先日、アパホテル創業者・元谷外志雄氏の訃報が報じられ、大きな話題となりました。
都市型ホテルの象徴ともいえるアパホテルですが、その経営手法は単なる成功事例にとどまりません。
実は彼が取り入れた数々の戦略は、今や日本のホテル業界の当たり前となっているのです。
アパホテルのコンパクト客室という革命
元谷外志雄氏の最大の功績の一つが、空間効率という概念をホテル業界に持ち込んだことです。
現在では都市型ビジネスホテルの多くがコンパクトな客室を採用していますが、これは決して昔から当たり前だったわけではありません。
従来のホテルは、広さ=価値という考え方が主流でしたが、元谷氏はそこに疑問を持ち、「必要な機能を満たせば広さは最小でいい」という発想に転換します。
その結果生まれたのが、機能性重視の客室設計で、同じ土地でも客室数を増やせるこのモデルは収益性を大きく変えました。
現在では多くのビジネスホテルが似た設計思想を取り入れており、都市部で当たり前に見る効率重視ホテルの原型は、まさにアパホテルが作ったと言っても過言ではありません。
価格を動かすという発想
かつての日本では、宿泊料金は固定が一般的でしたが、今では日によって変わるのが常識になっています。
元谷氏は、需要に応じて価格を変えるダイナミックプライシングを積極的に導入し、ホテルの収益構造を大きく変えました。
この考え方は現在、ホテル・航空券・テーマパークなど、あらゆる業界に広がっています。
特に宿泊業界においては、繁忙期に価格が上がる仕組みが完全に定着、当時は批判もあったと言われていますが、結果的に「需要で価格が変わる」という市場原理を、日本のホテル文化に根付かせた功績は非常に大きいでしょう。
ホテルのDXを先取りした経営者
もう一つ見逃せないのが、デジタル化への先見性、現在ではスマホ予約やセルフチェックインは当たり前ですが、アパホテルは早い段階からアプリ戦略を推進していました。
自社アプリによる予約導線の確立は、単なる利便性向上だけではなく、OTA依存から脱却し顧客との直接接点を持つというビジネスモデル転換でもありました。
さらにQRチェックインや非接触化の導入により、顧客満足度の向上・人手不足対策という2つの課題を同時に解決しています。
今では多くのホテルがDX化を進めていますが、その方向性をいち早く示した存在がアパホテルだったことは間違いありません。
まとめ
元谷外志雄氏の凄さは、単にホテルチェーンを大きくしたことではありません。
コンパクト客室という設計思想、需要連動型の価格戦略、そしてホテルDXの先取り、彼が打ち出した数々の手法は、気づけば日本のホテルの標準になっていました。
私たちが何気なく利用しているホテルの当たり前の裏側には、ひとりの経営者の発想があった…そう考えると、その功績の大きさが改めて見えてくるのではないでしょうか。
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