこだわらず、ひと呼吸を丁寧に味わうこと。特に「吸う」よりも「大きく吐く」ことを意識すると、副交感神経が反応してリラックス効果が高まります。イライラがやわらぎ、心拍が落ち着き、血流が促されて体もポカポカに、“怒りのスイッチ”が入りにくくなるのも、深呼吸の大きなメリットです。
さらに、脳の疲れにダイレクトに届き、心と体をやさしくほぐしてくれるのが「スイカマッサージ」。
「自分の頭をスイカに見立てて、スイカの皮の黒い筋に指を添わせるように、こめかみから頭頂部に向かって指先で押していきましょう。
両サイド、前後とまんべんなくマッサージ、そして最後に指先をすべらせて、頭頂部に溜まった疲れを抜くように、指先からスッと真上に向かって力を抜いてみましょう。
まるで皮が1枚はがれたように、滞っていたものが抜けたようなスッキリ感が味わえます」(横倉先生)
忙しいときこそ、深呼吸+スイカマッサージを習慣に、スイカマッサージは、好きな香りの頭皮用美容液などを使うと、リラックス効果もさらにアップ、数十秒のセルフケアで、こまめに疲れを手放していきましょう。
【STEP.3】ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり“リラックスタイム”を

「38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かることは、心療内科でも推奨されるセルフケア。シンプルですが、心と体を同時に休ませる効果があります」(横倉先生)
副交感神経が働きやすくなり、血流が促され、筋肉の緊張もふっと緩みます。寝る前の入浴で眠りの準備も整い、睡眠の質もアップ。
おすすめは、“10分間のひとり風呂”。夫婦で役割を交代しながら、ひとり静かな入浴時間を持つことで、心のリセットに、好きな香りのアロマや入浴剤を取り入れれば、さらにリラックス効果が倍増、香りを選ぶポイントは、効果で選ばず“自分が好き“と感じる香りを選ぶこと、いくつかの種類を揃えて、気分に合わせて香りを選べば、バスタイムが心のご褒美時間に変わります。
【番外編】胃腸のリセットには“朝食を黒砂糖に“!

年末年始などの長い休みは、食べすぎで胃腸もお疲れ気味。そんなときは「朝食プチ断食」がおすすめです。
「朝は無理に食べず、水と黒糖だけでOK。水分補給で体を目覚めさせ、ビタミンやミネラル豊富な黒糖が、脳のエネルギー源になります。胃腸に負担をかけずに必要な栄養がとれる、やさしい朝の過ごし方です」(横倉先生)
“今朝は朝食抜きで、水と黒糖だけ”と決めれば、食事の準備の手間も省けて、時間にも心にも余裕が生まれます。
まとめ
溜まった疲れをリセットすることは、家族のための“最大の投資”、育児、家事、仕事をがんばるパパ・ママにとって、疲れは“がんばりの証”、でも溜め込みすぎると心も体も悲鳴を上げてしまいます。
脳の疲れをリセットする、深呼吸+スイカマッサージを習慣にする、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、朝ごはんを、水と黒糖だけにする、そんな小さな積み重ねをしていくことで、溜まった心身の疲れをリセット、家族みんなで心地よく楽しく過ごしていける、前向きなエネルギーに変えていきましょう。
<この記事の監修者>

婦人科・心療内科医|横倉恒雄先生
医学博士。横倉クリニック(東京 田町)院長。慶應義塾大学医学部産婦人科入局。東京都済生会中央病院産婦人科に勤務、同病院にて日本初の「健康外来」を創設。病名がない不調を抱える患者さんにも常に寄り添った診察を心がけている。クリニックで行っている講座も好評。著書に『脳疲労に克つ』『心と体が軽くなる本物のダイエット』『今朝の院長の独り言』他がある。
公式|横倉クリニック
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